DeepSeek V4-Flash は、DeepSeek が提供する低価格帯の大規模言語モデルです。2026年7月31日に正式版「DeepSeek-V4-Flash-0731」が公開され、設計とサイズを変えずに再ポストトレーニングのみでエージェント性能を引き上げた点が特徴です。
📖 この記事で分かること
- V4-Flash の正式版が7月31日に公開された
- 設計とサイズは据え置き、変えたのは後段の学習
- Terminal Bench 2.1 で 82.7 を記録した
- 料金は上位版 Pro のおよそ3分の1
💡 知っておきたい用語
- ポストトレーニング: 事前学習を終えたモデルに、後から受け答えや作業手順を仕込む追加の訓練。素材はそのままで調理法だけを変える工程にあたる
最終更新日: 2026年8月1日
▶ 公式ページ
- DeepSeek-V4-Flash-0731 モデルカード(Hugging Face)
- API チェンジログ(DeepSeek 公式ドキュメント)
- API 料金表(DeepSeek 公式ドキュメント)

DeepSeek-V4-Flash-0731 で何が変わったのか
この記事のポイント
- DeepSeek が2026年7月31日、DeepSeek-V4-Flash の正式版「DeepSeek-V4-Flash-0731」を公開しました。
- 設計とサイズは Preview 版と同一で、変更点は再ポストトレーニングのみ。
- Terminal Bench 2.1 で 82.7 を記録し、上位版の V4-Pro(Preview)を上回ったと公式は説明。
- API 料金は100万トークンあたり入力 $0.14 / 出力 $0.28(2026年8月時点)。
DeepSeek は7月31日、DeepSeek-V4-Flash(2026年8月時点)の正式版となる「DeepSeek-V4-Flash-0731」を公開しました。公式モデルカードは、この版が Preview 版を置き換える正式リリースであり、エージェント性能を大幅に強化したものだと説明しています。あわせて API はパブリックベータに入りました。
注目したいのは、性能が上がった理由です。公式チェンジログは「DeepSeek-V4-Flash-Preview とモデルアーキテクチャおよびサイズは同一で、再ポストトレーニングのみを実施した」と明記しています。モデルを大きくしたわけでも、設計を変えたわけでもありません。
ベンチマークは何を示しているか
公開されたスコアは、コード作業と自律的なタスク実行に寄っています。
公式モデルカードが掲載する主な数値は次のとおりです(2026年8月時点)。
- Terminal Bench 2.1: 82.7
- Cybergym: 76.7
- Toolathlon-Verified: 70.3
- DSBench-FullStack: 68.7 / DSBench-Hard: 59.6
- DeepSWE: 54.4 / NL2Repo: 54.2
- Agents’ Last Exam: 25.2 / AutomationBench Public: 25.1
端末上でコマンドを試行錯誤しながら課題を解く Terminal Bench 2.1 と、ツールを呼び分ける Toolathlon-Verified が高い水準にあり、公式は活性化パラメータ数がはるかに小さいにもかかわらず DeepSeek-V4-Pro(Preview)を上回ると記載しています。同社の下位モデルが、同社の上位モデルの先行版を追い抜いた形です。
第三者の計測も同じ方向を示しています。独立系の評価機関である Artificial Analysis は、同モデルの Intelligence Index を 50 と算出し、従来の V4 Flash の 40 から10ポイント上昇したとしています。エージェント系指標の GDPval-AA v2 では 1559 Elo(従来1189)。同社は総パラメータ 284B・推論時の活性 13B とも報告していますが、この内訳は DeepSeek 公式のモデルカードには記載がありません。あわせて、Intelligence Index の実行に要した出力トークンが約2億3,400万から約2億600万へ、およそ12%減ったとも報告されています。回答が冗長になる方向での「点数稼ぎ」ではないことを示す数字です。
料金と移行コスト
料金は据え置きで、呼び出し方法も変わりません。
公式料金表によれば、deepseek-v4-flash は100万トークンあたり入力 $0.14(キャッシュヒット時 $0.0028)、出力 $0.28。コンテキスト長は100万トークン、最大出力は384Kトークンです(いずれも2026年8月時点)。上位版の deepseek-v4-pro は入力 $0.435、出力 $0.87 なので、Flash の単価はおよそ3分の1にあたります。
移行にあたって開発者が手を入れる箇所もほぼありません。チェンジログは、API 呼び出しで model='deepseek-v4-flash' を指定すれば最新版に切り替わると説明しており、モデル名の変更は不要です。加えて正式版は Responses API 形式にネイティブ対応し、Codex 向けに適合させたとされています。
一方で、更新範囲は限定されています。公式は「今回の更新は DeepSeek-V4-Flash API のみを対象とし、DeepSeek-V4-Pro API と APP/WEB のモデルは変更されない」と明記しています。ブラウザ版やアプリから使っている場合、今回の改善はまだ反映されません。日本語での性能や、APP/WEB への反映予定、パブリックベータの終了時期については公式の記載がなく、現時点では不明です。
なお、リポジトリと重みはいずれも MIT ライセンスで公開されており、投機的デコーディングの DSpark モジュールが同梱されています。
編集部の見方
編集部は、今回の発表で最も重要なのはスコアの絶対値ではなく、「モデルを大きくせずに伸ばした」という手段のほうだと見ています。
- 根拠1: 公式が設計とサイズの同一性を明言した上で、変更点を再ポストトレーニングのみと限定している。性能向上の要因が学習工程側にあることを、提供元自身が切り分けて示した例です。
- 根拠2: 価格が据え置きのまま Terminal Bench 2.1 で 82.7 に達し、単価が約3倍の自社上位版(Preview)を上回っている。パラメータ規模と実務性能の対応関係が、少なくともエージェント用途では単純ではないことを示します。
- 根拠3: 重みが MIT ライセンスで公開されているため、API を経由しない検証や自前環境での再現が可能です。ベンチマークの数字を外部が確かめられる状態にあります。
業務利用の観点では、コード補助や自動化のようにトークン消費が積み上がる用途ほど、単価差が効いてきます。呼び出し名を変えずに切り替わる設計であるため、既存の実装を維持したまま挙動を比較できる点も現実的です。ただし対象は API のみで、アプリやブラウザ版の利用者には現時点で恩恵がありません。
この見方が変わる条件は、独立した検証で公式スコアが再現できなかった場合です。特に Terminal Bench 2.1 のようなエージェント系ベンチマークは実行環境や試行回数の設定に左右されやすく、第三者の追試結果が揃った段階で評価を見直す必要があります。
よくある質問
Q: 既存のコードを書き換える必要はありますか
A: 公式チェンジログによれば、model='deepseek-v4-flash' を指定していれば最新版に切り替わり、呼び出し方法の変更は不要です。
Q: アプリやブラウザ版でも性能は上がりますか
A: 上がりません。公式は今回の更新が V4-Flash API のみを対象とし、V4-Pro API と APP/WEB のモデルは変更されないと明記しています。
Q: 上位版の V4-Pro を使う理由はなくなりますか
A: 公開されているのは V4-Pro の Preview 版との比較です。正式版どうしの比較データは公式から示されておらず、用途ごとの検証が必要です。
まとめ
DeepSeek は2026年7月31日、DeepSeek-V4-Flash の正式版を公開しました。アーキテクチャとサイズは Preview 版から変えず、再ポストトレーニングのみでエージェント性能を引き上げたと公式は説明しており、Terminal Bench 2.1 で 82.7 を記録しています。料金は100万トークンあたり入力 $0.14 / 出力 $0.28 と据え置きで、上位版のおよそ3分の1の単価です。更新対象は API のみで、APP/WEB は変更されません。
【用語解説】
- 投機的デコーディング: 小さなモデルに先の単語をまとめて予測させ、本体モデルが一括で検算する高速化の手法。今回の公開物には DSpark モジュールとして同梱されています。
- MIT ライセンス: 著作権表示を残せば商用利用や改変、再配布を広く認める許諾条件。
- Terminal Bench: 端末上でコマンドを実行しながら課題を解かせ、作業の完遂率を測るベンチマーク。
引用元:
- [1] DeepSeek API チェンジログ(DeepSeek 公式ドキュメント)
- [2] DeepSeek-V4-Flash-0731 モデルカード(Hugging Face)
- [3] DeepSeek API 料金表(DeepSeek 公式ドキュメント)
- [4] DeepSeek V4 Flash 0731 scores 50 on the Artificial Analysis Intelligence Index(Artificial Analysis)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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