Copilotの脆弱性 - Copilotのリンクを1回踏むだけでメールが外部送信。原因は未文書化パラメータ1個 anchor left anchor right

Aug 20 2026 AIニュース

Copilotのリンクを1回踏むだけでメールが外部送信。原因は未文書化パラメータ1個

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Copilotの脆弱性CoSnitchは、リンクを1回クリックしただけで攻撃者のプロンプトが認証済みセッションで自動実行される問題でした。

📖 この記事で分かること

  • Copilot Personalの1クリック脆弱性CoSnitchの中身
  • autorun=1が自動実行を成立させた仕組み
  • 汚染された永続メモリがパスワード変更で消えない理由
  • Microsoftが2026年8月18日に配布したパッチの位置づけ

💡 知っておきたい用語

  • 間接プロンプトインジェクション: AIに読ませた資料の中へ命令を仕込む攻撃。AIが「要約する材料」と「従うべき命令」を区別できないときに成立します。

最終更新日: 2026年8月19日

▶ 公式ページ

Copilotの脆弱性 - Copilotのリンクを1回踏むだけでメールが外部送信。原因は未文書化パラメータ1個

何が起きたか

この記事のポイント

  • Varonis Threat LabsがMicrosoft Copilot Personalの脆弱性「CoSnitch」(CVE-2026-24301・critical)を公表し、Microsoftは2026年8月18日にパッチを配布しました。
  • 未文書化のURLパラメータautorun=1(2026年8月時点)により、リンクを1回クリックしただけで攻撃者のプロンプトが認証済みセッションで自動実行されます。
  • 汚染された永続メモリはパスワード変更・セッション失効・デバイス再登録では消えないため、確認すべき対象はメモリ側にあります。

セキュリティ企業Varonisの調査チームVaronis Threat Labsが、Microsoft Copilot Personalの脆弱性CoSnitchを公表しました。深刻度はcriticalで、CVE-2026-24301として登録されています。Microsoftへの報告は2025年12月、パッチの配布は2026年8月18日です。実際に悪用された形跡は確認されていない、とVaronisは述べています。

CoSnitchは単独の不具合ではなく、3つの弱点を連鎖させる攻撃チェーンです。起点は自動実行、次が接続済みアプリからの持ち出し、最後が永続メモリへの書き込みにあたります。

未文書化パラメータ1個が自動実行の起点になった

攻撃URLの形はhttps://copilot.microsoft.com/?q=<プロンプト>&autorun=1です。?q=だけであれば入力欄に文字が入るところまでで、送信するには利用者がEnterを押す必要があります。ここに未文書化パラメータautorun=1が加わると、ページの読み込み時点でプロンプトが自動実行されます。クリック後の確認も、追加の操作も挟まりません。

実行は被害者の認証済みセッションの中で進むため、注入されたプロンプトは正規の利用者が打った指示と同じ権限を持ちます。Copilotのタブを直後に閉じても処理は最後まで完走します。

このパラメータの存在は、コードの解析ではなくCopilot自身の説明から判明しました。研究者が「なぜ自動実行はできないのか」と繰り返し尋ね、拒否の理由をそのまま次の質問に作り替えていったところ、Copilotが拒否の説明の途中で未文書化パラメータの存在、その過去の挙動、無効化のために入れた保護策までを自ら開示したとされます。Varonisはこの手法をメタハッキングと呼び、モデルの推論そのものに対するソーシャルエンジニアリングだと位置づけています。安全性の理屈を問い詰める行為自体が偵察として機能する、という点が、AIエージェントを騙される前提で設計する考え方とつながります。

持ち出しも汚染も、正規機能の中を通る

自動実行が成立したあと、プロンプトは接続済みのGmail・Google Drive・Google Calendar・OneDriveや、Copilotのチャット履歴と永続メモリを検索します。取り出した内容はbase64でエンコードされてURLに載せられ、Copilot自身が持つ「URLを取得して要約する」機能で攻撃者のWebhookへGETリクエストとして送られます。

この送信は、ネットワーク層から見ると通常のURL取得と区別がつきません。異常なヘッダも、見慣れないポートも、検知に引っかかるペイロードも現れないためです。base64化は、機密パターンを走査するフィルタの回避にも効きます。検証で取り出せたものとして、メール本文・件名・送受信者、カレンダーの会議名と参加者・時刻・場所、Driveのファイル名とメタデータ、チャット履歴、永続メモリが挙げられています。推論の中身を経由して認証情報が漏れる事例と同じく、出口が正規の通信路になっている点が共通しています。

3つ目は、Web要約を入口にした間接プロンプトインジェクションです。細工したページをCopilotに要約させると、HTMLに埋め込まれた指示が「要約すべき内容」ではなく「従うべき命令」として解釈され、攻撃者の指示が利用者の永続メモリに書き込まれます。この汚染は、パスワード変更・セッション失効・デバイス再登録を生き延びて残り続けます。

編集部の見方

編集部は、3つの弱点のうち運用側が最優先で確認すべきは自動実行そのものではなく、永続メモリの汚染だと見ています。

  • 根拠1: 自動実行はautorun=1を塞ぐ修正で断てますが、すでに書き込まれたメモリの内容はパスワード変更・セッション失効・デバイス再登録では消えません。資格情報を入れ替える通常の事後対応が効かない領域が残ります。
  • 根拠2: 持ち出しがCopilot自身のURL取得機能を通るため、既存のネットワーク監視のログには痕跡が残りにくい構造です。過去に踏んでいたかどうかを通信記録から遡って確認しにくい、という意味でもあります。
  • 根拠3: CoSnitchはVaronisが今年Copilotに見つけた3件目で、既報のRepromptとSearchLeakを含む3件がいずれも「正規に見えるリンクを1回クリックさせる」共通パターンでした。単発の実装ミスとして閉じにくい構図です。

なお、パッチは2026年8月18日に配布済みですが、利用者側で追加の操作が必要かどうかは公表内容からは判断できません。

この見方が変わる条件は、メモリに書き込まれた内容の一覧表示と一括削除が利用者側から確認できる形で提供された場合です。そのときは、優先度が運用監視側から製品機能側へ移ります。


よくある質問

Q: 自分が影響を受けたかどうかは、どう確認すればよいですか

A: Varonisは実際に悪用された形跡は確認していないとしています。そのうえで、通信ログよりもCopilotの永続メモリに身に覚えのない指示や設定が残っていないかを見るほうが手がかりになります。持ち出しの通信は通常のURL取得と区別がつかないためです。

Q: ?q=が付いたCopilotのリンクはすべて危険ですか

A: ?q=は入力欄に文字を入れるところまでで、送信には利用者の操作が必要です。自動実行を成立させていたのはautorun=1との組み合わせで、両方が揃う必要がありました。

Q: 業務利用のMicrosoft 365 Copilotも同じ問題ですか

A: 今回公表されたCoSnitchの対象はCopilot Personalです。VaronisはMicrosoft 365 Copilot Enterpriseに関する別件としてSearchLeakを既に公表していますが、両者は別の事案として扱われています。


まとめ

CoSnitchは、未文書化のURLパラメータautorun=1を起点に、接続済みアプリからの持ち出しと永続メモリの汚染までを1クリックでつなげる攻撃チェーンでした。Microsoftは2026年8月18日にパッチを配布しています。持ち出しがCopilot自身の正規機能を通るため既存の監視では見えにくく、書き込まれたメモリは資格情報の入れ替えでは消えません。発見手法が「モデルに安全性の理屈を尋ねること」だった点も、AIを組み込んだ製品の攻撃面が従来のコード解析だけでは測れないことを示しています。


【用語解説】

  • CVE: 公開された脆弱性に世界共通の識別番号を割り当てる仕組み。CVE-2026-24301は今回のCoSnitchに割り当てられた番号です。
  • OAuthコネクタ: 利用者の同意のもとで、外部サービスのデータを別のアプリから読めるようにする接続の仕組み。今回はこの正規の接続がそのまま持ち出しの経路になりました。
  • 永続メモリ: 会話をまたいで保持される記憶領域。セッションを切っても残るため、汚染された場合はログアウトや端末の再登録では消えません。

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。