📖 この記事で分かること
- NVIDIAがGTC 2026でNemoClawスタックを発表した
- 1コマンドでOpenClawにプライバシー・セキュリティ機能を追加できる
- ローカルとクラウドのAIモデルを組み合わせて常時稼働エージェントを実現
- GeForce RTX PCからDGX Sparkまで幅広いハードウェアに対応
💡 知っておきたい用語
- OpenClaw(オープンクロウ):誰でも自分のAIエージェントを作れるオープンソースのAIプラットフォーム。パソコンにおけるWindowsやmacOSのように、個人AIの「OS」として機能するとされています。
最終更新日: 2026年03月17日
NemoClawとは何か——OpenClawのセキュリティ問題を解決するスタック
NemoClawはOpenClaw上で動くAIエージェントに、プライバシーとセキュリティのガードレールをコマンド1つで追加できるソフトウェアスタックです。NVIDIAが2026年3月16日(現地時間)に開催中のカンファレンス「GTC 2026」で発表しました。
正式名称は「NVIDIA NemoClaw」。NVIDIA Agent Toolkitを使ってOpenClawを最適化し、NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」と新たに発表されたランタイム「NVIDIA OpenShell【オープンシェル】」をインストールします。OpenShellはオープンモデルと隔離されたサンドボックスを提供し、エージェントに必要なアクセス権を与えながら、ポリシーベースのセキュリティ・ネットワーク・プライバシー管理を強制する仕組みです。
NVIDIAの創業者兼CEOジェンスン・ファン氏は基調講演で次のように述べています。「OpenClawは個人AIのOSだ。すべての企業がOpenClaw戦略を持つ必要がある」。
ローカルとクラウドを組み合わせた「ハイブリッドAIエージェント」
NemoClawのカギは、ローカルとクラウドのAIモデルを柔軟に使い分けられる設計にあります。
- ローカルモデル:Nemotronなどのオープンモデルをユーザーの端末上で直接実行
- クラウドモデル:プライバシールーターを介してフロンティアモデルにアクセス
- ポリシー管理:定義されたプライバシー・セキュリティポリシーの範囲内でエージェントが新スキルを習得しタスクを実行
この組み合わせにより、企業は自社のデータを外部に出さず、必要に応じてクラウドの高性能モデルも活用できます。NVIDIAは現時点でNemoClawをアルファリリースとして位置づけており、公式サイトでは「本番環境向けサンドボックスオーケストレーションに向けて開発中」と明記しています。
対応ハードウェアと企業向けの展開
常時稼働するAIエージェントには専用コンピューターが必要です。NemoClawが動作するプラットフォームは以下のとおりです。
- GeForce RTX搭載PC・ノートPC
- RTX PRO搭載ワークステーション(最大4,000 TOPSのローカルAI演算・96GB GPU メモリを提供)
- NVIDIA DGX Station
- NVIDIA DGX Spark
ハードウェアに依存しない設計であり、NVIDIAのGPU以外でも動作するとされています。
企業向けには、OpenShellがエージェントのデータアクセス方法・ツール使用・ポリシー境界内での動作を定義し、セキュアな常時稼働AIシステムの基盤となります。RTX PRO 6000 Blackwell搭載ワークステーションを使えばオンプレミスで複雑な業務タスクをすべて処理することも可能、とNVIDIAは述べています。
今後の注目点——OpenClawエコシステムへの影響
OpenClawはPeter Steinberger氏が開発したオープンソースのAIエージェントプラットフォームで、NVIDIAのファン氏は「史上最も急成長したオープンソースプロジェクト」と評しています。NVIDIAはSteinberger氏と協力してNemoClawを開発したとのことです。
NVIDIAはNemoClaw発表と合わせて、言語・推論モデル「Nemotron」をはじめ、世界・ビジョン向け「Cosmos」、ロボティクス向け「Isaac GR00T」など6つのフロンティアモデルファミリーを擁する「Nemotron Coalition」の設立も発表しています。AIエージェントの安全な普及に向けたエコシステム整備が加速する見込みで、今後の本番環境対応バージョンのリリース時期が注目されます。
よくある質問
Q: NemoClawを使うにはNVIDIAのGPUが必要ですか?
A: 必須ではありません。NemoClawはハードウェアに依存しない設計で、NVIDIAのGPU以外でも動作するとされています。ただし、NVIDIAはGeForce RTX PCやDGX Sparkなど自社プラットフォームでの利用を推奨しています。
Q: OpenShellとは何ですか?
A: NVIDIA OpenShellはオープンソースのランタイムで、自律型AIエージェントが安全かつ高速に動作・適応できる環境を提供します。エージェントのデータアクセス方法やポリシー境界を定義し、企業のガバナンス要件に対応します。
Q: 現在のリリース状況は?
A: 2026年3月時点でアルファリリースです。NVIDIAの公式サイトでは「本番環境向けサンドボックスオーケストレーションに向けて開発中であり、ラフエッジがある可能性がある」と明記されています。
まとめ
NVIDIAはGTC 2026で、OpenClaw向けのソフトウェアスタック「NemoClaw」を発表しました。1コマンドでNemotronモデルとOpenShellランタイムをインストールでき、企業が懸念するセキュリティ・プライバシー問題に対処します。ローカルとクラウドのモデルを組み合わせた設計で、常時稼働AIエージェントの安全な運用を目指します。現在はアルファ段階であり、本番対応に向けた開発が続いています。
【用語解説】
- NemoClaw【ネモクロウ】: NVIDIAが開発したOpenClaw向けのソフトウェアスタック。Nemotronモデルとセキュリティ機能を1コマンドで追加できる。
- OpenShell【オープンシェル】: NVIDIAが発表したオープンソースのランタイム。AIエージェントが安全に動作するためのサンドボックス環境とポリシー管理機能を提供する。
- Nemotron【ネモトロン】: NVIDIAのオープンソースAIモデルファミリー。言語・推論に特化しており、NemoClawを通じてローカル環境で動作させることができる。
免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。
引用元:
- [1] NVIDIA公式プレスリリース – https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-nemoclaw
- [2] NVIDIA Blog GTC 2026 ライブアップデート – https://blogs.nvidia.com/blog/gtc-2026-news/
- [3] NVIDIA NemoClaw 製品ページ – https://www.nvidia.com/en-us/ai/nemoclaw/
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15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。
技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。
また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。