Feb 16 2026
OpenClaw創設者がOpenAIに参加、プロジェクトはファウンデーションへ移行
📖 この記事で分かること
- OpenClawの創設者Peter SteinbergerがOpenAIに入社した
- OpenClawはファウンデーションとしてオープンソースを維持する
- Sam AltmanはSteinbergerに「次世代パーソナルエージェント」の開発を託した
- MetaやMicrosoftも買収を打診していた背景がある
💡 知っておきたい用語
- ファウンデーション(Foundation):特定の企業に属さず、コミュニティ主導でソフトウェアを開発・管理する非営利の組織形態のこと。LinuxやFirefoxの運営でも使われている仕組みです。
最終更新日: 2026年02月16日
OpenClaw創設者がOpenAIへ――何が起きたのか
オーストリアの開発者Peter Steinbergerが、自ら生み出したオープンソースAIエージェント「OpenClaw」の創設者としての立場を離れ、OpenAIに入社しました。OpenAI CEOのSam Altmanは2026年2月15日(現地時間)にXへの投稿でこの人事を発表し、Steinbergerが社内で「次世代のパーソナルエージェント」開発を推進する役割を担うことを明らかにしています。
同時にAltmanは、OpenClawについて「OpenAIが引き続きサポートするオープンソースプロジェクトとして、ファウンデーション内で存続する」と説明しました。Steinberger自身も同日公開したブログで、OpenAIへの参加を正式に表明しています。
Steinbergerはブログの中で、OpenClawを巨大企業に育てる選択肢もあったとしながらも、「大きな会社を作ることには興味がない。世界を変えたい」という思いでOpenAIとの合流を選んだと述べています。
OpenClawとは何か――急成長の背景
OpenClaw(旧称Clawdbot、Moltbot)は、2025年11月にSteinbergerが個人プロジェクトとして公開したオープンソースの自律型AIエージェントです。メッセージングプラットフォーム上で動作し、メールの管理やフライトのチェックイン、カレンダーの調整など、日常的なタスクを自動処理できることが特徴です。
2026年1月下旬にAIエージェント同士のSNS「Moltbook」の話題性と合わせて爆発的に注目を集め、GitHubのスター数は18万を超えるまでに成長しました。プロジェクト名は当初「Clawdbot」でしたが、AnthropicのChatbot「Claude」との類似性に関する商標上の指摘を受けて「Moltbot」に、さらにSteinberger自身の判断で「OpenClaw」に改名された経緯があります。
なお、OpenClawはその広範なアクセス権限に対し、セキュリティ研究者や技術メディアから懸念の声も上がっています。Ciscoのセキュリティ研究チームが、サードパーティ製のOpenClawスキルにデータ持ち出しやプロンプトインジェクション【注入攻撃】のリスクがあることを報告しており、安全性の課題も指摘されています。
MetaやMicrosoftも買収を打診――OpenAIを選んだ理由
Steinbergerによれば、MetaのMark ZuckerbergやMicrosoftのSatya Nadellaからも直接連絡があり、買収に向けた具体的な提案を受けていたとのことです。Altmanからの提案にはCerebrasとの提携に関連する計算リソースの提供も含まれていたと報じられています。
最終的にOpenAIを選んだ理由について、Steinbergerは「最先端のモデルと研究へのアクセスがあり、ビジョンを共有できる場所だった」と説明しています。一方で、OpenClawが特定の企業のものになることには一貫して否定的で、ファウンデーション化によってプロジェクトの独立性とオープンソースの性質を維持する方針を明確にしています。
なお、OpenClawは現在月額1万〜2万ドルの赤字を出しており、スポンサー収入はすべて依存ライブラリに回しているとSteinbergerは語っています。OpenAIはすでにプロジェクトのスポンサーとなっており、ファウンデーション設立に向けた支援体制も整いつつあるようです。
今後の注目点
OpenClawのファウンデーション化がどのような形で実現するかが、当面の最大の焦点です。Steinbergerはファウンデーションについて「より多くのモデルや企業をサポートする場にしたい」と述べており、特定のAIプロバイダーに依存しない方向性を示唆しています。
もう一つの注目点は、SteinbergerがOpenAI内部で取り組む「パーソナルエージェント」の具体像です。本人は「母親でも使えるエージェントを作りたい」と述べており、技術者以外の一般ユーザーへの普及を強く意識していることがうかがえます。
ただし、OpenClawのセキュリティに関する課題は依然として残っています。エージェントが広範な権限でメールやカレンダーにアクセスする設計である以上、ファウンデーション化後のスキル審査体制やセキュリティガバナンスがどう整備されるかは、今後の信頼性を左右する重要なポイントになるでしょう。
よくある質問
Q: OpenClawは今後も無料で使えますか?
A: はい。Steinbergerは一貫してオープンソースの維持を表明しており、ファウンデーションに移行しても無料かつオープンソースであり続ける方針です。OpenAIもオープンソースプロジェクトとしてのサポート継続を明言しています。
Q: OpenClawはOpenAIの製品になるのですか?
A: いいえ。OpenClawはOpenAIの製品ではなく、独立したファウンデーションが運営するオープンソースプロジェクトとして存続します。OpenAIはスポンサーとして支援を行いますが、プロジェクトの所有権を持つわけではありません。OpenClawは引き続きClaude、DeepSeek、GPTなど複数のLLMに対応する方針です。
Q: Peter SteinbergerはOpenAIで何をするのですか?
A: Sam Altmanの発表によれば、Steinbergerは「次世代のパーソナルエージェント」の開発を担当します。Steinberger自身は「誰でも使えるエージェントの実現」を目標に掲げています。
まとめ
OpenClawの創設者Peter SteinbergerがOpenAIに参加し、プロジェクトはファウンデーションとしてオープンソースを維持する形で存続することが発表されました。MetaやMicrosoftからの買収提案もあった中でOpenAIを選んだ背景には、最先端の研究環境とビジョンの共有があったとSteinbergerは説明しています。急成長を遂げたオープンソースAIエージェントが、大手AI企業の支援を受けながらも独立性を保てるかどうか。ファウンデーションの具体的な設計と、セキュリティ面の整備が今後の鍵となりそうです。
【用語解説】
- AIエージェント: ユーザーの代わりに自律的にタスクを実行するAIソフトウェアのこと。従来のチャットボットが質問に答えるだけなのに対し、メール送信や予約手続きなどの実際の操作まで行える点が特徴です。
- オープンソース: ソフトウェアのソースコード(設計図にあたるもの)を誰でも自由に閲覧・利用・改変できる開発手法のこと。透明性が高く、世界中の開発者が協力して改善できるメリットがあります。
- プロンプトインジェクション: AIに対して悪意のある命令を紛れ込ませ、本来の動作とは異なる行動をさせるサイバー攻撃手法のこと。AIエージェントが外部データを処理する際に特にリスクが高まります。
免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。
引用元:
- [1] Peter Steinberger公式ブログ – https://steipete.me/posts/2026/openclaw
- [2] TechCrunch – https://techcrunch.com/2026/02/15/openclaw-creator-peter-steinberger-joins-openai/
- [3] Reuters(U.S. News掲載) – https://money.usnews.com/investing/news/articles/2026-02-15/openclaw-founder-steinberger-joins-openai-open-source-bot-becomes-foundation
- [4] Decrypt – https://decrypt.co/358129/openclaw-creator-offers-acquire-ai-sensation-stay-open-source
- [5] Wikipedia(OpenClaw) – https://en.wikipedia.org/wiki/OpenClaw
15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。
技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。
また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。