Kimi K3 は Moonshot AI が2026年7月16日に発表した総2.8兆パラメータのオープンウェイトMoEモデルで、100万トークンの文脈を扱える一方、重みの公開は2026年7月27日を予定しています。
📖 この記事で分かること
- Kimi K3 の規模と基本スペック
- KDA と AttnRes が何を速くするのか
- API 料金と提供チャネル
- 重みが落とせるようになる時期
💡 知っておきたい用語
- オープンウェイト: 学習済みの「重み」を配布し、手元にダウンロードして動かせる形態のこと。カフェのレシピを公開するのではなく、完成品の味そのものを持ち帰れるイメージ。
最終更新日: 2026年7月17日
▶ 公式ページ
- Kimi を試す(Kimi.com)
- Kimi K3 公式ブログ(Moonshot AI)
- Kimi API Platform(Moonshot AI)

Kimi K3 の概要
この記事のポイント
- Moonshot AI が 2026年7月16日に Kimi K3(2026年7月時点)を発表し、同日から API とアプリで提供を開始しました。
- 総2.8兆パラメータの MoE【エムオーイー】で、896エキスパート中16を活性化。コンテキストは100万トークン。
- オープンウェイトの公開予定日は2026年7月27日。7月17日時点では重みは未配布で、まだ手元には落とせません。
Moonshot AI は7月16日、フラッグシップモデル Kimi K3 を発表しました。総パラメータ2.8兆、アクティブパラメータは約50Bという Mixture-of-Experts 構成で、896のエキスパートのうち16を活性化する Stable LatentMoE を採用しています(2026年7月時点)。
コンテキストウィンドウは100万トークン。テキストに加えて画像・動画を入力できるネイティブマルチモーダルモデルとして設計されています。重みは MXFP4、活性化は MXFP8 で扱われます。
注意したいのは「オープンウェイト」の意味です。公式が示す重みの公開予定日は2026年7月27日で、記事執筆時点の7月17日には Moonshot AI の Hugging Face 組織に K3 のチェックポイントは掲載されていません(K2系のみ)。いま使えるのは API とアプリ経由の推論であり、ダウンロードして自前の環境で動かせるのは公開予定日以降です。
アーキテクチャと公称ベンチマーク
K3 の技術的な中心は、長い文脈を安く速く扱うための2つの仕組みです。
ひとつが Kimi Delta Attention(KDA)で、公式は100万トークン級の文脈でデコードが最大6.3倍速くなるとしています。もうひとつが Attention Residuals(AttnRes)で、追加コスト2%未満で学習効率が約25%向上し、モデルの深さ方向に情報を流しやすくする役割を持ちます。両者を含めた全体のスケーリング効率は、Kimi K2 比で約2.5倍と説明されています。
公称のベンチマークは、最大 reasoning effort 時の値として次のように公開されています(2026年7月時点)。
| ベンチマーク | Kimi K3 |
|---|---|
| GPQA-Diamond | 93.5 |
| MathVision(python 使用) | 97.8 |
| Terminal-Bench 2.1 | 88.3 |
| BrowseComp | 91.2 |
| FrontierSWE | 81.2 |
| Program Bench | 77.8 |
| DeepSWE | 67.5 |
| SWE Marathon | 42.0 |
いずれも Moonshot 自身が公開した数値であり、第三者による再現結果ではありません。公式は制約も明示しており、K3 は「thinking history への感度」があるため、最適な性能を得るには thinking history を保持するモードが必要だとしています。
料金と提供チャネル
API 料金は、入力がキャッシュヒット時 $0.30/MTok、キャッシュミス時 $3.00/MTok、出力が $15.00/MTok です(2026年7月時点)。キャッシュヒットとミスで10倍の差があるため、同じ長文脈を繰り返し参照する使い方では実効コストが大きく変わります。
提供チャネルは Kimi.com、Kimi Work、Kimi Code、そして Kimi API Platform の4つ。API は OpenAI SDK 互換のエンドポイント https://api.moonshot.ai/v1 で叩けるため、既存のコードからは接続先とモデル名の差し替えで試せます。仕様と最新の値は公式ブログで確認できます。
編集部の見方
編集部は、K3 で最も効くのはパラメータ規模の大きさではなく、100万トークン文脈でのデコード高速化だと見ています。
- 根拠1: KDA は100万トークン級の文脈でデコード最大6.3倍と公称されています(2026年7月時点)。長文脈は「入るかどうか」より「実用的な速度で返るかどうか」が採用判断を分けるため、ここが動くと使える場面が変わります。
- 根拠2: キャッシュヒット時の入力が $0.30/MTok と、キャッシュミス時の10分の1です。長い前提を固定して繰り返し問い合わせる設計と噛み合います。
- 根拠3: OpenAI SDK 互換エンドポイントが用意されており、試行の初期コストが低く抑えられています。
一方で、現時点の評価は Moonshot の自己申告値に依存しています。この見方が変わる条件は、2026年7月27日の重み公開が予定どおり実行され、第三者が同じ数値を再現できるかどうかです。公開が遅れる、あるいはライセンスに制限が付く場合、「オープンウェイト」という位置づけ自体を評価から差し引く必要があります。
よくある質問
Q: Kimi K3 の重みは今すぐダウンロードできますか?
A: できません。公式が示す公開予定日は2026年7月27日で、7月17日時点では Moonshot AI の Hugging Face 組織に K3 のチェックポイントは掲載されていません。現在利用できるのは API とアプリ経由です。
Q: 既存のコードから試すには何が必要ですか?
A: OpenAI SDK 互換のエンドポイント https://api.moonshot.ai/v1 が提供されているため、接続先とモデル名の差し替えで試せます。
Q: 2.8兆パラメータすべてが毎回動くのですか?
A: 動きません。MoE 構成のため、896エキスパートのうち16のみを活性化し、アクティブパラメータは約50Bです。
まとめ
Moonshot AI は2026年7月16日に Kimi K3 を公開し、API とアプリでの提供を同日開始しました。総2.8兆パラメータ、100万トークン文脈、KDA によるデコード最大6.3倍という設計で、API はキャッシュヒット時の入力 $0.30/MTok と長文脈の反復利用に寄せた値付けになっています。オープンウェイトを名乗る一方で、重みの配布は2026年7月27日予定であり、手元で動かす前提の検証はその日を待つ必要があります。
【用語解説】
- MoE(Mixture-of-Experts): モデル内部に多数の「専門家」を用意し、入力ごとに一部だけを動かす仕組み。全社員を集めず、案件ごとに担当者だけを呼ぶ会議に近い。
- KDA(Kimi Delta Attention): 長い文脈を読む際の計算を効率化する注意機構。K3 では100万トークン級でデコード最大6.3倍と公称されている。
- アクティブパラメータ: MoE で実際に推論時に動く部分のパラメータ数。K3 は総2.8兆に対して約50B。
引用元:
- [1] Kimi K3 公式ブログ(Moonshot AI)
- [2] Moonshot AI 公式 Hugging Face 組織ページ(Hugging Face)
- [3] Moonshot AI Releases Kimi K3: A 2.8 Trillion Parameter Open MoE Model With Kimi Delta Attention and 1M Context(MarkTechPost)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。