Recoba は、株式会社TRY Linkが2026年9月15日に提供開始したAI議事録ツールで、本記事はその開発に関わった筆者の視点で経緯と変化を書いています。
📖 この記事で分かること
- 「議事録を漫画で配る」発想がどこから生まれたか(3年以上のAI実験の流れ)
- 開発の間に立って見ていた筆者が、いちばん時間を要したと感じた工程
- 社内の全会議をRecobaで記録して、実際に起きた行動の変化
- 漫画制作の研究にこだわった理由と、その先にある「組織の見える化」
💡 知っておきたい用語
- ハーネス設計: AIに仕事をさせるための「段取り書」の設計。材料を集める→下書き→検査→仕上げ、のような工程を組み、各工程でAIに何をどう渡すかを決める作業です
- コンテキスト: 会話や文書に含まれる前提や経緯のこと。「先週の商談で値引きの話が出た」のような、判断の背景になる情報を指します
最終更新日: 2026年9月16日
▶ 公式ページ
- Recoba 製品サイト(資料請求・オンラインデモ)(TRY Link)
- Recobaを漫画で解説したサイト(TRY Link)
- 提供開始のプレスリリース(PR TIMES)
開示: 筆者は、Recobaを提供する株式会社TRY Linkで、開発チームと利用現場の間に立って全体を見る立場でこの製品に関わっています。第三者の評価記事ではなく、作った側の視点で書いています。未発表の機能と内部のハーネス設計の詳細は、本記事では扱いません。

「議事録を漫画にする」は、最初から狙ったものではなかった
この記事のポイント
- 株式会社TRY Linkは2026年9月15日、会議の要点を漫画にして社内配信できるAI議事録ツール「Recoba(レコバ)」を提供開始した(2026年9月時点)。
- 漫画議事録は、3年以上続けてきたAI実験のなかで漫画制作の研究開発が実って生まれたもので、その先に「会話のコンテキストを集めて組織を見える化する」構想がある。
- 社内の全会議で使ってみると、議事録を「読んでもらおう」と人に回す動きが自然に生まれた。本記事では作った側から、その経緯と変化を書く。
TRY Linkは2026年9月15日、AI議事録ツール「Recoba」を提供開始しました。録音した会議や商談をAIが文字起こし・校正・要約し、その要点を複数の画風から選べる漫画にして社内に配信できる、という製品です。プレスリリースでは「国内初(同社調べ)」のアプローチと位置づけています。
筆者はこの製品に、開発チームと利用現場の間に立って全体を見る立場で関わってきました。この記事では、リリース文には書かれない「なぜ漫画だったのか」「何に時間がかかったのか」「使ってみて社内で何が起きたのか」を、書ける範囲で残します。
なぜこの話題か
提供開始の翌日に、作った側の記録を残しておきたかったからです。プレスリリースは「何ができるか」を伝える文書で、「どうしてそうなったか」は載りません。筆者自身、開発の途中で漫画の生成を担当する同僚から設計の話を聞いて感動した経験があり、その熱量は当事者が書かないと消えてしまいます。もうひとつ、TRY Linkは3年以上、コンテンツ制作をはじめ多くのAI実験を続けてきました。Recobaはその積み重ねの上にあるので、製品単体ではなく「実験の流れの中の一点」として見てもらう方が実像に近いと考えています。
現場で見ている景色
きっかけは画像生成の実験だった
出発点は議事録ではなく、画像生成でした。TRY LinkではAIでのコンテンツ制作を長く試しており、その中で「画像生成の延長で、漫画は面白いのではないか」という話になり、漫画制作の研究開発を続けてきました。
やってみると、漫画を作るのは想像以上に難しい工程でした。コマ割り、登場人物の一貫性、セリフと絵の対応など、1枚の画像を出すのとは別の難しさがあります。研究にかなりの時間を費やした結果、実際に販売している水準の漫画が生成できるところまで来ました。議事録のための簡易な挿絵ではなく、漫画そのものとして成立する品質です。そこで「一度、議事録を漫画にしてみようか」と、半ば試しに作ってみたのが最初です。
読んでみて、想像以上に内容が頭に入ってきました。同じ会議の要約でも、文字の箇条書きより、場面と発言者の顔つきで再現された方が、自分の記憶と結びつきやすい。この体験が、製品の方向を決めました。
いちばん時間がかかったのは「文字起こしの精度」と「段取り」
筆者は開発に直接手を動かす立場ではなく、全体を見ていた側です。その位置から見て、開発チームが最も時間をかけていたのは、文字起こしの精度を上げる作業と、それを支えるハーネス設計・プロンプト設計でした。
会議の音声は、社員名・顧客名・専門用語の誤変換が避けられません。ここが崩れると、後段の要約も漫画も、間違った前提で作られてしまいます。Recobaの「組織マスタ・辞書機能で使うほど認識精度が上がる」という仕様は、この苦労の帰結です。地味な工程が製品の信頼性を決める、という順序は、ほかのAI製品にも当てはまると筆者は考えています。
そして漫画側のハーネス設計については、担当する同僚から設計の話を聞いたときに、正直に言って感動しました。ここまで作り込んだ段取りは、同じ水準に引き上げるのが簡単ではないだろう、というのが筆者の受け止めです。内部の設計は現時点で公開できないため、ここでは「漫画生成は1回のプロンプトで出しているものではない」とだけ書いておきます。
社内で全会議を記録してみて起きたこと
TRY Linkでは社内のすべての議事録をRecobaで記録しています。漫画にして配信するようになってから、次のような動きが出てきました。
- 「確かにこんな会話をしたな」と、会議の場面ごと思い出す人が増えた
- 「この漫画は重要だから」と、一緒に会議に出た人や、前回参加していた人に読んでもらおうと回す動きが出てきた
- 内容を伝えたいという動機だけでなく、「漫画が面白いから読んでみて」と気楽に確認し合う空気が生まれた
3つ目が、筆者にとっては予想外でした。議事録は「読まなければならない文書」で、読む側に義務感が乗ります。漫画になると、その義務感が少し外れて、共有のハードルが下がる。これは文字だけの議事録では起きていなかったことです。
漫画の先にある「組織の見える化」
Recobaは漫画議事録が目立ちますが、通常のテキスト形式の配信にも対応しています。漫画とテキストのどちらで届けるかは、会議の性質と読み手に合わせて選べる設計です。
もともとの出発点は「組織の見える化」でした。議事録を取る、商談を記録する、といった個別の機能の先に、TRY Linkが注目していたのは、話されている会話の中に含まれるコンテキストです。会社のことを理解する資料として、社内で交わされている会話以上のものは存在しないのではないか。そのコンテキストをすべて集めれば、組織の見える化ができるのではないか。ここがスタートで、漫画はその構想と、長く続けてきた漫画制作の研究が合流して生まれたものです。
だから製品には、カスタムプロンプト・スケジュール・配信先を組み合わせて、参加していない会議や商談の動きが自動でレポートされる「組織まる見え機能」があります。会話を集めて整える仕組みと、それを読まれる形で届ける漫画。この2つが揃って、Recobaの形になっています。
筆者はこう見ている
筆者は、Recobaの価値は会話のコンテキストを集めて整える仕組みと、それを読まれる形で届ける漫画の品質、この2つが揃っていることにあると見ています。
- 根拠1: 社内で実際に変わったのは「作る手間」ではなく「読まれ方」でした。共有される議事録が増えたのは、配信の形を変えたからです
- 根拠2: 開発では文字起こしの精度とハーネス設計に時間を要し、同時に漫画制作の研究も、実際に販売している水準の漫画が生成できるところまで続けてきました。正確な土台と、読みたくなる出力の両方に手を抜いていません
- 根拠3: 「組織まる見え機能」で参加していない会議の動きが届き、それを漫画かテキストか、読み手に合う形で選べます。集める仕組みと届ける形の組み合わせが、この製品の設計です
向くのは、会議や商談が多く「記録はあるのに読まれていない」と感じている組織です。会議に出ていない人にも動きを知ってほしい、という場面が多いほど、届ける形の効果が出ます。
この見方が変わる条件は、他社の議事録ツールが同等の「配信先とタイミングを指定した自動配信」を標準搭載した場合です。そのときは、漫画表現の質と、会話コンテキストの集め方の設計が、より前面に出る差になります。
読者への提案
Recobaを検討するかどうかに関わらず、筆者が勧めたい動きは3つです。
- 「作られているのに読まれていない議事録」を1つ特定する。経営会議でも定例でも構いません。誰が本来読むべきで、いま読んでいないのかを書き出すと、配信の問題なのか内容の問題なのかが分かります
- 文字起こしの精度から確認する。どのAI議事録ツールでも、社員名・顧客名・専門用語が正しく起こせているかを最初に見てください。ここが正確だと、要約も漫画も安心して回せます
- 試すなら、その1つの会議で試す。Recobaのオンラインデモは製品サイトから申し込めます。全社導入の是非より、特定した会議の要約が「読まれる形」で届くかを確かめる方が、判断が早く済みます
よくある質問
Q: 漫画でしか議事録を配信できないのですか?
A: いいえ。漫画とテキストのどちらでも配信でき、会議の性質や読み手に合わせて選べます。
Q: 料金はいくらですか?
A: 2026年9月時点で料金は公式に発表されていません。法人プランはユーザー数無制限とされており、詳細は製品サイトからの資料請求で確認できます。
Q: 漫画生成の仕組みは公開されていますか?
A: 内部のハーネス設計は現時点で公開していません。実際の漫画議事録のサンプルは製品サイトと漫画解説サイトで確認できます。
まとめ
Recobaの漫画議事録は、3年以上のAI実験の中で続けてきた漫画制作の研究と、会話のコンテキストを集めて組織を見える化する構想が合流して生まれました。筆者が社内で見た変化は「作る手間の削減」ではなく「議事録を人に回す動き」が生まれたことでした。文字起こしの精度と配信の設計を土台に、読みたくなる形で届ける。この順序は、どの組織でも効くと考えています。
【用語解説】
- 組織マスタ: 社員名・部署名の一覧表。文字起こしで人名の誤変換を減らす辞書として使われます
- 画風テンプレート: 漫画の絵のタッチをあらかじめ用意した型。Recobaでは複数の画風から、会議や読み手に合うものを選べます
- ダイジェスト配信: 会議の全文ではなく要点だけを、決めたタイミングで決めた相手に届けること
引用元:
- [1] 議事録を「漫画」で届けるAI議事録ツール「Recoba」提供開始(プレスリリース)(PR TIMES / 株式会社TRY Link)
- [2] Recoba 製品サイト(株式会社TRY Link)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。