Gemini 3.8 TTS は、Google が2026年9月23日に公開した音声読み上げモデルで、声を一覧から選ぶだけでなく文章のプロンプトから設計できるようになりました。
📖 この記事で分かること
- 声を文章のプロンプトから設計できるようになった点
- 声の複製に必要な同意録音と、提供除外の地域
- Flash と Flash-Lite の役割分担と料金の差
- 12月31日で切り替わる導入価格の期限
💡 知っておきたい用語
- TTS: 文章を読み上げ音声に変換する技術。カーナビの案内音声が身近な例です。
- ボイスエージェント: 電話やアプリで人と話して用件を処理する音声の担当者役。
- 電子透かし: 音声そのものに埋め込む、聞いても分からない出所の印。
最終更新日: 2026年9月24日
▶ 公式ページ
- Gemini 3.8 TTS モデル発表(Google)
- Gemini API 料金表(Google for Developers)

Gemini 3.8 TTS で何が変わったのか
この記事のポイント
- Google が2026年9月23日、Gemini 3.8 Flash TTS と Flash-Lite TTS を公開しました(2026年9月時点)。
- 声は一覧から選ぶだけでなく、文章のプロンプトから設計できます。既成の声も2,000超に拡大しました。
- 開発者は Gemini API と Google AI Studio で即日利用可能。料金は2026年12月31日までが導入価格です。
Google は9月23日、テキスト読み上げ(TTS【ティーティーエス】)モデルの Gemini 3.8 Flash TTS と Gemini 3.8 Flash-Lite TTS を公開しました(2026年9月時点)。同日から Gemini API と Google AI Studio でロールアウトが始まっています。Google は、これまでで最も表現力の高い音声モデルだと位置づけています。
中心にあるのは、声の決め方そのものの変更です。これまでの読み上げは、用意された声の一覧から近いものを選ぶ作業でした。今回は、どんな声かを文章で書くと、その条件に合う声が作られます。あわせて、そのまま制作に使える既成の声が従来の30種から2,000超へ増えました。選ぶ側の選択肢を増やしただけでなく、選ぶという工程自体を設計に置き換えた形です。
仕様の要点は言語・複製・来歴の3点
業務で使うかどうかを分けるのは、表現力よりも対応範囲と取り扱いの条件です。公開された仕様のうち、判断に効くのは次の3点です。
言語と方言: 100以上の言語・方言に対応します。単に言語数が多いだけでなく、メキシコ・スペイン語、ケベック・フランス語、スコットランド英語といった地域バリエーションを含みます。地域向けの吹き替えや案内音声で、話者の出身地まで合わせられます。
声の複製: 30秒の音声サンプルがあれば、その声を再現できます。ただし条件があり、声の持ち主本人による口頭の同意録音を提出し、それが参照話者と一致することが求められます。さらに、声の複製はイリノイ州、テキサス州、EEA、英国、スイス、インドでは提供されません。生体情報や肖像に関する規制が厳しい地域が外されている形です。
来歴の表示: 生成された音声にはすべてSynthID の電子透かしが埋め込まれます。声の複製については C2PA のクレデンシャルにも対応します。後から「この音声は生成されたものか」を機械的に確かめる手段が、既定で付いてくることになります。
演出面では、2人の掛け合い会話をディレクションでき、行単位で間やトーンを指示できます。<laughs>(笑い)や |mhm|(相づち)のような非言語のキューも差し込めます。Google は、数時間規模の音声を途切れなく一貫して生成できるとしています。自社発表のベンチマークでは、Hume AI Voice Design Benchmark で1位(スコア71.4)、Hume AI Overall Quality Index では Flash・Flash-Lite の両モデルがトップスコア、Voice Arena では複数言語で首位としています。
2モデルの使い分けと料金
2つのモデルは性能の上下ではなく、用途で分かれています。Flash TTS は深い演出とキャラクター設計向けで、ゲーム、没入型のオーディオブック、ポッドキャスト、インタラクティブメディアが想定されています。Flash-Lite TTS は大量処理とコスト効率が軸で、吹き替え、音声コンテンツ制作、ボイスエージェント向けです。
料金は100万トークンあたりで、2026年12月31日までが導入価格、2027年1月1日に倍額へ切り替わります(2026年9月時点)。
| モデル / 区分 | テキスト入力 | 音声出力 |
|---|---|---|
| Flash TTS(標準) | $0.50 → $1.00 | $9.00 → $18.00 |
| Flash TTS(バッチ) | $0.25 → $0.50 | $4.50 → $9.00 |
| Flash-Lite TTS(標準) | $0.50 → $1.00 | $6.00 → $12.00 |
| Flash-Lite TTS(バッチ) | $0.25 → $0.50 | $3.00 → $6.00 |
矢印の右側が2027年1月1日以降の価格です。音声出力で見ると Flash-Lite は Flash の3分の2で、バッチを使えばさらに半額になります。大量の吹き替えやナレーションを回す用途では、モデル選択とバッチ利用の組み合わせで単価が4倍近く変わる計算です。
提供先は段階的です。開発者向けの Gemini API と Google AI Studio は提供開始済み、企業向けは Gemini Enterprise の API 経由で近日提供とされています。一般ユーザー向けには、Flash TTS が Gemini Notebook、Flash-Lite TTS が Google Vids に入ります。
業務で効いてくる場面
効果が出やすいのは、これまで声の調達が制約になっていた工程です。多言語のマニュアル音声や製品紹介ナレーションは、言語ごとに話者を手配する必要がなく、方言レベルまで指定できます。社内研修の音声化も、原稿から直接作れます。
ボイスエージェントでは、Flash-Lite のコストと行単位の指示が噛み合います。問い合わせ応答で相づちや間を制御できると、機械的な読み上げ特有の聞き取りづらさが減ります。一方、声の複製を使う場合は、同意録音の取得と保管が運用の前提になります。話者との契約や記録の保存期間まで含めて設計しないと、技術的には使えても組織として使えない状態になります。
編集部の見方
編集部は、今回の更新で本命になるのは表現力の向上ではなく、声の複製に同意録音を必須化し、SynthID と C2PA を既定で載せたことだと見ています。表現力は各社が競って上げている領域ですが、業務導入で止まる理由はたいてい法務側にあるためです。
- 根拠1: 声の複製に、本人の口頭同意録音と参照話者との一致確認が求められます。運用ルールを自前で設計しなくても、提供側の手続きがそのまま記録になります。
- 根拠2: イリノイ州、テキサス州、EEA、英国、スイス、インドで複製機能自体が提供されません。使える地域と使えない地域の線引きが提供側で引かれており、社内での可否判断が単純化されます。
- 根拠3: 生成音声すべてに SynthID が入り、複製には C2PA が付きます。後から出所を確かめる手段が標準で残るため、第三者への説明が成り立ちます。
この見方が変わる条件は、料金です。導入価格は2026年12月31日までで、2027年1月1日に倍額になります。検証を年内に回して単価の見通しを立てられるかどうかで、来年の採用判断は分かれます。倍額後の水準で競合が同等の来歴対応を安く出した場合、優位性は価格側へ移ります。
よくある質問
Q: 声の複製は誰でも使えますか
A: いいえ。30秒の音声サンプルに加えて、声の持ち主本人による口頭の同意録音が必要で、それが参照話者と一致することが条件です。加えて、イリノイ州、テキサス州、EEA、英国、スイス、インドでは複製機能が提供されません。
Q: Flash と Flash-Lite はどちらを選べばよいですか
A: 演出やキャラクター表現を作り込む用途なら Flash TTS、吹き替えやボイスエージェントのように量とコストが効く用途なら Flash-Lite TTS が想定されています。音声出力の単価は Flash-Lite のほうが低く設定されています(2026年9月時点)。
Q: 生成した音声が AI 製だと分かる仕組みはありますか
A: 生成音声には SynthID の電子透かしが埋め込まれます。声の複製については C2PA のクレデンシャルにも対応します。
まとめ
Google は2026年9月23日、Gemini 3.8 Flash TTS と Gemini 3.8 Flash-Lite TTS を公開しました。声を一覧から選ぶ方式に加えて文章から設計できるようになり、既成の声は2,000超、対応言語は100以上に広がっています。声の複製には本人の同意録音が必須で、提供されない地域もあります。開発者は Gemini API と Google AI Studio で試せますが、料金は2026年12月31日までが導入価格で、2027年1月1日に倍額へ切り替わります。
【用語解説】
- Gemini 3.8 Flash TTS: 演出やキャラクター設計を重視した読み上げモデル。ゲームやオーディオブックが想定用途です。
- SynthID: Google が生成コンテンツに埋め込む電子透かし。聞いても分からない形で出所の情報を残します。
- C2PA: コンテンツの来歴を記録する業界仕様。誰がいつ作ったかを検証可能な形で付与します。
引用元:
- [1] Gemini 3.8 Flash TTS と Gemini 3.8 Flash-Lite TTS の発表(Google)
- [2] Gemini API 料金表(Google for Developers)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。