Microsoft Orchard - アクティブ3BでSWE-bench 73%。Microsoftがエージェント学習基盤をMIT公開 anchor left anchor right

Aug 04 2026 AIニュース

アクティブ3BでSWE-bench 73%。Microsoftがエージェント学習基盤をMIT公開

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Microsoft Orchardは、Orchard は Microsoft Research が2026年8月3日に公開した、エージェントの学習と評価を大規模に回すためのオープンソースのフレームワークです。

📖 この記事で分かること

  • Microsoftが公開したエージェント学習基盤の中身
  • 3つの実装と公表されたベンチマーク実測値
  • 実際のハーネス内で学習させる設計の意味
  • 公開されたデータセットとライセンス条件

💡 知っておきたい用語

  • ハーネス: AIエージェントを実際に動かす土台となるソフトウェア。同じモデルでも、どのハーネスに載せるかで使える道具や手順が変わる。

最終更新日: 2026年8月4日

▶ 公式ページ

Microsoft Orchard - アクティブ3BでSWE-bench 73%。Microsoftがエージェント学習基盤をMIT公開

Microsoftがエージェント学習の全スタックをMITライセンスで公開

この記事のポイント

  • Microsoft Researchが2026年8月3日、エージェント学習フレームワーク「Orchard」を公開しました(2026年8月時点)。
  • 環境サービス・学習パイプライン・学習データセットを一式まとめてMITライセンスで提供します。
  • ソフトウェア開発向けの実装はSWE-bench Verifiedで73.0%に到達しています(2026年8月時点)。

Microsoft Researchは2026年8月3日、エージェントを学習させるための基盤「Orchard」を公開しました。公開範囲は環境サービス、学習パイプライン、学習データセットを含むスタック一式で、GitHubリポジトリはMITライセンスです。論文自体は2026年5月にarXivへ初出(v3は7月30日)していましたが、実装一式が誰でも使える形で揃ったのは今回の発表です。

これまで高い性能を出すエージェントの多くは、非公開のコードベースや社外に出ないサービスに依存していました。一方で公開されているフレームワークは、実行の制御や評価に寄っており、大規模に学習させる部分が手薄でした。Orchardはその空白を埋める位置づけです。

Orchard Envと3つの実装

中核となるのが「Orchard Env」です。Kubernetesを前提とした軽量な環境サービスで、サンドボックスのライフサイクル管理、コマンド実行、ファイル入出力、ネットワークポリシー、REST APIを汎用的な部品として提供し、Python SDKが付属します。数千の隔離環境を並列に立ち上げて管理でき、低レイテンシとKubernetesによるスケール、コスト削減を掲げています。学習側の「Trainer」は、slimeのフォークをベースにした強化学習の実装です。

この上に3つの実装が載ります。

  • Orchard-SWE(ソフトウェア開発): ベースモデルはQwen3.5-35B-A3B(アクティブパラメータ約3B)。SWE-bench Verifiedで、プロセス報酬を使った強化学習で69.7%、価値モデルによる再ランキングを併用して73.0%を記録しました(2026年8月時点)。論文は、オープンソース手法として最高水準であり、10倍以上大きいフロンティア級システムに迫るとしています。
  • Orchard-GUI(ブラウザ操作): 4BのVision-Languageモデルを、蒸留した軌跡0.4Kとオープンエンドなタスク2.2Kだけで学習。WebVoyager 74.1%、Online-Mind2Web 67.0%、DeepShop 64.0%で、平均68.4%です。
  • Orchard-Claw(パーソナルアシスタント): 合成タスク0.2Kのみで学習し、Claw-Evalのpass@3で59.6%。より強力なZeroClawハーネスと組み合わせると73.9%に上がります。

学習手法としては、credit-assignment SFT、スパース報酬向けのBalanced Adaptive Rollout、on-policy distillation、rubric-based process rewardに加え、過去実験のロールアウトを小さな価値モデルへ圧縮して推論時の再ランキングに使うhistorical experience distillationが用いられています。

実際に配備するハーネスの中で学習させる

設計上の核心は、学習環境の作り方にあります。従来は簡略化した近似環境で学習させることが一般的でしたが、Orchardはエージェントを、実際に配備されるハーネスの中でそのまま端から端まで学習させられます。

対応ハーネスはCodex、OpenClaw、ZeroClaw、ReACTで、リポジトリにはcodex、claude、pi、opencode、hermesの5つがあらかじめ入っています(2026年8月時点)。この差が数字に出ているのがOrchard-Clawで、Codexハーネス上の成功率は未学習の18.6%から学習後は51.5%へ変化しました。

環境レイヤーがハーネスに依存しないため、データ、学習レシピ、評価手順をドメインをまたいで再利用できます。データセットもHugging Faceで公開され、ソフトウェア開発側は2,788リポジトリ・19,287のユニークタスクにわたる107,185件のマルチターン軌跡(解決74,649件、未解決32,536件、平均47.5ターン)、ブラウザ操作側は3,070件のマルチモーダルなロールアウトが含まれます。

編集部の見方

編集部は、今回の公開で最も効くのはベンチマークの数字そのものではなく、学習データと環境サービスがまとめてMITライセンスで出たことだと見ています。

  • 根拠1: エージェント学習で再現の壁になりやすいのは、モデルよりも環境と軌跡データです。107,185件の軌跡と、それを生成した環境サービスが同じライセンスで揃っている例は多くありません。
  • 根拠2: アクティブパラメータ約3Bという規模でSWE-bench Verified 73.0%が出ている点は、手元のGPU予算でも追試や派生検証に手が届く範囲を示しています。
  • 根拠3: 配備先のハーネスで直接学習できる設計は、評価環境と本番環境の差から生じる性能の目減りを構造的に減らします。Orchard-Clawの18.6%から51.5%への変化は、その効果が測定可能であることを示しています。

この見方が変わる条件は、Orchard Envの運用コストです。Kubernetes前提のため、数千規模の並列サンドボックスを回す場合の実コストは公式に数値が示されていません。小規模チームで現実的に回るかどうかは、実際に動かした報告が出てから判断する必要があります。


よくある質問

Q: 商用利用はできますか?

A: GitHubリポジトリはMITライセンスです(2026年8月時点)。ただしベースモデルやデータセット側の条件は別途確認が必要です。

Q: 自前のエージェントにそのまま使えますか?

A: Orchard Envはハーネス非依存の設計で、REST APIとPython SDKが提供されます。リポジトリにはcodex、claude、pi、opencode、hermesの5つのハーネスが同梱されています。

Q: 論文は今回が初公開ですか?

A: 論文はarXivに2026年5月14日に初出し、7月30日にv3が公開されています。今回の8月3日の発表は、実装スタック一式のオープンソース公開にあたります。


まとめ

Microsoft Researchは2026年8月3日、エージェント学習フレームワークOrchardの全スタックをMITライセンスで公開しました。中核のOrchard EnvはKubernetesを前提とした環境サービスで、実際に配備するハーネスの中で学習を回せる点が設計上の特徴です。ソフトウェア開発向けの実装はアクティブパラメータ約3Bという規模でSWE-bench Verified 73.0%に到達し、10万件規模の学習軌跡も併せて公開されています。運用コストの実測値は公式に示されておらず、そこは今後の報告を待つ段階です。


【用語解説】

  • SWE-bench Verified: 実在のソフトウェアリポジトリの課題をAIに解かせ、修正が通るかどうかで採点するベンチマーク。人手で妥当性を検証した問題だけを集めた版。
  • アクティブパラメータ: 混合エキスパート型のモデルで、1回の推論に実際に使われるパラメータ数。総数より小さく、必要な計算資源の目安になる。
  • 蒸留: 大きなモデルや優れた実行例の振る舞いを、小さなモデルに学習させて写し取る手法。

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。