Parallel Web Search は、Google Cloud が Gemini Enterprise Agent Platform に追加した外部のWeb検索グラウンディング提供元で、2026年7月16日から Preview として利用できます。
📖 この記事で分かること
- Gemini企業版に外部Web検索が公式追加された経緯
- 対応6モデルとレート制限などの具体仕様
- Marketplace経由とBYOKの2つの導入経路の違い
- RAGとライブWeb根拠付けの使い分けの考え方
💡 知っておきたい用語
- グラウンディング: AIの回答を外部の実データに結び付け、出典付きで答えさせる仕組み。社内資料ではなく「今のWeb」を参照先にするのが今回の話
- Zero Data Retention: 送ったデータを提供側に残させない設定。機微な業務でAIを使うときの前提条件になる
最終更新日: 2026年7月17日
▶ 公式ページ
- Grounding with Parallel Web Search 発表記事(Google Developers Blog)
- Google Gemini Enterprise 連携ドキュメント(Parallel)

Gemini Enterprise Agent Platform に何が追加されたのか
この記事のポイント
- Google Cloud が2026年7月16日、Gemini Enterprise Agent Platform に Parallel Web Search をネイティブなグラウンディング提供元として追加しました。
- 対応は6モデル、レート制限は毎分200プロンプト、現在は Preview(Pre-GA)です(2026年7月時点)。
- 単価は公式には非開示。Marketplace 購読なら Google Cloud 請求に合算され、Zero Data Retention も選べます。
Google Cloud は7月16日、企業向けの Gemini Enterprise Agent Platform に、Parallel Web Systems の検索サービス「Parallel Web Search」をグラウンディング提供元として追加しました。Gemini Enterprise API から呼び出せるほか、Agent Studio では選択肢として現れ、Google Cloud Marketplace から購読できます。
ポイントは、Google が自社の検索一択を前提にせず、外部の検索プロバイダを企業に選ばせる形にしたことです。エージェントの回答を「今のWeb」に結び付ける部分が、差し替え可能な部品として扱われるようになりました。
仕様・対応モデル・導入経路
現時点で公開されている仕様は次のとおりです。ステータスは Preview(Pre-GA)で、本番前提の採用にはまだ早い段階です(2026年7月時点)。
対応モデルは6つです(2026年7月時点)。
- Gemini 2.5 Flash(
gemini-2.5-flash) - Gemini 2.5 Flash-Lite(
gemini-2.5-flash-lite) - Gemini 2.5 Pro(
gemini-2.5-pro) - Gemini 3.1 Pro(
gemini-3.1-pro-preview) - Gemini 3.1 Flash-Lite(
gemini-3.1-flash-lite) - Gemini 3.5 Flash(
gemini-3.5-flash)
レート制限は毎分200プロンプト(2026年7月時点)。グラウンディングに使う検索結果の件数は1〜20の範囲で設定でき、既定値は10です。件数を絞れば応答は軽くなり、増やせば根拠の幅が広がるという調整余地が、パラメータとして露出しています。
導入経路は2つに分かれます。
- Google Cloud Marketplace 経由の購読: APIキーの取得が不要で、最短で使い始められます。Zero Data Retention を使えるのはこちらだけです
- BYOK(Bring Your Own Key): Parallel Platform 側で認証情報を取得して持ち込む方式
課金は Gemini のトークン消費と Parallel の Search API 利用の両方が発生します。Marketplace 経由なら既存の Google Cloud 請求に合算され、BYOK なら別請求です。ただし具体的な単価は公式発表では非開示で、Marketplace で購読する際に確認する形になります。コスト試算を先に固めたい場合、ここは現時点の不確定要素です。
RAG ではなく「ライブWebの根拠付け」という位置づけ
このニュースを社内資料検索(RAG)の話と混同すると、判断を誤ります。RAG は自社で用意した文書を検索対象にする仕組みですが、今回の対象は自社の外にある、更新され続けるWebです。
Parallel Web Systems は、元 Twitter CEO の Parag Agrawal 氏が創業した企業で、AIエージェント向けの検索インフラを構築しています。独自のWebインデックスから、LLM が扱いやすい構造化された結果を返す点を売りにしており、Sequoia Capital・Khosla Ventures・Index Ventures などから総額2億3,000万ドルを調達しています。
Agrawal 氏は発表に寄せて、AIエージェントは近いうちに人間がこれまで使ってきた以上にWebを使うようになり、エージェントの動き方に合わせて設計された検索インフラを必要とする、という趣旨のコメントを出しています。Google Cloud のプレジデント兼CROである Matt Renner 氏は、Parallel をグラウンディングの選択肢に加えることで、顧客が好みのライブWebデータの流れを使って Gemini をより賢くできる、と述べています。
想定ユースケースとして挙げられているのは、カタログ情報の補完・拡充、自律エージェントのワークフロー、マルチエージェントのオーケストレーション、大規模なプログラム呼び出し、そして機微なワークロード向けの Zero Data Retention です。取得した結果を他のLLMで後処理する構成も可能とされており、Gemini の中で完結させない組み方も想定されています。
編集部の見方
編集部は、今回の発表で本当に効くのは Parallel という個社の参入そのものよりも、グラウンディングの提供元が「選べる層」として切り出されたことだと見ます。
- 根拠1: 対応が6モデルに及び、Gemini API・Agent Studio・Marketplace の3経路すべてから触れる形で提供されています。実験的なアドオンではなく、プラットフォームの標準的な選択肢として設計されています。
- 根拠2: 検索結果件数が1〜20で可変、レート制限が毎分200プロンプトと、運用パラメータが明示されています(2026年7月時点)。エージェントの根拠付けを、チューニング対象として扱う前提が見えます。
- 根拠3: Zero Data Retention が Marketplace 購読側にのみ用意されている点は、機微データを扱う企業の経路選択を実質的に決めます。技術要件ではなく契約経路が構成を縛る、という企業向けらしい設計です。
この見方が変わる条件: 単価が非開示のままである以上、コスト面の評価は保留です。公開された単価が自社検索によるグラウンディングと比べて割高であれば、選択肢としての意味は「品質で選ぶ一部用途向け」に狭まります。加えて現状は Preview(Pre-GA)であり、GA までに仕様が動く可能性も織り込む必要があります。今の段階では、本番投入より検証環境での比較評価が現実的な距離感です。
よくある質問
Q: これは社内文書を検索させる RAG の代わりになりますか?
A: 用途が異なります。今回のグラウンディングは公開されているライブWebを参照先にする仕組みで、自社が用意した文書を対象にする RAG とは対象データが違います。社内資料を根拠にしたい場合は従来どおり別の仕組みが必要です。
Q: 料金はいくらかかりますか?
A: 具体的な単価は公式発表では非開示です。仕組みとしては Gemini のトークン消費と Parallel の Search API 利用の両方が課金対象で、Google Cloud Marketplace 経由なら既存の Google Cloud 請求に合算されます。金額は購読時に確認する形です。
Q: すぐ本番で使ってよいものですか?
A: 2026年7月時点で Preview(Pre-GA)です。GA 前の段階にあたるため、本番の基幹用途に組み込む前に、検証環境での評価をおすすめします。
まとめ
Google Cloud は2026年7月16日、Gemini Enterprise Agent Platform に Parallel Web Search をネイティブなグラウンディング提供元として追加しました。対応は6モデル、毎分200プロンプト、検索結果件数は1〜20で可変、ステータスは Preview です。単価は非開示で、Zero Data Retention は Marketplace 購読経由でのみ利用できます。企業向け Gemini において、エージェントがWebをどう参照するかが差し替え可能な選択肢になった点が、この発表の実質的な中身です。
他の企業向けAIエージェント基盤が組織・Web知識との接続をどう拡張しているかは、以下の記事でも取り上げています:
【用語解説】
- グラウンディング: モデルの回答を外部の実データに結び付け、出典付きで生成させる手法。参照先が社内文書ならRAG、公開Webなら今回の話にあたる
- Pre-GA: 一般提供(GA)の前段階を指す提供ステータス。仕様変更やサポート範囲の制約がありうる
- BYOK: Bring Your Own Key の略。提供元から自分で取得した認証情報を持ち込んで利用する方式
引用元:
- [1] Expanding Choice in Gemini Enterprise Agent Platform: Introducing Grounding with Parallel Web Search(Google Developers Blog)
- [2] Google Gemini Enterprise Integration(Parallel Docs)
- [3] Parallel Announces Partnership with Google Cloud for Agentic Web Search on Gemini Enterprise Agent Platform(PR Newswire)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。