Tencent Hy4 preview - Tencentが770BのAIモデルをApache 2.0で公開。自前で動かすには8GPU必要 anchor left anchor right

Aug 29 2026 AIニュース

Tencentが770BのAIモデルをApache 2.0で公開。自前で動かすには8GPU必要

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Tencent Hy4 preview は、Tencent が2026年8月28日にオープンソースとして公開した、総パラメータ770B・活性化49BのMoEモデルです。

📖 この記事で分かること

  • Hy4 preview の規模とライセンスの要点
  • 自前で動かすのに必要な機材の条件
  • 公開された評価スコアの読み方
  • 開発元自身が認めている弱点

💡 知っておきたい用語

  • MoE: 大勢の専門家を抱えつつ、質問ごとに担当者だけを呼び出す仕組み。全員を動かさないので計算量を抑えられます

最終更新日: 2026年8月29日

▶ 公式ページ

Tencent Hy4 preview - Tencentが770BのAIモデルをApache 2.0で公開。自前で動かすには8GPU必要

Tencent Hy4 preview として公開されたもの

この記事のポイント

  • Tencent が2026年8月28日、総パラメータ770BのMoEモデル「Hy4 preview」をApache License 2.0で公開しました(2026年8月時点)。
  • 1トークンあたりの活性化は49B、コンテキスト長は1Mトークンです。
  • 自前運用はテンソル並列8GPU推奨のため、当面の入口はTencent Cloud TokenHubやOpenRouter経由のAPIになります。

Tencent は8月28日、大規模言語モデル「Tencent Hy4 preview」をオープンソースとして公開しました。総パラメータは770B、1トークンあたりに実際に動くのは49Bで、コンテキスト長は1Mトークンです。ライセンスは Apache License 2.0 が採用されています。

この規模のモデルが Apache License 2.0 で出た点が今回の中心です。重みが配布され、商用利用や改変、再配布が広く認められる条件になります。研究用途に限定するライセンスや、月間利用者数で制限をかけるライセンスとは前提が違い、社内システムへの組み込みやファインチューニングの土台として検討できる範囲が広がります。

770Bのうち49Bだけが動く構造

推論のたびに770B全部が動くわけではありません。Hy4 preview は78層構成で、最初の1層だけが通常のFFN、残る77層がMoEになっています。各層にはルーテッドエキスパートが256個と共有エキスパートが1個あり、1トークンごとにルーテッド側から上位8個が選ばれます。この結果、活性化パラメータが49Bに収まります。

アテンションには Gated DeepSeek Sparse Attention(Gated DSA)と IndexCache が使われ、クエリ側を2048次元、キー・バリュー側を512次元に圧縮します。層をまたぐスパースインデックスを再利用する設計で、1Mトークンという長い文脈を扱う際の計算量に効きます。残差構造には iHC(identity Hyper-Connections)が入り、hidden size は6144、アテンションヘッドは64、語彙サイズは120,832です。

投機的デコード用の MTP 層も別途10B(活性化0.7B)が用意されており、公式には投機トークン数3が推奨されています。長文脈と生成速度の両方を、アーキテクチャ側で稼ぎにいった構成だと読めます。

自前で動かす条件と、現実的な入口

公開された重みを自分の環境で動かす場合、推奨はテンソル並列8GPUです。推論フレームワークはvLLMか SGLang が推奨され、公式Dockerイメージとして vllm/vllm-openai:hy4-previewlmsysorg/sglang:hy4-preview が提供されています。FP8版の Hy4-preview-FP8 もあり、量子化ツールキット AngelSlim が対応しています。

つまり「オープンソースだから手元で試せる」とはなりにくい構成です。8枚のGPUを並べられる環境は限られ、多くの読者にとって現実的な入口はAPIになります。Tencent Cloud TokenHub と OpenRouter が提供経路として案内されており、価格は100万トークンあたり入力$0.834、出力$2.501、キャッシュヒット$0.042です(2026年8月時点)。

製品側では WorkBuddy、CodeBuddy、Yuanbao、ima から利用できます。WorkBuddy と CodeBuddy では公開から2週間の無料提供があり、前世代 Hy3 の無料提供は9月30日まで延長されています。重みの公開と、実際に触る導線が別ルートで用意されている形です。

スコア2.99をどう読むか

公開された評価は、Tencent 社内で実施されたブラインド評価です。163人の専門家が203件のエンジニアリングタスクを採点し、Hy4 preview が4点満点で2.99、Kimi K3 が2.94、GLM-5.3 が2.92という結果でした。

ここで注意したいのは、差が0.05から0.07にとどまる点と、評価者とタスクの選定がモデルの提供元自身の手にある点です。第三者機関のベンチマークではありません。「GLM-5.3 や Kimi K3 を上回った」と読むより、「同じ水準の候補が3つ並んだ」と読むほうが実態に近いと考えられます。用途に合うかどうかは、自分のタスクで比べ直す必要があります。

開発元自身も慎重な書き方をしています。リポジトリでは Hy4 preview を「early version」と位置づけ、事前学習と事後学習の双方に伸びしろが残るとしています。具体的な弱点として、複雑なタスクで必要以上に長く推論する傾向と、過剰に検証を重ねる傾向が挙げられています。エージェント用途では、この性質がそのままトークン消費と待ち時間に跳ね返ります。

なお Tencent は、学習手法の自動最適化にモデル自身が初めて参加し、推論を自律的に最適化した結果としてエンドツーエンドのスループットが31.8%向上したと説明しています。これは同社の自社公表値で、外部の検証は示されていません。

編集部の見方

編集部は、今回の発表で最も効くのはスコアではなく ライセンス だと見ます。770B級のモデルが Apache License 2.0 で出たこと自体が、他社の選択に影響する事実です。

  • 根拠1: 商用利用や改変が広く認められる条件のため、社内での組み込みや追加学習の検討対象に入ります。利用者数などの条件付きライセンスとは検討の入口が変わります。
  • 根拠2: 社内ブラインド評価の差は0.05から0.07にとどまり、性能面での決定打にはなっていません(2026年8月時点)。差別化要因は使用条件側に寄っています。
  • 根拠3: 開発元が「early version」と明記し、過剰推論と過剰検証を弱点として挙げています。現時点で本番の中核に据える前提の完成度としては案内されていません。

この見方が変わる条件は、第三者ベンチマークでの結果が出そろったときです。社内評価の差が外部評価でも再現されるなら、ライセンスに加えて性能でも選ばれる位置に移ります。逆に再現しなければ、Apache License 2.0 という条件が引き続き主な採用理由になります。

まずは API 経由で自分のタスクを通し、過剰推論の傾向がどの程度出るかを見るのが現実的な進め方です。


よくある質問

Q: Hy4 preview は無料で使えますか

A: モデルの重みは Apache License 2.0 で公開されています。API 利用は有料で、100万トークンあたり入力$0.834、出力$2.501です。WorkBuddy と CodeBuddy では公開から2週間の無料提供があります。

Q: 手元のPCで動かせますか

A: 推奨構成はテンソル並列8GPUです。一般的な個人環境で動かすことは想定されていません。FP8版と量子化ツールキット AngelSlim は提供されていますが、必要な機材の水準は下がっても十分に高いままです。

Q: GLM-5.3 や Kimi K3 より高性能ということですか

A: Tencent 社内のブラインド評価では上回っていますが、差は0.05から0.07で、第三者ベンチマークの結果ではありません。用途ごとに自分で比較することが必要です。


まとめ

Tencent は8月28日、総パラメータ770B・活性化49B・コンテキスト長1Mトークンの Hy4 preview を Apache License 2.0 で公開しました。推奨構成はテンソル並列8GPUで、当面の現実的な入口は TokenHub や OpenRouter 経由のAPIです。社内ブラインド評価では GLM-5.3 と Kimi K3 をわずかに上回りましたが差は小さく、開発元自身も「early version」として過剰推論と過剰検証を弱点に挙げています。

同規模のモデルがApache 2.0で公開された事例は、以下の記事でも扱っています:


【用語解説】

  • MoE【エムオーイー】: Mixture of Experts の略。多数の小さなモデルを内部に持ち、入力ごとに一部だけを動かす構造。総パラメータが大きくても計算量を抑えられます
  • テンソル並列: 1つのモデルを複数のGPUに分割して同時に計算する方式。単体のGPUに載りきらない規模のモデルを動かすために使われます
  • 投機的デコード: 小さなモデルに先回りして候補を作らせ、本体モデルがまとめて検証する高速化手法。Hy4 preview では MTP 層が担当します

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。