新しいパソコンを開いた、その日。画面の右下、青と緑のリボンのようなアイコン。Copilot。なんとなくクリック。「何でも聞いてください」の文字。とりあえず天気を聞いてみる。便利だ。そして、そっと閉じる。
それきり、二度と開かない。
思い当たりませんか。Windowsを使っているなら、あなたのパソコンには無料の Microsoft Copilot が、もう入っています。月額0円。なのに、ほとんどの人が「とりあえず触っただけ」で放置している。これは、すごくもったいない話です。
そして、もっと大事なことがあります。Copilot は、初期設定を何もしないまま使うと「あなたの会話が、AIの教材として使われる」状態のまま動き続けるという事実です。知らずに使い続けている人が、本当に多い。
この記事では、Windowsを持っていない方でも理解できるように、Copilot を安全かつ最大限に使うための「初期設定5選」を、実際の操作画面に沿って解説します。全部やっても10分。やるかやらないかで、半年後のあなたのAIの使い心地と、情報の安全性が、はっきり変わります。
そもそも無料のCopilotで、何ができるのか
設定の前に、土台の話を少しだけ。
「Copilot」という名前、実はあちこちで使われていて混乱のもとです。WordやExcelの中で動く有料版、プログラマー向けのもの、いろいろあります。この記事で扱うのは、いちばん身近な「無料のMicrosoft Copilot」。ブラウザ(copilot.com)、Windowsのアプリ、スマホアプリ、Microsoft Edgeの中——どこからでも使える、無料のAIチャットです。
無料版でできることは、想像以上に広い。Microsoft公式が挙げているのは、おおむね次のとおりです。
- 文章の作成・要約・アイデア出し(メール下書き、企画のたたき台、長文の要約)
- 最新のWeb検索にもとづいた回答(ネット上の今の情報を踏まえて答える)
- 画像の生成(言葉で指示するとイラストや画像を作る)
- 音声での会話(話しかけて、声で答えてもらう)
- Edgeの中で、見ているWebページの要約
ここで1つ、知っておくべき分かれ目があります。サインインするかどうかです。
設定1:まずCopilotにサインインする(使える機能が一気に増える)
最初の設定は、拍子抜けするほど単純。Microsoftアカウントでサインインすることです。
「アカウントを作るの、面倒だな」。その気持ち、わかります。でも、ここをスキップすると、Copilotは本来の力の半分も出してくれません。
Microsoft公式は、サインインすると次が解放されると明記しています。
チャット履歴、画像の作成、長い会話、音声の長い使用、その他の Copilot 機能にアクセスできます。
つまり、サインインしないと「会話の続きが残らない」「長いやりとりができない」状態。たとえるなら、毎回記憶を失う相手と話しているようなものです。これでは、せっかくのAIも育ちません。
サインインは、個人用のMicrosoftアカウント、Apple ID、Googleアカウントのいずれでも可能です(Windowsアプリ版だけはMicrosoftアカウントが必須)。すでにWindowsを使っているなら、たいていは普段のアカウントでそのまま入れます。
まずここから。サインインして初めて、Copilotは「あなた専用の相棒」になるのです。
設定2:【最重要】AIの学習をオフにする
ここが、この記事でいちばん伝えたい設定です。熱を込めて書きます。
初期状態のCopilotは、あなたとの会話を「AIモデルの訓練(学習)」に使う可能性があります。 訓練とは、AIを賢くするための教材としてデータを使うこと。つまり、あなたが打ち込んだ文章が、巡り巡ってAIの勉強材料になりうる、ということです。
仕事の相談、社内の数字、個人的な悩み。そういったものを入力する人が、これを知らないまま使っている。怖くないでしょうか。
幸い、オフにするスイッチが、ちゃんと用意されています。 Microsoft公式のプライバシー設定から、誰でも止められます。手順はこうです(ブラウザ版)。
- 右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「プライバシー(Privacy)」を開く
- 「会話アクティビティでのトレーニング(Training on conversation activity)」のスイッチをオフにする
- 同じ画面の「音声会話でのトレーニング(Training on voice conversations)」もオフにする
これで、テキストも音声も、今後の会話が学習に使われなくなります。公式の説明でも「オプトアウトすると、今後の会話アクティビティがAIモデルのトレーニングに使用されなくなる」と明記されています。
スマホアプリの場合は、メニュー →プロフィールアイコン →「アカウント」→「プライバシー」と進めば、同じスイッチが見つかります。
10秒で終わります。でも、この10秒をやるかどうかで、安心感がまるで違う。まず、ここだけは今すぐやってください。

設定3:メモリ(記憶)とパーソナライズを「理解して」管理する
設定2と紛らわしいのですが、これは別物。きちんと分けて理解しておきましょう。
Copilotには「メモリ」という機能があります。 これは、あなたの好みや過去の会話の要点を覚えておいて、次回以降の答えをあなた向けに最適化してくれる仕組み。たとえば「私は営業職」と一度伝えておけば、次から営業向けの例えで説明してくれる、といったイメージです。
便利な反面、「何を覚えられているか分からないのは気持ち悪い」という人もいるでしょう。ここがポイントなのですが、学習(設定2)とメモリ(設定3)は、別々に管理できます。 公式も「モデルトレーニングをオプトアウトしても、個人用設定はオンのままにできる」としています。学習はさせたくないけれど、自分専用の便利さは欲しい——その両立ができる、ということ。
操作はこうです。
- メモリの確認・編集・削除:プロフィールアイコン →「Memory(メモリ)」→「パーソナライズと記憶(Personalization and memory)」
- 何を覚えられているか知りたい時:Copilotに「私について何を知っている?」と聞けば一覧で答えてくれます
- 全部リセットしたい時:同じMemory画面から「すべての記憶を削除(Delete all Memory)」
もう1つ、同じ画面に「Microsoftの利用データ(Microsoft usage data)」という設定があります。これは、Bing・MSN・Edgeなど他のマイクロソフト製品で使った履歴も、パーソナライズに使うかどうかの設定。気になる方はここもオフに。自分のデータの蛇口を、自分の手で開け閉めできる——そう考えてください。
なお、会話履歴は既定で18か月保存されます。古い会話を消したい場合も、この設定群から整理できます。
設定4:パーソナライズ広告をオフにする
意外と見落とされがちなのが、広告の設定です。
Copilotや他のマイクロソフトのサービスでは、あなたの利用状況に合わせた「パーソナライズ広告(あなたの興味に合わせて表示される広告)」が出ることがあります。これを止めたい人向けの設定が、別の場所に用意されています。
手順は、Microsoftアカウントの広告設定ページ(account.microsoft.com)にアクセスし、「興味のある広告を表示する(See ads that interest you)」をオフにするだけ。
「広告くらい別にいい」と思うかもしれません。とはいえ、広告のパーソナライズは、裏側で自分の行動が追跡されているということでもあります。気になる方は、ここも一度オフにしておくと、すっきりします。
設定5:CopilotをWindowsで呼び出す3つの方法
最後は、設定というより使いこなしの第一歩。Windowsでの呼び出し方です。
新しいWindows 11なら、Copilotアプリは最初からインストール済みで、タスクバー(画面下の帯)かスタートメニューにいます。もし見当たらなくても、Microsoft Storeから無料で入れられます。
覚えておくと一気に便利になるのが、この3つ。
- キーボードの「Copilotキー」を押す(最近のキーボードに付いています)
- 「Windowsキー + C」を同時押し(どのWindowsでも使える呼び出しショートカット)
- 「Hey Copilot」と声をかける(ハンズフリーで起動。公式機能です)
たとえるなら、いつでも呼べる秘書のインターホンを、机の上に1つ置くようなもの。「ちょっとこれ要約して」「この設定どこ?」を、思いついた瞬間に投げられる。この距離感の近さが、AIを”使い続ける人”と”放置する人”を分けます。

無料版で十分? 有料版との違いと、最新の注意点
「結局、有料版にしないとダメなの?」。よく聞かれます。結論から言うと、ここまでの使い方なら、無料版で十分です。
有料版(個人向けはMicrosoft 365の上位プラン)の主な強みは、WordやExcel、PowerPointといったOfficeアプリの”中で”Copilotが使えること、そして混雑時でも優先的に速く使えること。日常の調べもの・文章作成・画像生成が目的なら、無料版で困る場面は少ないはずです。
ここで1つ、最新の注意点を。脱線になりますが、これは知っておいて損がありません。かつて存在した「Copilot Pro」(月額制の単体プラン)は、2025年末で新規提供を終了し、機能はMicrosoft 365の上位プランへ統合されました。 すでにCopilot Proを契約している人も、サポートは2026年8月1日までとされています。ネット上には古い「Copilot Pro」前提の解説がまだ大量に残っているので、情報の日付を必ず確認してください。 AIの世界は、半年前の常識がもう古い、という世界です。
⚠️ 使う前に知っておきたい注意点
公平を期すために、弱点も正直に書きます。
- 回答が必ず正しいとは限りません。 Copilotは最新のWeb検索を踏まえますが、間違える時は間違えます。重要な数字や事実は、必ず元の情報源で確かめてください。
- 機密情報の入力は慎重に。 設定2で学習をオフにしても、会社の規定で「外部AIへの社外秘入力は禁止」というケースは少なくありません。勤務先のルールを優先してください。
- アプリの提供範囲には地域差があります。 たとえばmacOS版アプリは一部の国のみなど、環境によって使える形が変わります。
便利さと注意点は、いつもセット。そこを分かったうえで使う人が、結局いちばん得をします。
まず、今日やる1つを決めてください
5つ挙げましたが、全部を一度にやる必要はありません。
もし1つだけ選ぶなら——設定2の「AI学習をオフ」。これだけは、今日この瞬間にやる価値があります。プロフィールアイコンを開いて、プライバシーのスイッチを2つオフにする。それだけ。
そのうえで、サインイン(設定1)、メモリの確認(設定3)と進めれば、あなたのCopilotは「ただ入っているだけのアプリ」から、「毎日使いたくなる相棒」へと変わります。
無料で、もう手元にある。あとは、開くかどうか。あなたは、どうしますか。
他のAIの初期設定も気になる方は、あわせてこちらもどうぞ。同じ「やらないと後悔する」シリーズです。
- ChatGPT初心者必見!やらないと後悔する初期設定3選【2026年 最新版】
- Claude初心者必見!やらないと後悔する初期設定【2026年 最新版】
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引用元・参考資料
- Microsoft Support「プライバシー制御の Microsoft Copilot」
- Microsoft Support「Microsoft Copilot で作業開始」
- Microsoft Support「無料の Microsoft Copilot と Microsoft 365 の Copilot の違い」
- Microsoft Support「Windows での Copilot の概要」
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複数社を運営する経営者。上場企業の代表者取締役経験もあり。自らも様々な事業を手掛ける一方で、多数の会社の支援も行う。AIがもたらす経営のインパクトは巨大。だからこそ組織でのAI活用方法を提案したい。