Inkling-Small - 4分の1サイズのInkling-Smallが推論で上位版を逆転。重みをApache 2.0公開 anchor left anchor right

Jul 31 2026 AIニュース

4分の1サイズのInkling-Smallが推論で上位版を逆転。重みをApache 2.0公開

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Inkling-Small は Thinking Machines Lab が2026年7月30日に完全な重みを公開した、総276B・アクティブ12B のマルチモーダルモデルです。

📖 この記事で分かること

  • Inkling-Small の完全な重みが公開された事実
  • 総276B・アクティブ12Bという構成の中身
  • 上位版 Inkling を上回った項目と、劣る項目
  • 自社運用を検討するときの判断材料

💡 知っておきたい用語

  • MoE【エムオーイー】: 内部に多数の「専門家」を持ち、入力ごとに一部だけを働かせる仕組み。全社員を毎回集めず、担当者だけを呼ぶ会議に近い
  • オープンウェイト: モデルの重み(学習結果そのもの)が配布され、自分の環境で動かせる状態のこと

最終更新日: 2026年7月31日

▶ 公式ページ

Inkling-Small - 4分の1サイズのInkling-Smallが推論で上位版を逆転。重みをApache 2.0公開

Inkling-Small の完全な重みが公開された

この記事のポイント

  • Thinking Machines Lab が2026年7月30日、Inkling-Small の完全な重みを公開しました。
  • 総276B / アクティブ12B で、上位版 Inkling(総975B / アクティブ41B)の約4分の1の規模です(2026年7月時点)。
  • 推論とエージェント的コーディングでは上位版を上回り、知識の網羅性では上位版が優位と公式が明記しています。
  • Hugging Face で入手でき、ライセンスは Apache 2.0(2026年7月時点)。

Thinking Machines Lab は7月30日、マルチモーダルモデル Inkling-Small の完全な重みを公開しました。同社が7月15日に Inkling を公開した時点では、Inkling-Small はプレビューとして言及されるにとどまり、テスト完了後に重みを出すと説明されていました。今回はその本公開にあたります。

配布先は Hugging Face の thinkingmachines/Inkling-Small で、ライセンスは Apache 2.0 です。あわせて Tinker プラットフォームでのファインチューニング、Tinker Playground でのテキスト・画像・音声チャットが利用できます。推論エンジンは SGLang、vLLM、TokenSpeed、Unsloth などに対応します。出力価格は100万トークンあたり $1.20 です(2026年7月時点)。入力側の価格は公式に記載がなく、不明です。

総276B・アクティブ12Bという構成

規模は総276Bパラメータ、うち実際に動くアクティブパラメータは12Bです。上位版 Inklingは総975B / アクティブ41B なので、約4分の1の大きさになります。

アーキテクチャは42層のデコーダオンリー Transformer で、フィードフォワード部分に疎な MoE を採用しています。各トークンは256のエキスパートのうち6つにルーティングされ、アテンションはローカルとグローバルのハイブリッド構成です。コンテキスト長は100万トークン。学習は NVIDIA GB300 NVL72 上で行われています。

マルチモーダル処理は「エンコーダーフリー」で、専用の変換器を挟まずに扱う設計です。音声は dMel スペクトログラム、画像は40×40ピクセルのパッチとして入力されます。入力はテキスト・画像・音声、出力はテキストです。安全性の設計は Inkling のものを引き継いでいます。

ベンチマークで上位版を上回った項目

公式が示したスコア(effort 0.99)は次のとおりです。

  • Humanity’s Last Exam(テキストのみ): 31.6%(上位版 Inkling は29.7%)
  • SWEBench Verified: 80.2%
  • GPQA Diamond: 89.5%
  • Terminal Bench 2.1: 64.7%
  • IFBench: 82.2%
  • StrongREJECT: 98.4%

公式は「はるかに少ない計算量で同等の性能を達成」した位置づけとし、推論とエージェント的コーディングのベンチマークでは上位版 Inkling を上回ったと説明しています。一方で、知識の網羅性とファクト性については Inkling が優位であることも明記されています。逆転の要因はパラメータ数ではなく、小型モデル向けに事前学習データとレシピを改善した結果だとされています。

なお、コンテキスト100万トークンを実際に使ったときの性能や、日本語に限定した個別スコアは公式に記載がなく、不明です。

編集部の見方

編集部は、Inkling-Small を「上位版の廉価版」ではなく、自社環境でモデルを動かす前提のチームにとっての現実的な第一候補だと見ます。

  • 根拠1: 小型版が上位版に一律で劣る、という前提が今回崩れています。Humanity’s Last Exam で31.6%対29.7%と逆転し、SWEBench Verified も80.2%です。エージェント用途で小型版を選ぶ理由が、コストだけではなくなりました。
  • 根拠2: Apache 2.0 で完全な重みが配布され、アクティブパラメータは12Bです。手元の環境に置いて評価できる規模であり、主要な推論エンジンに対応済みなので検証の初速が出ます。
  • 根拠3: それでも用途の切り分けは必要です。知識の網羅性とファクト性で上位版が優位だと公式自身が述べており、事実の正確さが成果物の質を決める業務では上位版や別系統との併用が前提になります。
  • この見方が変わる条件: 入力側の価格が公式未記載である点です。API 経由で使う前提なら総額が読めないため、そこが公表されるまで、API 利用に限った判断は保留になります。

よくある質問

Q: 上位版の Inkling とどちらを選ぶべきですか?

A: 推論やエージェント的なコーディングが主用途なら Inkling-Small が候補になります。公式のベンチマークではその領域で上位版を上回っています。一方、知識の広さと事実の正確さが求められる用途では上位版 Inkling が優位だと公式が明記しているため、用途で切り分けるのが妥当です。

Q: 自分の環境で動かせますか?

A: Hugging Face で完全な重みが公開されており、SGLang、vLLM、TokenSpeed、Unsloth などの推論エンジンに対応しています。ライセンスは Apache 2.0 です(2026年7月時点)。必要なハードウェア要件は本記事の確認範囲では不明のため、モデルカードで確認してください。

Q: 日本語の性能はどの程度ですか?

A: 日本語に限定した個別スコアは公式に記載がなく、不明です。判断するには自社のデータで検証する必要があります。


まとめ

Thinking Machines Lab は2026年7月30日、総276B / アクティブ12B の Inkling-Small の完全な重みを Apache 2.0 で公開しました。約4分の1の規模でありながら、推論とエージェント的コーディングのベンチマークでは総975B の上位版 Inkling を上回っています。伸びの理由として公式が挙げたのはパラメータ数ではなく、小型モデル向けに改善した事前学習データとレシピでした。入力価格と日本語の個別スコアは公式未記載であり、実運用の判断には自社データでの検証が要ります。


【用語解説】

  • アクティブパラメータ: MoE で1トークンを処理するときに実際に動く部分のパラメータ数。総数が大きくても、計算コストはこちらに近づく
  • エンコーダーフリー: 画像や音声を専用の変換器で前処理せず、本体が直接扱う設計
  • Apache 2.0: 商用利用や改変を認める代表的なオープンソースライセンスの一つ

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。