Vercel Sandbox - Vercel Sandboxが4リージョンに拡大。落ちた時の退避はPro以上で事前設定が必要 anchor left anchor right

Aug 25 2026 AIニュース

Vercel Sandboxが4リージョンに拡大。落ちた時の退避はPro以上で事前設定が必要

anchor left anchor right

Vercel Sandbox は、AIエージェントなどにコードを実行させるVercelの実行環境です。2026年8月24日、対応リージョンが4つに増え、実行場所と障害時の退避先を選べるようになりました。

📖 この記事で分かること

  • Vercel Sandboxが4リージョンから選べるようになった
  • リージョン選択は全プラン、退避設定はPro以上
  • スナップショットはリージョンを移動できない
  • 設定はSettings画面かCLI、SDKの更新が必要

💡 知っておきたい用語

  • サンドボックス: AIが書いたコードを本番環境から隔離して動かす、使い捨ての実行場所。実験用の別部屋を借りるイメージです。

最終更新日: 2026年8月25日

▶ 公式ページ

Vercel Sandbox - Vercel Sandboxが4リージョンに拡大。落ちた時の退避はPro以上で事前設定が必要

Vercel Sandboxが4リージョンで動くようになった

この記事のポイント

  • Vercelが2026年8月24日、Vercel Sandboxを4リージョンで提供開始しました(2026年8月時点)。
  • リージョン選択は全プラン、フェイルオーバー設定はPro/Enterpriseのみです(2026年8月時点)。
  • スナップショットは作成したリージョンから移動できず、再開には同一リージョンが必要です。

Vercelは2026年8月24日、AIエージェントなどにコードを実行させるVercel Sandboxを、4つのリージョンで利用できるようにしたと発表しました。対応リージョンはiad1(米ワシントンD.C.)、sfo1(サンフランシスコ)、cle1(クリーブランド)、cdg1(パリ)の4つです(2026年8月時点)。既定は引き続きiad1で、全リージョンへの対応は近日中とされています。

公式が挙げている選択理由は、データベースやストレージの近くを選ぶとレイテンシが下がる、という点です。エージェントが生成したコードは、たいてい単体で完結しません。DBを読み、ストレージに書き、外部APIを叩きます。その往復がリージョンを跨ぐたびに遅くなるため、実行場所の選択がそのまま体感速度に効きます。

設定はプロジェクトのSettings > Sandboxes、またはCLIから行います。

vercel project update my-project --sandbox-region cdg1 --sandbox-failover-regions iad1,cle1

サンドボックス単位で変えたい場合は、作成時のパラメータregionfailoverRegionsで上書きできます。利用にはツールの更新が必要で、SDKはpnpm install @vercel/sandbox@latest、Sandbox CLIはpnpm install -g sandbox@latest、Vercel CLIはpnpm install -g vercel@latestが案内されています。

落ちた時に退避させるには、先に設定しておく必要がある

可用性の設計は、プランによって扱いが分かれました。リージョン選択そのものは全プランで使えますが、フェイルオーバーリージョンの設定はProとEnterpriseのみです(2026年8月時点)。

動作はこうです。プライマリリージョンが利用できない状態になると、新しいサンドボックスは、設定済みのフェイルオーバー先のうち最も近いリージョンで起動します。逆に言えば、設定していなければ、選択したリージョンかプロジェクト既定のリージョンで起動しようとするだけです。空いている別のリージョンへ勝手に逃げてくれるわけではありません。

ここは誤解が生まれやすい箇所です。「グローバル対応した」という見出しから、障害時に自動で回避してくれる仕組みが標準で付いたと読むと、実際には何も設定されていない状態のまま運用することになります。Proプラン以上を契約していても、--sandbox-failover-regionsを指定していなければ退避先は存在しません。契約と設定は別物として確認する必要があります。

スナップショットはリージョンを跨げない

運用上いちばん効いてくるのは、スナップショットの制約だと考えられます。公式は「スナップショットは作成されたリージョンに留まり、移動できない」と明記しています。サンドボックスをスナップショットから作成する場合も、再開する場合も、両者が同じリージョンにある必要があります。

これは長時間動くエージェントの設計に直接影響します。エージェントに数時間かかる作業をさせるとき、途中の状態をスナップショットとして保存し、次の呼び出しでそこから再開する構成はよく使われます。依存パッケージのインストールを毎回やり直さずに済むためです。

ところが、リージョンを分散させるほど、この「続きから再開する」前提は崩れやすくなります。cdg1で作った作業途中のスナップショットは、iad1に退避した先では使えません。可用性を上げるためにリージョンを分けた結果、再開性を失う、という交換が発生します。速度のためにDBの近くを選ぶ判断と、障害時に別の場所へ逃げる判断と、途中から再開する判断は、それぞれ別の方向を向いています。

なお、料金や使用量の上限が今回どう扱われるかについては、この発表には記載がありません。

編集部の見方

編集部は、今回の更新で実務に一番効くのは、リージョンが4つに増えたことよりも、スナップショットがリージョンを跨げないと明文化されたことだと見ています。

  • 根拠1: リージョン選択は全プランで使えるのに対し、フェイルオーバーはPro/Enterprise限定かつ事前設定が前提です。障害対策として当てにするには、契約と設定の両方を確認する工程が要ります。
  • 根拠2: スナップショットの非可搬性は、退避が起きた瞬間に再開性が失われることを意味します。可用性と再開性が同時には満たせない構造で、これは設定値を変えるだけでは解けません。
  • 根拠3: 現時点で対応は4リージョンにとどまり、既定はiad1のままです。分散の選択肢自体がまだ限定的で、設計の自由度は「全リージョン対応」を待つ部分が残ります。

この見方が変わる条件は、スナップショットのリージョン間複製が提供された場合です。作成済みの状態を別リージョンでも再開できるようになれば、可用性と再開性のトレードオフは解消し、フェイルオーバーの設定有無だけを見ればよくなります。

自社のエージェントについて、次の3点を書き出せるかを確認しておくと判断が早くなります。どのリージョンで動いているか、そのリージョンが落ちたら何が起きるか、そして作業の途中から再開できるのか。


よくある質問

Q: リージョンを選ぶだけなら無料プランでもできますか

A: リージョン選択は全プランで利用可能とされています(2026年8月時点)。プラン制限がかかるのはフェイルオーバーリージョンの設定で、こちらはProとEnterpriseが対象です。

Q: フェイルオーバーを設定しない場合、障害時はどうなりますか

A: 設定していない場合、新しいサンドボックスは選択したリージョン、またはプロジェクト既定のリージョンで起動します。別リージョンへの自動的な退避は行われません。

Q: 既存のスナップショットは新しいリージョンでも使えますか

A: 使えません。スナップショットは作成されたリージョンに留まり、移動できないと公式に記載されています。サンドボックスの作成・再開には、スナップショットと同じリージョンを指定する必要があります。


まとめ

Vercelは2026年8月24日、Vercel Sandboxをiad1sfo1cle1cdg1の4リージョンで提供開始しました。リージョン選択は全プラン、フェイルオーバー設定はPro/Enterpriseのみで、いずれも事前の設定が前提です。スナップショットはリージョンを跨げないため、可用性のために実行場所を分散させると、作業を途中から再開する構成とは両立しにくくなります。エージェントの実行基盤は、動かす段階から「どこで動かし、落ちたらどうするか」を決める段階に入っています。


【用語解説】

  • フェイルオーバー: 使っている場所が障害で使えなくなったとき、あらかじめ決めておいた別の場所へ処理を移すこと。今回は移す先を自分で登録しておく方式です。
  • スナップショット: 実行環境のある時点の状態をそのまま保存したもの。次回はここから始められるため、準備作業を省けます。
  • レイテンシ: 要求を出してから応答が返るまでの待ち時間。距離が離れるほど伸びます。

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

anchor left anchor right
KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。