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Mar 25 2026 AIニュース

OpenAI、動画生成AI「Sora」のサービス終了を発表──公開からわずか半年で撤退

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📖 この記事で分かること

  • OpenAIがSoraアプリ・APIの提供終了を発表した経緯
  • ディズニーとの10億ドル提携も白紙に戻った背景
  • IPO準備とコスト削減がAI企業の製品戦略に与える影響
  • 動画生成AI市場の今後の競争構図がどう変わるか

💡 知っておきたい用語

  • テキスト・トゥ・ビデオ(Text-to-Video):文章を入力するだけでAIが自動的に動画を生成する技術。「こういう映像を作って」と指示するだけで短い動画が出来上がる仕組みです

最終更新日: 2026年03月25日

OpenAIがSoraの提供終了を発表

OpenAIは2026年3月24日(現地時間)、動画生成AI「Sora(ソラ)」のサービスを終了すると発表しました。iOSアプリ、Androidアプリ、API、そしてChatGPT内の動画生成機能のすべてが対象です。

SoraチームはX(旧Twitter)への投稿で「Soraにお別れを告げます」と述べ、具体的なアプリの終了スケジュールやAPIの対応、ユーザーが制作した作品の保存方法については近日中に改めて案内するとしています。

OpenAIがSoraの終了理由を公式に説明していない点は注目に値します。ただし、報道によればサム・アルトマンCEOは社内で、Soraの終了により次世代AIモデルの開発にリソースを振り向けられると説明したとされています。

Soraの軌跡──爆発的なスタートと急速な失速

Soraは2024年2月にプレビューが公開され、テキストから高品質な動画を生成できる技術として大きな注目を集めました。初代モデルの一般提供は2024年12月に開始され、その後2025年9月30日に第2世代モデル「Sora 2」とともにスタンドアロンのiOSアプリがリリースされました。

アプリのローンチ直後の反響は凄まじく、公開から5日足らずで100万ダウンロードを突破しました。これはChatGPTよりも速いペースだったとされています。App Storeの「写真・ビデオ」カテゴリでは1日で1位を獲得し、一時は総合ランキングでもトップに立ちました。

しかし、初期の熱狂は長く続きませんでした。著名人のディープフェイク動画や著作権侵害の懸念が相次ぎ、OpenAIはセレブリティの肖像を使った動画生成を制限するなどの対応を迫られました。こうしたガードレールの強化がユーザーの関心を削ぐ一因となり、2026年1月にはダウンロード数が45%減少したと報じられています。

  • 2024年2月: Soraプレビュー公開
  • 2024年12月: 初代モデル一般提供開始(米国・カナダ、ChatGPT Plus/Pro向け)
  • 2025年9月: Sora 2発表、スタンドアロンiOSアプリリリース
  • 2025年11月: Androidアプリ提供開始
  • 2025年12月: ディズニーとの提携発表
  • 2026年3月24日: サービス終了を発表

ディズニーとの大型提携も白紙に

Soraの終了に伴い、2025年12月に発表されたウォルト・ディズニーとの大型提携も白紙に戻りました。この提携は3年間のライセンス契約で、ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズから200以上のキャラクターをSora上で利用できるようにする計画でした。さらにディズニーはOpenAIへの10億ドル(約1,500億円)の出資も予定していましたが、実際に資金が動くことはなかったと報じられています。

ディズニーの広報担当者は「AI分野が急速に進化するなか、OpenAIが動画生成事業から撤退し、他の優先事項にシフトする決定を尊重します」とコメントしています。ディズニーは今後も他のAIプラットフォームとの連携を模索する方針を示しており、動画生成AI分野への関心自体は維持していると考えられます。

IPO準備とコスト削減が背景に

今回の撤退の背景には、OpenAIが年内に見込まれるIPO(新規株式公開)に向けて事業を整理しているという事情があります。

OpenAIは直近で1,100億ドルの資金調達を完了し、企業評価額は約7,300億ドルに達しています。しかし、動画生成は極めて計算コストが高い事業です。業界アナリストの試算によれば、10秒のSora動画1本の生成コストは約1.30ドルで、ピーク時の利用量を考慮すると年間数十億ドル規模のコンピュート費用がかかっていた可能性があります。

OpenAIはSoraの終了以外にも、同日に発表されたInstant Checkout(ショッピング機能)の撤回や、Webブラウザ・ChatGPTアプリ・Codexを統合する「スーパーアプリ」構想など、製品ポートフォリオの集約を進めています。アプリケーション部門CEOのフィジ・シモ氏は社内で「高い生産性を実現するユースケースに積極的にシフトしていく」と述べたと報じられています。

  • コスト削減とIPO準備のための事業整理
  • エンタープライズ向けサービスへのリソース集中
  • コーディング・推論・テキスト生成など収益性の高い分野への計算資源の再配分

今後の注目点──動画生成AI市場はどう変わるか

Soraの撤退により、大規模なAI動画生成プラットフォームを運営する主要プレイヤーはGoogleがほぼ唯一の存在となります。ただし、Googleもコンテンツホルダーとの著作権訴訟を抱えている状況です。

Soraの研究チームは解散するわけではなく、ワールドシミュレーション研究を継続し、ロボティクス分野での実世界タスク解決に注力する方針とされています。動画生成技術の知見が完全に失われるわけではありませんが、消費者向け動画生成サービスとしてのSoraは終了します。

この動きは、AI業界全体に重要な示唆を与えています。先端的な技術であっても、計算コストの持続可能性と明確な収益モデルがなければ事業として継続できないという現実です。AnthropicのClaudeがテキスト・コード生成に集中して企業向けで存在感を高めているように、AIスタートアップにとって「何をやらないか」の判断がますます重要になっています。


よくある質問

Q: Soraで作成した動画はどうなりますか?

A: OpenAIは作品の保存方法について近日中に案内するとしています。現時点では具体的なスケジュールは未発表ですが、データのエクスポート機能が提供される見込みです。過去にSora 1からSora 2への移行時にはエクスポート機能が用意された経緯があります。

Q: ChatGPTでの動画生成機能も終了しますか?

A: はい。報道によれば、スタンドアロンアプリだけでなく、ChatGPT内のテキストからの動画生成機能もサポートを終了する予定です。

Q: 他のAI動画生成サービスはありますか?

A: Google(Veo)をはじめ、Runway、Pika、HeyGenなど複数の競合サービスが存在します。ただし、Soraほどの規模でIP(知的財産)ライセンス契約を結んでいたプラットフォームは他にありません。


まとめ

OpenAIは2026年3月24日、動画生成AI「Sora」のサービス終了を発表しました。公開からわずか半年での撤退となり、ディズニーとの10億ドル規模の提携も白紙に戻りました。背景にはIPO準備に伴うコスト削減と、エンタープライズ向けサービスへの経営資源の集中があります。動画生成AIという先端技術であっても、持続可能なビジネスモデルなしには継続が難しいことを示す象徴的な出来事です。


【用語解説】

  • Sora(ソラ)【そら】: OpenAIが開発したテキスト・トゥ・ビデオモデルおよびソーシャルアプリ。日本語の「空」に由来し、「無限の創造的可能性」を意味するとされています
  • IPO【アイピーオー】: Initial Public Offeringの略で、新規株式公開のこと。未上場企業が証券取引所に株式を上場し、一般投資家が売買できるようにすること
  • ディープフェイク: AIを使って実在の人物の顔や声を合成し、本人が行っていない行動や発言をあたかも本人のもののように見せる技術

免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。


引用元:

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KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。