K-EXAONE 2.0 は LG AI Research が 2026年7月31日に Hugging Face で公開した総パラメータ 750B のオープンウェイトモデルで、ライセンスが Apache 2.0 に変更され商用利用の制限が外れました。
📖 この記事で分かること
- K-EXAONE 2.0 の規模とライセンスの変更点
- 前世代からコーディング性能がどれだけ伸びたか
- 750B でも動かしやすくするための設計
- 韓国の国家プロジェクトとしての位置づけ
💡 知っておきたい用語
- オープンウェイト: モデルの重み(学習結果のデータ)が配布され、自社サーバーに置いて動かせる形の公開方式。API 経由でしか使えないモデルとの一番の違いです。
最終更新日: 2026年8月3日
▶ 公式ページ
- K-EXAONE-2.0-750B-A37B モデルカード(Hugging Face)
- LGAI-EXAONE 組織ページ(Hugging Face)
- K-EXAONE 公式リポジトリ(GitHub)

K-EXAONE 2.0 の公開内容
この記事のポイント
- LG AI Research が 2026年7月31日、総パラメータ 750B のオープンウェイトモデル K-EXAONE 2.0 を公開(2026年8月時点)。
- ライセンスは前世代の独自規約から Apache 2.0 に変更され、商用利用の制限が外れました。
- SWE-Bench Verified は前世代の 49.4 から 68.2 へ改善しています。
LG AI Research は 7月31日、基盤モデル「K-EXAONE 2.0(2026年8月時点)」を Hugging Face で公開しました。韓国・科学技術情報通信部が主管する独自 AI 基盤モデルプロジェクトの成果物にあたります。
構成は hybrid-attention Mixture-of-Experts で、総パラメータ 750B に対し推論時のアクティブパラメータは 37B です。256個のエキスパートのうち、トークンあたり 8個を活性化します。コンテキストウィンドウは 262,144トークン、ナレッジカットオフは 2025年第2四半期と記載されています。規模は総パラメータ 236B だった前世代の 3倍を超えます。
実務面で効くのはライセンスです。前世代の K-EXAONE 1.0 は独自の「K-EXAONE AI Model License Agreement」でしたが、2.0 では Apache 2.0 が採用され、商用利用に制限がかからない形になりました。対応言語も 6言語から 10言語(韓国語・英語・スペイン語・ドイツ語・日本語・ベトナム語・フランス語・イタリア語・ポーランド語・ポルトガル語)に広がっています。
ベンチマークで伸びた領域
伸び幅が大きいのはコーディングとエージェント用途です。
モデルカードに記載されたスコアは、MMLU-Pro 83.5、AIME 2026 92.3、SWE-Bench Verified 68.2、OpenAI-MRCR 94.4、IFEval 92.4、GPQA-Diamond 82.2、KMMLU-Pro 69.1、Terminal-Bench 2.1 43.8、KGC-Safety 99.8 です。
このうち SWE-Bench Verified は、2025年12月31日公開の前世代(総 236B / アクティブ 23B)の 49.4 から 68.2 に上がりました。LG の発表では 24指標の平均が 63.3 から 70.1 へと 10% 以上改善し、コーディングおよびエージェンティックコーディング領域は約 30% 向上したとされています。なお、日本語単体の性能スコアは本稿執筆時点で確認できていません。
750B を運用に載せるための設計
パラメータ総数の割に、動かす前提が考えられている点が特徴です。
アクティブパラメータを 37B に抑えた MoE 構成に加え、推論高速化として MTP(Multi-Token Prediction)と DSpark による投機的デコーディングに対応します。モデルカードは、この 2手法で生成が約 3〜5倍速くなると記載しています。vLLM では MTP を設定で有効化でき(num_speculative_tokens: 4)、SGLang は EAGLE 投機的デコーディングに対応します。必要な GPU メモリや量子化版の提供有無は、本稿執筆時点で確認できていません。
LG AI Research 共同研究院長の Lim Woo-hyung 氏は、設計から学習、推論環境の構築まで全工程を国内研究者が独自に完了した点に意義があると述べています。
編集部の見方
編集部は、今回の発表で最も効くのは 750B という規模そのものではなく、Apache 2.0 への変更だと見ます。
- 根拠1: 前世代は独自ライセンスで、商用利用の可否を法務が読み解く工程が必要でした。Apache 2.0 は解釈が確立しており、検討の入り口のコストが下がります。
- 根拠2: SWE-Bench Verified 49.4 → 68.2 の伸びは、社内のコード関連業務に自社ホスティングで当てる選択肢が現実味を持つ水準の変化です。ライセンスが緩くなければ、この性能は評価対象にすら上がりません。
- 根拠3: アクティブ 37B と投機的デコーディング約 3〜5倍という設計は、重みを配っただけで終わらせない意図が読み取れます。
- この見方が変わる条件: 実際に自社環境で動かした際の必要 GPU メモリが想定を超える場合、ライセンスの自由度があっても選択肢から外れます。この点は現時点で未確認です。
規制やデータ所在の要件から国外 API を使いにくい組織にとって、選択肢が 1つ増えた発表です。
よくある質問
Q: K-EXAONE 2.0 は商用利用できますか?
A: Apache 2.0 ライセンスで公開されているため、商用利用に制限はかかりません。前世代の独自ライセンスからの変更点です。
Q: 日本語には対応していますか?
A: 対応言語 10言語に日本語が含まれます。ただし日本語単体の性能スコアは本稿執筆時点で確認できていません。
Q: 750B のモデルを動かすには大きなサーバーが必要ですか?
A: 推論時に動くのは 37B 相当のアクティブパラメータですが、重み全体を保持する必要があります。必要な GPU メモリの公式な記載は本稿執筆時点で確認できていません。
まとめ
LG AI Research が 7月31日に公開した K-EXAONE 2.0 は、総 750B / アクティブ 37B の MoE 構成を Apache 2.0 で配布するモデルです。SWE-Bench Verified は前世代の 49.4 から 68.2 に上がり、コーディング領域の改善が目立ちます。投機的デコーディングによる約 3〜5倍の高速化にも対応しており、重みの公開と運用のしやすさを両立させる設計になっています。
同時期に公開された大規模オープンウェイトモデルとしては、以下の記事も参考になります:
【用語解説】
- MoE(Mixture-of-Experts): 複数の小さな専門ネットワークを用意し、入力ごとに一部だけを動かす構成。全体の規模を大きくしつつ、1回あたりの計算量を抑えられます。
- SWE-Bench Verified: 実際の GitHub の課題をモデルに解かせ、修正が通るかを測るベンチマーク。エージェント的なコード修正能力の指標として使われます。
- 投機的デコーディング: 軽い処理で先の単語を予測しておき、本体モデルがまとめて検証する高速化手法。出力内容を変えずに生成速度を上げる狙いがあります。
引用元:
- [1] K-EXAONE-2.0-750B-A37B モデルカード(Hugging Face)
- [2] K-EXAONE 公式リポジトリ(GitHub)
- [3] LG unveils 750 bil.-parameter frontier AI model K-EXAONE 2.0(The Korea Times)
- [4] LG unveils Korea’s largest AI model with 750 billion parameters(The Korea Herald)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。