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Feb 26 2026

GoogleがAI音楽プラットフォーム「ProducerAI」を買収、Google Labsに統合

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📖 この記事で分かること

  • Googleが旧Riffusionの音楽AI「ProducerAI」を買収した
  • Lyria 3やGeminiなどDeepMindの最新モデルで動作する
  • テキスト入力で最大3分の楽曲やMVを生成できる
  • 250以上の国で利用可能、無料プランと有料プランがある

💡 知っておきたい用語

  • ProducerAI(プロデューサーエーアイ):テキストで指示を出すだけでAIが楽曲を作ってくれる音楽制作プラットフォーム。人間のプロデューサーに相談するように、対話しながら曲を仕上げていくイメージです。

最終更新日: 2026年02月26日

Googleが音楽AIスタートアップ「ProducerAI」を買収

Googleは2026年2月24日、AI音楽制作プラットフォーム「ProducerAI」をGoogle Labsに統合すると発表しました。ProducerAIはテキストの指示から楽曲を生成・編集できるツールで、Google DeepMind【ディープマインド】の最新AIモデル群を搭載しています。

ProducerAIは、もともと「Riffusion【リフュージョン】」という名前で2023年にThe Chainsmokers【ザ・チェインスモーカーズ】らから400万ドルのシード資金を調達したスタートアップです。2025年7月にProducerAIへリブランドし、テキストプロンプトから短い音楽クリップを生成するツールとして注目を集めていました。今回の買収により、共同創業者でCEOのSeth Forsgren【セス・フォースグレン】氏をはじめ、ProducerAIのチーム全員がGoogle LabsおよびGoogle DeepMindに合流しています。

発表を行ったGoogle Labsのシニアディレクター(プロダクトマネジメント)Elias Roman【イライアス・ロマン】氏は、過去にインディーズ音楽向けMP3ストア「AmieStreet.com」や、Googleが2014年に買収した音楽キュレーションサービス「Songza【ソングザ】」を立ち上げた人物です。

技術基盤:Lyria 3を中核とした複数のDeepMindモデル

ProducerAIの技術面で最大の特徴は、Google DeepMindの最新音楽生成モデル「Lyria 3【リリア・スリー】」のプレビュー版を搭載している点です。Lyria 3は、Googleが「最も先進的な音楽生成モデル」と位置づけるもので、2026年2月18日前後にGeminiアプリへの統合が発表されたばかりでした。

ProducerAIでは、Lyria 3に加えて以下のモデルが連携して動作します。

  • Gemini:チャットインターフェースの推論・対話処理を担当
  • Lyria 3:高忠実度の音楽生成を担当(リズム、アレンジ、テンポ、歌詞の時間同期などを理解)
  • Veo【ヴェオ】:AIによるミュージックビデオの生成
  • Nano Banana【ナノバナナ】:アルバムアートの画像生成

すべての生成コンテンツにはGoogleの電子透かし技術「SynthID【シンセアイディー】」が埋め込まれ、AI生成コンテンツであることを識別できるようになっています。

従来のRiffusion時代は短いクリップしか作れませんでしたが、Google統合後は最大3分の楽曲を生成できるようになったと複数のメディアが報じています。単にプロンプトを入力して一発で生成するのではなく、AIプロデューサーと対話しながら反復的に楽曲を仕上げていく設計が特徴です。

また「Spaces【スペース】」と呼ばれる機能では、自然言語でまったく新しい楽器やエフェクトを作成できます。シンプルなキーボードからノードベースのモジュラーオーディオパッチ環境まで、ユーザーが作ったミニアプリを共有・リミックスすることも可能です。

業界の反応:期待と懸念が交錯するAI音楽市場

AI音楽生成ツールの市場は急速に拡大しており、ProducerAIの買収はGoogleのこの分野への本格参入を示すものです。競合のSuno【スーノ】は2025年11月に2億5,000万ドルのシリーズCを完了し、評価額24.5億ドル、年間売上2億ドルに達したとMusic Business Worldwideが報じています。Udio【ユーディオ】やElevenLabs【イレブンラボ】なども存在感を増しています。

一方で、AI音楽に対する懸念も根強くあります。

  • 著作権問題:音楽出版社がAI企業を相手取った訴訟が相次いでおり、学習データの著作権処理が業界全体の課題となっています。Googleは「音楽コミュニティと協力して責任ある技術開発を行っている」としていますが、Lyria 3の学習データの詳細は公表していません。
  • プラットフォーム側の対応:Bandcamp【バンドキャンプ】はAI生成音楽を全面禁止しており、Deezer【ディーザー】はAI音楽の検出システムを導入しています。
  • アーティストの評価:グラミー賞受賞ラッパーのLecrae【レクレー】氏やThe Chainsmokers、Wyclef Jean【ワイクリフ・ジョン】氏がProducerAIの支持者として名を連ねています。Wyclef Jean氏はLyriaを使って楽曲「Back From Abu Dhabi」を制作しました。一方、一部メディアやアーティストからはAI音楽が人間の創造性を損なうという批判も出ています。

今後の注目点と実践への示唆

ProducerAIは250以上の国でproducer.aiから利用でき、無料プランと有料プランが用意されています。有料プランの価格については、ソースにより月額6ドルから8ドルと報道が分かれており、正確な料金体系はproducer.aiの公式サイトで確認することをおすすめします。上位プランでは月額24ドル、64ドルという報道もあります。

現時点ではGoogle Labs内の実験的プロダクトという位置づけであり、他のGoogle製品への長期的な統合計画やタイムラインは明らかにされていません。今後注目すべきポイントは以下のとおりです。

  • Geminiアプリとの棲み分け:Lyria 3はすでにGeminiアプリでも30秒の楽曲生成が可能になっています。ProducerAIはより本格的な音楽制作向けのツールとして差別化される見通しです。
  • 著作権・ライセンスの整備:無料プランで生成した楽曲の商用利用は制限される可能性があります。有料プランへのアップグレードで商用ライセンスが付与される仕組みですが、過去に無料プランで生成した楽曲には遡及適用されないという情報もあり、利用規約の確認が重要です。
  • 音楽業界との関係構築:GoogleはMusic AI Sandboxを通じてプロのアーティストとの協業を進めており、ProducerAI買収によりこの取り組みが加速するとみられます。

よくある質問

Q: ProducerAIは無料で使えますか?

A: はい、無料プランが用意されています。ただしクレジット(生成回数)に制限があります。より多くの楽曲を生成したい場合や商用利用をしたい場合は有料プランへのアップグレードが必要です。有料プランの正確な価格はproducer.aiの公式サイトで確認してください。

Q: ProducerAIで作った曲の著作権はどうなりますか?

A: すべての生成コンテンツにはSynthID(AI生成を識別する電子透かし)が埋め込まれます。商用利用の可否はプランによって異なり、無料プランでは非商用利用に限定される可能性があります。詳細は公式の利用規約を確認してください。

Q: RiffusionのユーザーはProducerAIにそのまま移行できますか?

A: Riffusionは2026年2月20日にモデルが切り替えられ、それ以前の生成物やセッション、メディアにはアクセスできなくなっています。Riffusionのアカウントでproducer.aiにログインは可能ですが、過去のデータは引き継がれません。


まとめ

Googleによる旧Riffusion「ProducerAI」の買収は、AI音楽生成市場への本格参入を示す動きです。Lyria 3をはじめとするDeepMindモデル群の搭載により、テキスト入力から最大3分の楽曲やMVを生成できるプラットフォームが250以上の国で利用可能になりました。AI音楽をめぐる著作権問題や業界の議論は続いていますが、Googleはアーティストとの協業を強調し、人間の創造性を「拡張する」ツールとしての立場を打ち出しています。現時点ではGoogle Labsの実験的プロダクトであり、今後の機能拡充や他サービスとの統合が注目されます。


【用語解説】

  • Lyria 3【リリア・スリー】: Google DeepMindが開発した最新の高忠実度音楽生成AIモデル。リズム、アレンジ、テンポ、歌詞の時間同期など音楽的要素を理解し、テキストや画像から楽曲を生成できる。
  • SynthID【シンセアイディー】: Googleが開発した電子透かし技術。AI生成コンテンツ(音声・画像・動画・テキスト)に人間には知覚できない透かしを埋め込み、AI生成であることを識別可能にする仕組み。
  • Google Labs【グーグルラボ】: Googleの実験的プロダクトを開発・公開する部門。正式リリース前の先進的なツールやサービスをユーザーに提供し、フィードバックを収集する場として機能している。

免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。


引用元:

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KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。