Claude Code・Cowork は、Anthropic が提供するコーディング・業務支援 AI エージェントで、2026 年に大型アップデートされた OpenAI Codex と機能設計の方向性が異なります。
📖 この記事で分かること
- Codex新機能の核は「コンピュータ操作」と90超プラグイン
- Claude Code・CoworkはDispatchでスマホ連携を先行
- Mac先行の提供範囲と権限設計に両者の差がある
- 選び方はワークフローの軸で決まる
💡 知っておきたい用語
- コンピュータ操作:AIが画面を見て、自分のカーソルでクリックや入力をする仕組み。いわば「目と手を与えられたAIの遠隔作業」です。
最終更新日: 2026年5月5日
※本記事は1次情報(OpenAI・Anthropic公式)を中心に、2次情報を補足として構成しています。

Codex「for (almost) everything」で何が変わったのか
OpenAIは2026年4月16日、Codexデスクトップアプリを大幅に更新し、コーディング以外の作業にも軸足を広げました。コード補助から「デベロッパー業務のハブ」へと位置付けが変わるアップデートです。
2月2日にmacOS版、3月4日にWindows版として登場したCodexアプリが、今回の更新で次の機能を取り込みました。
- バックグラウンド コンピュータ操作(macOSで先行提供、EUと英国は後日)
- Codex内ブラウザ(ローカルや未ログインの公開ページ向け)
- gpt-image-1.5による画像生成
- メモリ プレビュー(Enterprise、Education、EU、英国は順次提供)
- 長期稼働の自動化(日単位・週単位の継続タスク)
- 90を超えるプラグイン(MCP【エムシーピー】サーバーやアプリ連携を統合)
- 複数ターミナルタブ、SSH越しのリモートdevbox接続、PRレビュー、ファイルのリッチプレビュー
OpenAIはCodexを週300万人以上の開発者が利用していると公表しています。公式チェンジログは、今回の更新を「アプリの新規ローンチ」ではなく既存アプリの役割拡張と位置付けている点に注意が必要です。
Claude CodeとCoworkの現状
Anthropicは、Claude CodeとCoworkに対し、2026年3月23日付で「コンピュータ操作」機能を研究プレビューとして追加しました。4月3日にはWindowsへも提供範囲が広がっています。
公式リリースノートとサポートドキュメントによると、現状の特徴は次のとおりです。
- 提供対象は現時点でClaude ProとMaxプラン(Team・Enterpriseは当初対象外)
- まずコネクタ(Google Workspace、Slackなど)を優先し、対応がない場合のみ画面を操作する「コネクタ優先」設計
- CoworkはClaude Desktop内のタブとして利用し、非エンジニアも想定
- Claude Codeはターミナル中心のコーディング エージェントを拡張する位置付け
- Dispatch(3月17日ローンチ、Cowork内の研究プレビュー)により、iPhoneや他のスマホからタスクをデスクトップ側のセッションに引き渡せる
- Claude CodeはCLI、Desktop、IDE拡張、Web、モバイルから利用でき、v2.1系でgit worktreeのネイティブ対応やサブエージェントの並列実行などが入っている
Cowork初期に指摘されたデータ流出脆弱性についてはAnthropicが認識を示し、機微データと並行利用しない運用を推奨しているとの報道もあります。
比較:Codex vs Claude Code・Cowork
公開情報の範囲で両者を横に並べ、差分の輪郭を整理します。優劣ではなく「どこを強みに置いたか」の違いとして読むのが実態に近い構図です。
| 観点 | OpenAI Codex(4月16日更新後) | Claude Code / Cowork |
|---|---|---|
| 主対象 | デベロッパー中心、業務周辺にも拡張 | Claude Code=デベロッパー、Cowork=非エンジニア含む |
| コンピュータ操作 | バックグラウンド実行、macOS先行、複数エージェント並列を訴求 | コネクタ優先のフォールバック設計、macOS先行でWindowsへ拡大 |
| ブラウザ連携 | アプリ内ブラウザ(ローカル・未ログイン公開ページ向け) | デスクトップ側のアプリ/ブラウザを画面操作 |
| モバイル連携 | 中心機能としては強調されていない | Dispatchでスマホからタスクをハンドオフ |
| 拡張・統合 | 90超のプラグイン(MCP・連携アプリを統合) | コネクタ、MCP、サブエージェント、worktree並列 |
| メモリ | プレビュー提供(Enterprise、Edu、EU、英国は順次) | Claudeのメモリ、Dispatchの継続スレッド |
| 対応プラン | ChatGPTサインインのCodexデスクトップ利用者に順次 | Claude ProとMax(Team・Enterpriseは当初対象外) |
| 料金体系 | ChatGPT各プラン内での提供 | Claude ProとMaxの月額プランに付帯 |
Codexの「複数エージェント並列」はMac上のアプリをまたいだ作業の同時進行を前面に出した設計です。一方のClaude Codeはgit worktreeを使ったコード領域の並列化が得意で、狙う並列性のレイヤーが異なります。ブラウザ連携も、Codexはアプリ内専用ブラウザを備えるのに対し、Claude側はコネクタ非対応の場面で画面をクリックするアプローチです。
どちらを選ぶべきか(編集部の見方)
軸を「開発ライフサイクルの自動化」に置くか「デスクトップ業務+モバイル起点のハンドオフ」に置くかで分かれます。
Codexが向くケース
- PRレビュー、複数ターミナル、リモートdevboxなど開発周辺をひとつのアプリに集約したい
- 90超のキュレーション済みプラグインで拡張先を絞り込みたい
- macOSが主要環境で、バックグラウンドの並列エージェント運用を試したい
Claude Code・Coworkが向くケース
- 非エンジニアもAIに「手の作業」を渡したい(Cowork)
- iPhoneからの起点でタスクを発生させ、デスクトップで継続させたい(Dispatch)
- コネクタ経由のAPI操作を優先し、画面操作はフォールバックに留めたい
実運用では両者に共通する留意点もあります。
- 画面操作型AIはどれも研究プレビューや早期段階で、再試行を要する場面がある
- 機微データや本番の金融・医療・人事情報との同居は避けるのが無難
- EUや英国での提供は段階的で、Codexのコンピュータ操作とメモリの一部は順次展開、CoworkもWindows対応が4月3日に追加されたばかり
企業導入ではセキュリティ レビューとログ監査の設計が前提になります。プロンプト インジェクション対策など、運用側の手当ても必要です。
今後の論点
今回の更新で鮮明になったのは、コード生成以上の「作業の委任」がAIアシスタントの主戦場になりつつある構図です。OpenAIはCodexを業務全般の制御レイヤーへ、Anthropicは開発者向けのClaude CodeとDesktop統合のCoworkを両輪に据え、近接領域で競り合っています。
注目点は3つあります。第一に、macOS先行の機能がEU・英国・Enterpriseにどう広がるか。第二に、プラグインとMCPを軸とした拡張エコシステムの選別(キュレーション型vs開放型)の行方。第三に、スマホ起点(Dispatch)やスケジュール実行など、「人がいない時間」に動くAIの安全性と信頼性の積み上げです。
仕様の変動が前提の段階にあり、本番依存の前に小さな業務から試すのが現実的な入り口です。
よくある質問
Q: Codexの新機能はすべての人にすぐ使えますか?
A: バックグラウンド コンピュータ操作は当初macOS限定で、EUと英国は後日提供とされています。メモリ プレビューもEnterprise、Education、EU、英国は順次展開です。提供状況はOpenAIのチェンジログやアプリ内の案内で確認できます。
Q: Claude Code・Coworkのコンピュータ操作はどのプランで使えますか?
A: Anthropicの公表情報によると、現状はClaude ProとMaxのサブスクリプションが対象で、Team・Enterpriseは当初対象外です。macOSは3月23日、Windowsは4月3日に提供開始となっています。
Q: どちらを選べば良いですか?
A: 開発ライフサイクルの自動化が軸ならCodex、非エンジニアを含むチームのデスクトップ業務やモバイル起点のタスクハンドオフを重視するならClaude Code・Coworkが有力です。最終的にはチームの業務設計とセキュリティ要件で決まります。
まとめ
Codexの4月16日アップデートは、コード生成ツールから開発業務のハブへと役割を広げるものです。対するAnthropicは、3月以降のClaude Code・CoworkとDispatchで、デスクトップとモバイルを結ぶハンドオフを先行させました。どちらも研究プレビュー段階の機能が多く、画面操作の性質上、セキュリティ設計と併走させる運用が求められます。製品差の本質は機能リストの多寡ではなく、自組織の業務構造との相性にあります。
【用語解説】
- プラグイン: 外部ツールやサービスをAIから呼び出せるようにする拡張モジュール。Codexは90超のキュレーション済みプラグインを公式提供しています。
- MCP【エムシーピー】: Model Context Protocolの略で、AIと外部ツール・データ源を標準的につなぐ取り決め。CodexのプラグインやClaude側のコネクタ・拡張の基盤として利用されています。
- Dispatch【ディスパッチ】: Anthropicが2026年3月17日にCowork内で開始した研究プレビュー機能。iPhone等からタスクを送ると、デスクトップ側のClaudeが持続的なスレッドで作業を進めます。
免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。
引用元:
- [1] OpenAI Developers – Codex Changelog – https://developers.openai.com/codex/changelog
- [2] Claude Help Center – Release notes – https://support.claude.com/en/articles/12138966-release-notes
- [3] Claude Help Center – Assign tasks to Claude from anywhere in Cowork – https://support.claude.com/en/articles/13947068-assign-tasks-to-claude-from-anywhere-in-cowork
- [4] MacRumors – OpenAI Codex Update Adds Computer Use, Image Generation, and Memory on Mac – https://www.macrumors.com/2026/04/16/openai-codex-mac-update/
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15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。
技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。
また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。