Jan 27 2026
Amazonが医療AIアシスタント「Health AI」を全米展開開始
📖 この記事で分かること
- AmazonがOne Medicalアプリに医療AI機能を正式導入した
- 24時間対応で検査結果の解説や予約管理が可能になった
- OpenAI・Anthropicに続くAI医療アシスタント市場への参入となる
- 医療記録を自動統合し、手動アップロードが不要な点が特徴
💡 知っておきたい用語
- エージェンティックAI: 単に質問に答えるだけでなく、予約を取ったり処方箋を更新したりと「行動」まで実行できるAIのこと。スマートスピーカーが家電を操作するように、医療タスクを代行してくれるイメージです。
最終更新日: 2026年01月27日
Amazon One MedicalがAI健康アシスタントを正式提供開始
Amazon傘下のプライマリケア企業One Medicalは2026年1月21日、AIアシスタント「Health AI」の全会員向け提供を開始しました。Amazon Bedrockの大規模言語モデルを基盤とし、会員の医療記録に基づいた24時間対応のヘルスケア支援を実現しています。
Health AIは2025年初頭から一部会員向けにベータ版として提供されており、臨床チームと会員からのフィードバックを反映して改良が重ねられてきました。One Medicalの会員であれば、追加料金なしでアプリ内から利用できます。
主な機能と技術的特徴
Health AIの最大の特徴は、患者の完全な医療情報を統合して活用できる点です。
主な機能は以下の通りです。
- 検査結果の解説(過去の病歴を踏まえた文脈で説明)
- 症状に関する相談と適切なケアレベルの提案
- One Medicalプロバイダーへの予約管理
- 処方箋の更新(Amazon Pharmacyとの連携可能)
- 服薬中の薬と新たなサプリメントの相互作用確認
Amazon Health ServicesのNeil Lindsay SVPは、米国の医療体験が断片化しており、各プロバイダーが患者情報の一部しか把握できていない現状を指摘しています。Health AIはこの課題に対し、外部からのデータアップロードを必要とせず、One Medical内の医療記録を自動的に参照できる仕組みを採用しました。
安全性とプライバシーへの配慮
Health AIには複数の安全機構が組み込まれています。臨床判断が必要と判断された場合は、メッセージや当日・翌日の予約を通じて人間のプロバイダーへ自動的につなぐ仕組みです。
One MedicalのCMOであるDr. Andrew Diamondは、AIの能力が拡大しても、患者と臨床医の関係は不可欠であり代替できないと強調しています。
プライバシー面では、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠した暗号化とアクセス制御を実装。Health AIとの会話内容は医療記録に自動追加されず、健康データの販売も行わないとしています。
AI医療アシスタント市場の競争激化
Amazonの参入は、AI医療アシスタント市場の競争が本格化する中でのものです。OpenAIは2026年1月7日に「ChatGPT Health」を発表し、Anthropicも同月11日に「Claude for Healthcare」をローンチしました。
ただし、ECRIがAIチャットボットの誤用を2026年のヘルステック最大リスクに指定するなど、AIによる医療アドバイスには懸念の声も上がっています。各社とも「人間の専門家の判断を代替するものではない」との姿勢を示しており、今後は安全性と利便性のバランスが問われることになりそうです。
よくある質問
Q: Health AIを利用するには何が必要ですか?
A: One Medicalの会員である必要があります。会員費は年額99〜199ドルで、Amazon Prime会員は月額9ドル(年額99ドル)の割引価格で加入できます。
Q: Health AIは診断や治療を行いますか?
A: いいえ。Health AIは診断や治療を提供するものではなく、健康情報の理解や医療タスクの管理を支援するツールです。臨床判断が必要な場合は、人間のプロバイダーへ自動的に接続されます。
Q: 日本でも利用できますか?
A: 現時点では米国のOne Medical会員向けサービスとして提供されており、日本での展開については公式発表がありません。
まとめ
AmazonはOne Medicalアプリに医療AIアシスタント「Health AI」を導入し、会員の医療体験を大きく変えようとしています。断片化した医療情報を統合し、24時間対応のパーソナライズドサポートを実現する一方で、人間の臨床医との関係を補完する位置づけを明確にしています。OpenAIやAnthropicとの競争が激化する中、AIによる医療支援がどこまで浸透するか、今後の動向が注目されます。
【用語解説】
- Amazon Bedrock【アマゾン ベッドロック】: AWSが提供する生成AI基盤サービス。複数の大規模言語モデルをAPI経由で利用でき、企業がAIアプリケーションを構築する際の基盤となります。
- HIPAA【ヒパー】: Health Insurance Portability and Accountability Actの略。米国における医療情報のプライバシーとセキュリティを規定する連邦法です。
- エスカレーション【えすかれーしょん】: 問題や判断をより上位の担当者や専門家に引き継ぐこと。Health AIでは、AIが対応困難と判断した場合に人間の医療従事者へ自動的に引き継ぐ仕組みを指します。
免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。
引用元:
- [1] Amazon公式ブログ – https://www.aboutamazon.com/news/retail/one-medical-ai-health-assistant
- [2] CNBC – https://www.cnbc.com/2026/01/21/amazon-ai-health-care-one-medical-members.html
- [3] MedTech Dive – https://www.medtechdive.com/news/amazon-one-medical-health-ai-assistant-chatbot/810249/
- [4] Healthcare Dive – https://www.healthcaredive.com/news/amazon-one-medical-health-ai-assistant-chatbot/810235/
- [5] Chain Store Age – https://chainstoreage.com/amazon-launches-agentic-ai-enabled-health-assistant
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15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。
技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。
また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。