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Apr 27 2026 AIニュース

デジタル庁がガバメントAI「源内」をOSSとして無償公開——地方自治体のAI基盤整備を後押し

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📖 この記事で分かること

  • デジタル庁が政府向け生成AIシステム「源内」を無償OSSとして公開した
  • 公開内容はWebインターフェース、RAGテンプレート、法制度AIアプリの実装など
  • 地方自治体・企業が源内をベースに独自AI基盤を構築できるようになる
  • 2026年度は全府省庁約18万人の政府職員を対象に大規模実証を実施予定

💡 知っておきたい用語

  • OSS(オープンソースソフトウェア):ソースコードが無償で公開され、誰でも改変・再配布できるソフトウェア。国産AIシステムの「設計図」を政府が公開したイメージ。

最終更新日: 2026年04月27日

「源内」とは何か——政府職員18万人が使うAI基盤

デジタル庁が開発・運用する「源内(げんない)」は、政府職員が安全に生成AIを活用するための共通基盤です。対話型チャット、文章作成・要約・校正、翻訳といった汎用ツールに加え、国会答弁作成支援AIや法令検索AIなど行政実務に特化したアプリケーションを提供しています。

源内の主な特徴は以下のとおりです。

  • 政府統一セキュリティ基準に準拠し、機密性2情報を含む入力にも対応
  • ガバメントソリューションサービス(GSS)によるシングルサインオン(SSO)に対応
  • AWSのオープンソース「Generative AI Use Cases(GenU)」をベースに内製開発
  • デジタル庁デザインシステムとアクセシビリティ基準(JIS X 8341-3:2016 AA相当)を適用

2025年5月にデジタル庁内部での運用を開始し、2026年1月から一部省庁への試験導入(数百人規模)が進んでいます。2026年度中には希望府省庁への大規模実証(リリース2.0)を予定しており、最終的に全府省庁約18万人の政府職員が生成AIを利用できる環境を目指しています。

今回のOSS公開——何が公開されたか

2026年4月24日、デジタル庁は源内の一部をGitHubの公式リポジトリ上で商用利用可能なライセンス(MITライセンスおよびCC BY 4.0)のもと無償公開しました。

公開されたコンテンツは次の2つのリポジトリに分かれています。

源内Web(AIインターフェース)— github.com/digital-go-jp/genai-web

  • WebインターフェースのソースコードおよびAWSへの構築手順
  • TypeScript / React / CDK / Tailwind CSS で構成(v1.0.3、公開日時点)

源内AIアプリ — github.com/digital-go-jp/genai-ai-api

  • 行政実務用RAGの開発テンプレート(AWS)
  • LLMのセルフデプロイ用開発テンプレート(Azure)
  • 最新の法律条文データを参照する法制度AIアプリの再現可能な実装(Google Cloud)

なお、脆弱性対応など必要なメンテナンスは当面継続するとしていますが、永続的なメンテナンスは保証しておらず、将来的に公開を終了する可能性もあるとデジタル庁は注記しています。

なぜOSSとして公開するのか——3つの意義

デジタル庁がOSS公開に踏み切った背景には、行政DXの加速と産業振興という複数の目的があります。

1. 自治体・政府機関の重複開発を防ぐ

地方公共団体がゼロから類似のAI基盤を構築すると、各自治体でコストと工数が重複します。源内のOSSを参照・流用することで、開発コストを社会全体で削減できると説明されています。調達仕様書作成の際に源内OSSを指定することで、AIの実装手続きが簡略化される効果も期待されています。

2. ベンダーロックインを防ぎ、各機関が主体的に運用できる

OSSは改変・再利用が可能なため、特定のクラウドやAIサービスへの依存を抑えながら、各機関が自らの要件に応じてシステムを発展させられます。

3. 民間企業の新たなビジネス機会を創出する

源内をベースに独自サービスを開発・提供することが可能となり、地方自治体向けAIサービス市場の活性化が見込まれます。中小企業やスタートアップを含む多様な企業の参入を促す狙いもあります。

今後のロードマップ——2027年度の本格利用に向けて

源内の展開は段階的に進められています。

時期マイルストーン
2026年5月〜年度末希望省庁への大規模導入実証(リリース2.0)
2026年夏ごろ国内企業等が開発した国内LLMの試験導入(リリース2.1)
2026年12月頃高度な生成AIアプリの試験提供・政府共通データ整備(リリース2.2)
2027年度〜生成AIの本格利用(各省庁が予算措置)(リリース3.0)

デジタル庁は、AIに対して業務・データのあり方を根本から見直す「AI+業務」の考え方を掲げており、ユーティリティ的なチャットツールにとどまらない抜本的な業務変革を目指しています。


よくある質問

Q: 源内のOSSは誰でも無料で使えますか?

A: はい。GitHubで公開されているソースコード(MITライセンス)とドキュメント(CC BY 4.0)は商用利用も含め無償で利用可能です。ただし、自前のクラウド環境(AWS、Azure、Google Cloud)の構築・運用費用は別途かかります。

Q: 地方自治体が源内を導入するにはどうすればよいですか?

A: GitHubの公式リポジトリに構築手順が公開されています。地方公共団体向けサービスとして展開を検討している企業に対し、デジタル庁が技術的なお問い合わせに対応する窓口を設けています(digital-ai@digital.go.jp)。

Q: 今後も継続してメンテナンスされますか?

A: デジタル庁は当面の間、脆弱性対応など必要なメンテナンスを継続するとしています。ただし、永続的なメンテナンスを保証するものではなく、将来的にOSSの公開を終了する場合があることも明示されています。


まとめ

デジタル庁は2026年4月24日、政府生成AI利用環境「源内」のWebインターフェースと主要AIアプリの開発テンプレートをGitHubで無償公開しました。MITライセンスのもと商用利用も可能で、地方自治体や民間企業が行政向けAI基盤を低コストで構築できる環境が整いつつあります。2026年度の全府省庁大規模実証、そして2027年度の本格利用に向けた官民一体のAIエコシステム形成が本格的に動き出しました。


【用語解説】

  • ガバメントAI: 政府職員が業務で安全・安心に活用できるAI基盤の総称。デジタル庁が推進する「源内」がその第一弾。
  • RAG【アール・エー・ジー】(Retrieval-Augmented Generation): 大規模言語モデルに外部データベースを組み合わせ、検索結果をもとに回答を生成する手法。法令データベースや行政マニュアルとの連携に活用される。
  • LLM【エル・エル・エム】(Large Language Model): 大量のテキストデータで学習した大規模言語モデル。ChatGPTやGeminiなどが代表例で、源内でも複数のLLMを選択・切り替えて利用できる。
  • SSO【シングルサインオン】(Single Sign-On): 一度の認証で複数のシステムに自動的にログインできる仕組み。源内ではGSSポータル経由でのSSOに対応している。

免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。


引用元:

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KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。

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