OpenAI Jalapeño - OpenAI初の自社チップJalapeñoが性能公開。電力あたり1.9倍は定格での比較 anchor left anchor right

Aug 26 2026 AIニュース

OpenAI初の自社チップJalapeñoが性能公開。電力あたり1.9倍は定格での比較

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OpenAI Jalapeño は、OpenAI が Broadcom と共同開発した初の自社推論チップで、2026年8月25日に初めてのベンチマーク結果が公開されました。

📖 この記事で分かること

  • Jalapeñoの初ベンチ結果と3モデルでの実数
  • 「ワットあたり」の倍率が何を基準にした値か
  • 53.7倍という数字が示す本当の意味
  • 展開開始時期とNVIDIAとの関係

💡 知っておきたい用語

  • TBT(トークン間時間): 応答が1文字ずつ出てくるときの「次の1文字までの待ち時間」。短いほど文章がなめらかに流れて見える
  • prefill / decode: 質問文をまとめて読む工程と、答えを1トークンずつ書く工程。前者は計算力、後者はメモリの速さが効く

最終更新日: 2026年8月26日

▶ 公式ページ

OpenAI Jalapeño - OpenAI初の自社チップJalapeñoが性能公開。電力あたり1.9倍は定格での比較

OpenAIが自社推論チップの初の測定結果を公開した

この記事のポイント

  • OpenAIは2026年8月25日、自社推論チップ Jalapeño(2026年8月時点)の初のベンチマーク結果を公開しました。
  • 3つの公開モデルで、ワットあたりのAI処理量が1.5〜1.9倍、エンドツーエンド遅延が1.7〜3.6倍低いとしています。
  • 倍率の分母は各社の公表チップ電力定格で、Jalapeñoの実測持続電力は550W以下とOpenAI自身が併記しています。
  • 自社基盤への展開開始は2026年末からの計画です。

OpenAIは2026年8月25日、初の自社推論チップ Jalapeño の測定結果を公開しました。チップ自体の存在はそれ以前に発表済みで、今回が初めての性能データの公開にあたります。開発はBroadcomとの共同で進められました。

公開されたのは、GPT-OSS 120B、DeepSeek R1 670B、Kimi K2.5 1T の3つの公開モデルでの結果です。3モデル共通で、ピークスループット時のワットあたりAI処理量が1.5〜1.9倍、エンドツーエンド遅延が1.7〜3.6倍低く、高インタラクティブなワークロードでは2.1〜4.1倍の性能が出たとしています。OpenAIは3モデルすべてでJalapeñoがパレートフロンティア上に位置したと説明しています。

何をどう測ったのか

今回の数字を読むうえで最も重要なのは、比較の分母です。OpenAIは正規化に各アクセラレータの公表チップ電力定格を使ったと明記しています。

使用したベンチマークはSemiAnalysisが公開しているInferenceXで、AIリクエストを配信する全工程を測るものです。条件はnominal 8k/1k・STP。比較対象は「商用として入手可能な主要システム」とされ、付録の表記ではGPT-OSS 120BがGB200(1,200W)、DeepSeek R1とKimi K2.5がGB300(1,400W)と並んでいます。Jalapeñoの定格は700Wです。

ここでOpenAI自身が併記しているのが、Jalapeñoの実測持続電力はテストしたワークロードで550W以下だったという事実です。つまり公開された「ワットあたり」の倍率は、実測消費電力ではなく、双方の公表定格を分母にして算出されています。OpenAIは「性能はチップあたりで報告されることもあるが、単位電力あたりの性能のほうが有用な基準だと考える」と立場を明示しており、正規化の方法を隠さずに書いた点は評価できます。ただしベンチマークが公開仕様であることと、測定・公表の主体がOpenAI側であることは別の話です。

モデル別の実数は次のとおりです。GPT-OSS 120Bでピーク mixed TPS/kW が 85,448 対 44,960(約1.9倍)、遅延1.03秒 対 1.80秒。DeepSeek R1で 19,641 対 11,781(約1.7倍)、遅延1.65秒 対 5.99秒。Kimi K2.5で 18,195 対 11,862(約1.5倍)、遅延1.56秒 対 5.31秒。OpenAIは社内テストでは自社フロンティアモデルで優位がさらに広がったとしていますが、その数値は公開されていません。

53.7倍・104.3倍という数字の正体

付録には約53.7倍、約104.3倍、約56.1倍という桁の違う数字も並んでいます。これは総合的な速度差ではありません。

これらは「比較システムが出せた最良のTBT(トークン間時間)と同じ動作点で、どれだけのスループットを出せるか」という、動作点をそろえた比較の値です。GPT-OSS 120Bでは535.28 tok/s/user の地点で 22,935 対 427 mixed/kW、DeepSeek R1では169.41 tok/s/user の地点で 12,258 対 118 mixed/kW となっています。

比較システムはその動作点で限界に張り付いており、そこでのスループットがほぼ出ない状態にあります。分母が極端に小さくなるため倍率が跳ね上がる構造で、「Jalapeñoは100倍速い」という読み方は誤りです。エージェントのように多段の処理を順に回す用途では、遅い側の限界点でも余力が残るかどうかが効いてくるため、この見せ方自体には意味があります。ただし汎用の性能倍率として引用すると事実を誤って伝えることになります。

アーキテクチャと、AIが設計に関わった範囲

Jalapeñoの設計は「現代および将来の言語モデル、とくにインタラクティブなエージェントを配信することが主目的なら、どんなハードを作るか」という問いから出発したとされています。

LLM推論はフェーズごとに律速要因が変わります。prefillは演算律速、decodeはメモリ帯域律速で、さらにコア間・チップ間のデータ移動が遅延を生み、演算器が待たされます。Jalapeñoはこのデータ移動と通信遅延の最小化を狙った設計で、KVキャッシュを含むモデル状態を明示的に配置してローカルに保持でき、推論フェーズごとに演算・メモリ・ネットワークの適切な組み合わせを起動するとしています。ネットワークをアーキテクチャに統合し、大きなドメインでワークロード全体を1つの接続システム内に収める構成です。

開発工程にはAIが直接関与しています。初期設計からテープアウトまで9か月で、AIが実装案の探索と設計・測定・検証ループの短縮に寄与し、演算回路の最適化も助けたとしています。チップ自体を人間とAIの双方にとって予測可能なプログラミング対象として設計した点も強調されています。CodexとGPT-Astraを使い、当初の量産計画に入っていなかった3つのオープンウェイトモデルを2か月で高性能化したという記述もあります。

数字として目を引くのは、GPT-OSSの一部のattention・MoEブロックでAI生成実装が人間の専門家による既存実装より1.5〜1.8倍高速だったという結果です。ただしOpenAIは「この数字は選ばれたブロックに対するもので、モデル全体ではない」と自ら注記しています。

展開時期と、NVIDIAとの関係

Jalapeñoの展開開始は2026年末からの計画です。OpenAIは自社のコンピュート基盤で運用を始めるとしており、現在も production qualification、ソフトウェアの成熟化、スケール運用の準備、より多くのモデルでの性能検証を継続中と書いています。

位置づけは多世代ロードマップの第1世代で、Gen 2は開発が深く進行し、Gen 3も形になりつつあるとされています。効果としては、ultra-fastモードの推論を従来fastモードでしか得られなかった効率で、fastモードをバッチモード相当の効率で提供できるようになる、という整理が示されています。

重要なのは、OpenAIがNVIDIAおよび他パートナーのアクセラレータを、学習・推論の双方で今後も広く展開し続けると明記している点です。自社チップへの置き換えを宣言した発表ではありません。外部への販売可否、単価、具体的な出荷量については発表に記載がありません。

編集部の見方

編集部は、今回の発表で最も価値があるのは倍率そのものではなく、OpenAIが正規化の方法と自社チップの実測電力を同じ文書内に書いたことだと見ています。

  • 根拠1: 「定格TDPで正規化した」「Jalapeñoの実測持続電力は550W以下」という2つの記述が併記されています。倍率を有利に見せたいだけなら、後者は書かなくても成立します。
  • 根拠2: 53.7倍などの数字についても、それが特定の動作点での比較であることが付録の条件表記から追える形になっています。
  • 根拠3: NVIDIA製アクセラレータを今後も広く展開すると明記しており、発表の射程を自社基盤の効率改善に限定しています。

一方で、これを自社の調達判断や技術選定に織り込むのは現時点では早いというのが編集部の立場です。Jalapeñoは外販の可否すら発表に書かれておらず、2026年末に自社基盤で動き始める第1世代です。読者にとっての実務的な意味は当面、OpenAI APIの提供コストと応答速度に間接的に効く可能性がある、という一点にとどまります。

この見方が変わる条件は、第三者による独立した測定結果が出た場合です。とくに両システムの実測消費電力をそろえた比較が公開されれば、1.5〜1.9倍という数字の妥当性を読者が自分で検証できるようになります。


よくある質問

Q: Jalapeñoは一般の開発者が使えますか

A: 現時点では使えません。2026年末からOpenAI自社のコンピュート基盤で展開が始まる計画で(2026年8月時点)、外部への販売可否や単価は発表に記載がありません。

Q: 「ワットあたり1.9倍」は実測電力での比較ですか

A: 違います。OpenAIは各アクセラレータの公表チップ電力定格で正規化したと明記しています。Jalapeñoの定格は700Wですが、実測持続電力はテストしたワークロードで550W以下だったとOpenAI自身が書いています。

Q: OpenAIはNVIDIAのGPUを使わなくなるのですか

A: そうではありません。NVIDIAおよび他パートナーのアクセラレータを、学習・推論の双方で今後も広く展開し続けると発表内で明記しています。


まとめ

OpenAIは2026年8月25日、自社推論チップ Jalapeño の初のベンチマーク結果を公開しました。3つの公開モデルでワットあたり1.5〜1.9倍、遅延1.7〜3.6倍低という結果ですが、倍率の分母は双方の公表チップ電力定格であり、Jalapeñoの実測持続電力は550W以下と自ら併記されています。付録の53.7倍などの数字は動作点をそろえた比較で、汎用の速度差ではありません。展開開始は2026年末からで、NVIDIA製アクセラレータの併用継続も明記されています。


【用語解説】

  • InferenceX: SemiAnalysisが公開しているベンチマーク。AIリクエストを配信する全工程を測る
  • パレートフロンティア: 複数の指標を同時に改善しきった限界線。ここに乗るとは、どれかを犠牲にせずに全体で優位という意味
  • テープアウト: チップの設計データを製造工場へ渡す工程。ここまで到達すると設計が確定する

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。