Suno有料でも所有権なし?2026年規約変更の真実

2026年1月5日

📖 この記事で分かること
・Sunoで作った曲、実は「あなたのもの」じゃない?
・「所有権」と「使う権利」の決定的な違い
・2026年の規約変更が「守りの対策」になる理由
・今すぐ確認すべきあなたの楽曲の法的リスク

💡 知っておきたい用語
所有権:その物や作品を自分のものとして自由に使える権利。Sunoの場合、有料プランでも「完全な所有権」ではなく「使う権利」だけがもらえる仕組みです。


最終更新日: 2026年1月8日

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AI音楽生成ツール「Suno【スーノ】」の有料プランに入っているあなた。「自分が作った曲は自分のもの」だと思っていませんか?

実は、Sunoの公式ヘルプにはこんな一文があります:「答えは複雑ですが、一般的にはイエス。Sunoが出力に対して最終的に責任を持ちます」

つまり、有料プランでも楽曲の所有者はSunoなんです。

2026年から実施予定の規約変更は、実はこの複雑な権利関係を整理し、ユーザーを法的トラブルから守るための重要なステップだと考えます。今回は、他のメディアがあまり触れない「所有権の真実」に焦点を当てて解説します。

有料プランでも「所有権」はもらえない

まず、多くの人が誤解している点を整理しましょう。

Sunoの公式ヘルプ「Does Suno own the music I make?【私が作る音楽はSunoが所有するのか?】」には、こう書かれています:

「Sunoが所有者として機能しますが、サブスクリプション中に作った曲については、所有権に通常関連する権利をあなたに付与します」

この表現、注目すべきは「所有権に通常関連する権利」という部分です。「所有権そのもの」ではないんです。

3つの権利の違いを理解しよう

ここで、混同しやすい3つの権利を整理します:

①所有権(Ownership)
その作品を完全に自分のものとして扱える権利。売る・譲る・改変する・破棄するなど、すべてを自由に決められます。

②商用利用権(Commercial Use Rights)
その作品を使ってお金を稼ぐことが許される権利。ただし、作品そのものの「持ち主」になるわけではありません。

③著作権(Copyright)
作品を作った人に法律で認められる保護。複製・配布・改変などを独占的にコントロールできる権利です。

Sunoの有料プランで付与されるのは、このうち②の商用利用権のみです。

さらに衝撃的な事実:著作権保護も保証されない

ここからが、本当に重要なポイントです。

Suno公式ヘルプ「What rights do I have with a paid subscription?【有料プランではどんな権利がありますか?】」には、こんな警告文があります:

「商用利用権の付与は、著作権保護を保証するものではありません!著作権の資格と保護は、あなたの地域・国の著作権局が判断するものであり、Sunoが決めるものではありません」

正直なところ、これは予想以上に重要な問題です。

なぜAI生成音楽に著作権が認められにくいのか

多くの国(日本を含む)では、著作権は「人間の創作的表現」に対して認められます。

AIが自動生成した音楽の場合:

  • 人間の創作的関与が少ない→著作権が認められない可能性が高い
  • プロンプト入力だけ→創作とみなされない場合が多い
  • 歌詞を自分で書いた場合→歌詞部分のみ著作権が認められる可能性あり

つまり、Sunoで作った楽曲は「商用利用はできるけど、著作権保護は受けられないかもしれない」という、実に微妙な立場に置かれているんです。

これって、どういうリスクがあるのでしょうか?

著作権保護がないと何が起こるのか

著作権保護がない状態で商用利用すると、以下のようなトラブルが起こり得ます:

  • 他人が同じような曲を作っても文句が言えない:あなたの楽曲が大ヒットしても、他人が似た曲を作って販売しても、法的に止められない可能性があります
  • 逆に訴えられるリスク:Sunoが学習に使ったデータに著作権のある音楽が含まれていた場合(Warner Musicの訴訟理由)、あなたの楽曲が「間接的に権利侵害している」と訴えられる可能性もゼロではありません
  • 契約・ライセンスで不利な立場に:映画やCMで楽曲を使ってもらう際、「著作権が確立していない」という理由で契約が流れたり、不利な条件を飲まされる可能性があります

個人的には、この状態で無制限にダウンロード・配信できてしまうことの方が、実はユーザーにとって危険だと考えています。

Warner Music和解が変えたもの

ここで2025年11月25日の重要な転換点に話を戻します。

SunoとWarner Music Group【ワーナー・ミュージック・グループ】は、著作権侵害訴訟を和解し、パートナーシップを締結しました。

この和解の核心は「適切なライセンス」です。

Warner MusicのCEO、Robert Kyncl【ロバート・キンセル】氏は声明でこう述べています:

「AIがアーティスト支援になるのは、ライセンスされたモデルへのコミットメント、音楽の価値を反映すること、そしてアーティストと作曲家に使用に対するオプトイン【選択制】を提供する時です」

注目すべきは「ライセンスされたモデル」という表現です。

2026年規約変更の本当の意味

これを踏まえて、2026年の規約変更を見直してみましょう。

主な変更点(再掲)

  • 無料プランでの制限強化:無料プランで作った楽曲はダウンロード不可、再生とシェアのみ
  • 有料プランでも月間上限設定:ダウンロード数に上限(追加購入で増やせる)
  • 新しいライセンスモデルの導入:Warner Musicのアーティストを使った新機能(オプトインしたアーティストのみ)
  • 現行モデルの廃止予定:2026年に新モデルがリリースされると、現行モデルは非推奨に

一見すると「制限が増える」ネガティブな変更です。でも、よく考えてください。

現行モデルで作った楽曲は「著作権が不明確な学習データで訓練されたAI」が生成したものです。この楽曲を無制限にダウンロードしてSpotifyやApple Musicにアップロードすると:

  1. あなた自身が権利侵害で訴えられるリスクがある
  2. 著作権保護がないため、他人に模倣されても守れない
  3. 配信プラットフォームから削除される可能性もある

つまり、ダウンロード制限はあなたを法的トラブルから守る「予防線」なんです。

そして2026年以降の新モデルは、Warner Musicとの正式なライセンス契約に基づいて訓練されるため、「権利関係が明確な楽曲」を生成できるようになります。

あなたの楽曲への具体的影響

では、実際にどう対応すればいいのでしょうか。プラン別に整理します。

無料ユーザーの場合

現状の権利状況

  • 所有者:Suno(あなたではない)
  • 付与される権利:非営利目的での使用のみ
  • 著作権保護:保証なし

2026年以降の変更

  • ダウンロード不可(再生・シェアリンクのみ)
  • 新モデルでも無料プランの制約は継続見込み

推奨対応

  1. 気に入った楽曲は今のうちにダウンロード
  2. 商用利用予定がある場合は有料プランへ切り替え
  3. ただし、有料プランでも「完全な所有権」は得られないことを理解する

有料ユーザー(Pro/Premier)の場合

現状の権利状況

  • 所有者:Suno(あなたではない)
  • 付与される権利:商用利用権(ライセンス契約中に作成した楽曲は解約後も保持)
  • 著作権保護:保証なし(地域の著作権局が判断)

2026年以降の変更

  • ダウンロード数に月間上限設定(追加購入可能)
  • 新ライセンスモデル導入後は、権利関係がより明確に

推奨対応

  1. 現行モデルで作った楽曲の商用利用は慎重に(特にストリーミング配信)
  2. 2026年の新モデルリリースを待ってから本格的な商用展開を検討
  3. 契約・ライセンス交渉では「AI生成」であることを開示する

業界全体の転換点

今回のWarner Music和解は、AI音楽生成業界にとって歴史的な転換点です。

2024年6月、Sony Music、Universal Music、Warner Musicの大手3社は、SunoとUdioを著作権侵害で提訴しました。 訴訟理由は「許可なく著作権のある音楽を学習データとして使った」というものです。

Sunoは当初、「フェアユース【公正使用】だ」と主張していましたが、Warner Musicとの和解で事実上この主張を撤回し、「ライセンスされたモデル」への移行を約束しました。

これは、AI企業が「許可なく使ってから訴えられたら和解する」というモデルから、「最初から適切なライセンスを取る」モデルへの移行を意味します。

注目すべき点は、Universal MusicとSony Musicの訴訟はまだ継続中ということです。 Warner Musicだけが和解したことで、業界内でも「AI技術との付き合い方」に温度差が生まれています。

今すぐできる3つの対策

規約変更まで時間があるので、今できることをまとめました:

1. 権利状況の再確認

  • 自分のプラン(無料/有料)と作成時期を確認
  • 商用利用している楽曲のリストアップ
  • Spotify等に配信済みの楽曲の見直し検討

2. 重要楽曲のバックアップ

  • 気に入った楽曲は今のうちにダウンロード
  • 自分で書いた歌詞部分は別途テキスト保存(歌詞には著作権が認められる可能性あり)

3. 新モデルへの移行準備

  • Suno公式ブログを定期的にチェック
  • 2026年の新ライセンスモデルの詳細発表を待つ
  • 本格的な商用展開は新モデル以降を検討

よくある質問

Q: 有料プランなのに所有権がないって、詐欺じゃないですか?
A: いいえ、違います。Sunoの利用規約には最初から明記されており、「所有権」ではなく「商用利用権」を付与すると説明しています。SpotifyやNetflixと同じように、「使う権利」を購入するサービスモデルなんです。

Q: 自分で歌詞を書いた場合でも所有権はSunoにあるのですか?
A: 歌詞部分については、あなたが著作権を持ちます。ただし、メロディ・楽器演奏などのAI生成部分についてはSunoが所有者です。つまり「楽曲全体の所有権」は複雑に分かれることになります。

Q: 2026年の新モデルなら著作権保護は保証されますか?
A: 残念ながら、それも保証されません。Sunoは「機械学習の性質上、出力に著作権が付与される保証はできない」と明記しています。ただし、ライセンスされたデータで訓練されるため、「権利侵害で訴えられるリスク」は大幅に減ります。

まとめ

Sunoの2026年規約変更の背景には、所有権・商用利用権・著作権という3つの権利の複雑な問題があります。

核心的な事実

  • 有料プランでも楽曲の所有者はSuno(あなたではない)
  • 付与されるのは「商用利用権」のみ
  • 著作権保護は保証されず、法的リスクは残る
  • 2026年の規約変更は、このリスクを減らす「守りの対策」

今すぐすべきこと

  • 自分の楽曲の権利状況を正確に理解する
  • 重要な楽曲は今のうちにダウンロード
  • 商用利用中の楽曲の法的リスクを再評価
  • 新ライセンスモデルの詳細発表を待つ

個人的には、この規約変更は「制限」ではなく「保護」だと考えます。曖昧な権利関係のまま無制限に配信できてしまう方が、長期的にはクリエイターにとって危険です。

Warner Musicとの歴史的な和解は、AI音楽生成が「グレーゾーン」から「適切にライセンスされた技術」へと進化する第一歩です。これは業界全体にとって、予想以上にポジティブな変化をもたらす可能性があります。

新しいルールのもとで、あなたも安心して音楽制作を楽しめる環境が、2026年には整っているはずです。

用語解説

所有権(Ownership): その物や作品を完全に自分のものとして扱える法的権利。売る・譲る・改変する・破棄するなど、すべてを自由に決められます。Sunoの場合、有料プランでも所有権そのものは譲渡されません。

商用利用権(Commercial Use Rights): その作品を使ってお金を稼ぐことが許される権利。Sunoの有料プランで付与されるのはこれです。ただし、作品の「持ち主」になるわけではありません。

著作権(Copyright): 創作的表現に対して法律で認められる保護。複製・配布・改変などを独占的にコントロールできる権利。AI生成音楽の場合、人間の創作的関与が少ないため、著作権が認められない場合があります。

ライセンス: 権利を持つ人や会社から、作品を使う「許可」をもらうこと。2026年以降のSunoは、Warner Musicから正式なライセンスを得た音楽データで訓練される予定です。

オプトイン: 「選択制」の意味。Warner Musicのアーティストが「自分の声や曲をAI学習に使ってもいいですよ」と自ら選択できる仕組みです。

フェアユース(公正使用): 著作権のある作品を、特定の条件下で許可なく使える例外規定。Sunoは当初これを主張していましたが、Warner Musicとの和解で事実上撤回しました。


免責事項: 本記事の情報は2026年1月4日時点のものです。Sunoの利用規約や権利関係は変更される可能性があるため、実際に利用される際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。特に著作権や所有権に関する判断は地域によって異なるため、重要な商用利用の前には法律専門家にご相談ください。AI技術と音楽業界の状況は急速に変化しているため、規約内容や実施時期は予告なく変更される場合があります。


Citations:
[1] Suno公式ブログ「A new chapter in music creation」https://suno.com/blog/wmg-partnership
[2] Warner Music Group公式発表 https://www.wmg.com/news/warner-music-group-and-suno-forge-groundbreaking-partnership
[3] Suno公式ヘルプ「Does Suno own the music I make?」https://help.suno.com/en/articles/2416769
[4] Suno公式ヘルプ「What rights do I have with a paid subscription?」https://help.suno.com/en/articles/9601665
[5] Suno公式ヘルプ「Rights & Ownership」https://help.suno.com/en/categories/550145
[6] Suno利用規約(2024年11月6日更新)https://suno.com/terms-of-service

KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。

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