スクエニ QA自動化とは、スクウェア・エニックスがゲーム画面を視認してコントローラーを自動操作し、品質テストを自走させる取り組みです。2026年7月30日のGoogle Cloud Next Tokyo ’26 基調講演で公開されました。
📖 この記事で分かること
- スクエニが公開したQA自走AIの動作内容
- 開発基盤に選ばれたGoogleのサービス名
- 共同研究で判明した二層構造の設計
- 2027年末までの自動化目標と対象工程
💡 知っておきたい用語
- QA: ゲームが仕様どおり動くかを人手で確認する品質保証工程。バグ探しの現場作業にあたります
- マルチモーダルAI: 文字だけでなく画像や音声も同時に扱えるAI。人が画面を見て判断するのに近い入力の受け取り方です
最終更新日: 2026年8月1日
▶ 公式ページ
- Google Cloud Next Tokyo ’26(Google Cloud)

画面を見てコントローラーを操作するQAエージェント
この記事のポイント
- スクウェア・エニックスが2026年7月30日、Google Cloud Next Tokyo ’26の基調講演でQA【キューエー】自動化AIを披露しました。
- AIがゲーム画面を視認し、コントローラーを操作して検証を自走します。
- 基盤はGemini Enterprise Agent Platform(2026年8月時点)。対象はテスト設計からテキストチェックまで4工程です。
スクウェア・エニックスは2026年7月30日、東京ビッグサイト西展示場で開かれた「Google Cloud Next Tokyo ’26」Day1の基調講演で、ゲームの品質テストを自動化するAIを公開しました。登壇したのは同社AI&エンジン開発ディビジョン ジェネラル・マネージャーの荒牧岳志氏です。
公開されたのは、AIがゲーム画面を視認して状況を把握し、コントローラーを自動操作して検証を進める仕組みです。デモの自動プレイ動画では、AIがテストタスクに沿って自らゲーム内の地図を開いて場所を確認し、キャラクターを移動させていく様子が示されました。画面にはAIの思考過程とタスクリストが並走して表示されています。
開発基盤にはGoogle Cloudの「Gemini Enterprise Agent Platform」(旧「Vertex AI」)を採用しました。画面認識と音声認識に対応するマルチモーダルAIが、開発現場の作業を実際に担い始めている構図です。使用しているGeminiのモデル名やバージョンは公表されておらず、不明です。
二層構造とログダンプが支える設計
自走するエージェントの設計は、東京大学 松尾・岩澤研究室との共同研究として先に公開されています。CEDEC+KYUSHU 2025のセッションで示された構成は、「行動タスク」と「評価タスク」を分離した二層構造です。実行エージェントがゲーム画面情報と仕様書データから次の行動を推論し、別の評価エージェントがその結果の妥当性を検証します。
入力はゲーム画面の画像に加えて、位置情報やコリジョン情報を含むJSON形式のログを併用し、経路探索にはA*アルゴリズムを使います。LLM【エルエルエム】の空間認識能力が弱いという課題に対しては「ログダンプシステム」を開発し、村内の建物への移動精度が向上したと報告されています。画面だけを頼りにさせず、座標情報で補強する設計思想が読み取れます。
この共同研究は研究者・エンジニア10名超の体制で、汎用的に使えるツールを目指すものとして進められてきました。
2027年末に7割という目標の位置づけ
同社は2025年11月に公表した中期経営計画進捗レポートで、2027年末までにQA・デバッグ工程の70%を生成AIで自動化する方針を示しています。今回の基調講演は、その目標に向けた実装が動作段階に入ったことを示す場になりました。
対象となる工程は、テスト設計、QA自動プレイ、グラフィックス不具合検出、テキストチェックの4つです。この「AI駆動型品質チェックプラットフォーム」の開発は、経済産業省のコンテンツ産業支援事業「IP360」にも採択されています(採択結果は2026年6〜7月に公表)。交付額の確定値は不明です。
なお同じ基調講演では、「ドラゴンクエストX オンライン」向けの対話型AIバディ「おしゃべりスラミィ」(2026年8月実装予定)も同じGemini基盤の事例として紹介されました。
編集部の見方
編集部は、今回の発表で最も重要なのは自動化率の数字ではなく、画面入力とログ入力を組み合わせた設計が公開された点だと見ます。
- 根拠1: デモで示された動作は「地図を開いて場所を確認し、移動する」という手順の実行であり、単発の操作再生ではなく複数ステップの判断を伴います。同種の業務自動化に転用しやすい形です。
- 根拠2: 共同研究で明かされた二層構造は、行動と評価を別エージェントに割る構成です。実行させたAIに自己採点させない設計は、業務適用時の信頼性設計として参考になります。
- 根拠3: ログダンプシステムの導入は、LLMの弱点(空間認識)を機械的なデータで補うという判断です。モデルの性能向上を待たずに精度を上げる現実的な打ち手といえます。
一方で、現時点の自動化達成率、不具合の検出率、対象タイトル名はいずれも非公表です。7割という目標に対して現在どこまで到達しているかは、この発表からは判断できません。この見方が変わる条件は、精度や検出率の実測値が公開された場合です。数値が出た時点で、汎用ツールとして成立しているのか特定タイトル向けの作り込みなのかが判別できるようになります。
よくある質問
Q: AIはどうやってゲームを操作しているのですか
A: ゲーム画面を視認して状況を把握し、コントローラーを自動操作します。テストタスクに沿って地図を開き、キャラクターを移動させて検証を進めるデモが公開されました。
Q: どのゲームでQAを回しているのですか
A: 対象タイトル名は公表されておらず、不明です。デモは自動プレイ動画として示されました。
Q: いつまでに何割を自動化する計画ですか
A: 2025年11月公表の中期経営計画進捗レポートで、2027年末までにQA・デバッグ工程の70%を生成AIで自動化する方針が示されています。現時点の達成率は非公表です。
まとめ
スクウェア・エニックスは2026年7月30日の基調講演で、ゲーム画面を視認してコントローラーを操作するQA自動化AIを公開しました。基盤はGemini Enterprise Agent Platformで、対象工程はテスト設計、QA自動プレイ、グラフィックス不具合検出、テキストチェックの4つです。共同研究で示された行動と評価を分ける二層構造、および座標ログで空間認識を補う設計は、ゲーム以外の業務自動化にも読み替えられる内容を含みます。精度や検出率の実測値は未公表で、2027年末の70%目標に対する進捗は現時点では判断できません。
【用語解説】
- エージェント: 目標を与えると自ら手順を決めて実行するAIの動作形態。1回の質問に1回答えるのではなく、複数ステップを継続します
- コリジョン: ゲーム内で物体同士がぶつかる範囲を定義したデータ。壁や地面の当たり判定にあたります
- A*アルゴリズム: 出発点から目的地までの最短経路を効率よく探す古典的な計算手法。ゲームのキャラクター移動で広く使われます
引用元:
- [1] Google Cloud Next Tokyo ’26 公式イベントページ(Google Cloud)
- [2] スクエニ、ゲームの品質テストをGeminiで自動化 AIが画面を見ながらコントローラーを操作、検証作業を自走(ITmedia AI+)
- [3] 生成AIを活用したQA工数削減の試み。スクエニと東大・松尾研究室の共同研究を紹介するセッションをレポート(4Gamer)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。