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Mar 09 2026 AIニュース

ChatGPTの「アダルトモード」が再延期——OpenAIが優先課題を明かす

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📖 この記事で分かること

  • アダルトモードの延期が2回目であること
  • OpenAIが延期理由として挙げた具体的な優先項目
  • 年齢確認技術(エイジプレディクション)の現状
  • 今後の提供時期に関する見通し

💡 知っておきたい用語

  • エイジゲーティング:年齢確認によって特定コンテンツへのアクセスを制限する仕組み。未成年を有害コンテンツから保護するために使われ、身分証明書や顔認証などで年齢を検証する。

最終更新日: 2026年03月09日

アダルトモードとは何か

ChatGPTの「アダルトモード(Adult Mode)」は、年齢確認を済ませた成人ユーザーに限り、エロティカ(官能的コンテンツ)などの成人向け素材を利用できるようにするオプトイン機能です。OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏が2025年10月に「成人ユーザーを成人として扱う」という方針のもと発表し、同年12月のリリースを予告していました。

2度目の延期——公式の理由

OpenAIは現時点で再びリリースを先送りにしました。同社の広報担当者がAxiosに対して述べたところによると、理由は「現在より多くのユーザーにとって優先度の高い作業に集中するため」とのことです。具体的には、AIの推論精度の向上、パーソナリティの改善、パーソナライズ機能の拡充、そして「より先回りした提案ができるChatGPT」の実現が優先課題として挙げられています。

同担当者はさらに「成人を成人として扱うという原則は変わらない。ただし、体験をきちんと整えるにはもう少し時間が必要だ」とも述べています。新たなリリース時期については現時点で公表されていません。

1回目の延期はいつ起きたか

最初の延期は2025年12月に発生しました。アルトマン氏が社内向けに「コードレッド(緊急優先対応)」を宣言し、チームをChatGPTのコア体験の強化に集中させたためです。これにより当初の「2025年12月リリース」は「2026年第1四半期」へと引き延ばされていました。今回の発表で、その第1四半期の目標も達成されないことが確認されました。

年齢確認技術の整備状況

アダルトモードの前提となる年齢確認インフラは着実に整備されています。OpenAIは2026年1月20日、「エイジプレディクション(年齢推定)」機能をChatGPTのコンシューマー向けプランで展開開始したと公式ブログで発表しました。

このシステムは、アカウントの作成からの経過日数、1日のうちの利用時間帯、長期的な利用パターン、ユーザーが登録時に申告した年齢といった複数の行動シグナルを組み合わせ、そのアカウントが18歳未満である可能性を推定するものです。未成年と判定されたアカウントには、自傷行為の描写やロマンティックなロールプレイ、性的なコンテンツなどを制限する追加の安全設定が自動で適用されます。

誤って未成年扱いされた成人ユーザーには、身元確認サービス「Persona(パーソナ)」を通じて政府発行IDとセルフィーによる年齢確認が用意されており、確認後は通常の体験に復帰できます。なお、EU圏への展開については地域ごとの規制要件への対応のため、段階的に進める方針です。

規制・法的背景

今回の延期には、外部からの規制圧力も影響していると考えられます。米国の連邦取引委員会(FTC)は、AIプラットフォームが子どもや未成年者に与える影響についての調査を進めており、OpenAIも対象に含まれています。また、複数の保護者からChatGPTが未成年者のメンタルヘルスに悪影響を与えたとする民事訴訟も提起されています。

こうした状況のもと、アダルトコンテンツ機能を拙速に公開することは、規制当局や社会からの批判を招くリスクがあり、年齢確認の精度をより高めてから提供を開始するという判断は合理的と見られています。

今後の注目点

  • リリース時期の再設定:OpenAIは現時点で新たな目標時期を示していません。年齢推定モデルの精度向上とコアAI体験の改善が一定水準に達した段階で、改めてロードマップが公表される見込みです。
  • 競合との差異:xAIのGrokはすでに成人向けコンテンツへのアクセスを提供しています。ただし過去には未同意の人物を描写する不適切な画像生成をめぐる問題も起きており、OpenAIの慎重な姿勢との対比が鮮明になっています。
  • EU規制への対応:EUではデジタルサービス法などを背景に年齢確認要件が厳格化されており、グローバル展開においても地域ごとのコンプライアンス対応が課題となります。

よくある質問

Q: アダルトモードはいつ提供されますか?

A: 現時点でOpenAIは新たなリリース時期を公表していません。「原則は変わらないが、体験を整えるにはもう少し時間が必要」と述べるにとどまっています。

Q: 年齢確認はどのような仕組みですか?

A: OpenAIは2026年1月より、行動パターンやアカウント情報から年齢を推定する「エイジプレディクション」を展開中です。誤判定を受けた成人は、身元確認サービスPersonaを通じて政府発行IDとセルフィーで年齢確認を行い、通常の利用を回復できます。

Q: 他のAIサービスではアダルトコンテンツを利用できますか?

A: xAIのGrokはすでに成人向けコンテンツを提供していますが、過去に未同意の人物を描写した不適切な画像生成が問題になったことがあります。OpenAIはそうした事例も踏まえ、安全な形での提供を優先しています。


まとめ

OpenAIはChatGPTの「アダルトモード」を再び延期しました。公式の理由は、より多くのユーザーに影響するAIの推論精度・パーソナリティ・プロアクティブ機能の改善への集中です。年齢確認インフラ(エイジプレディクション)の整備は進んでいるものの、規制環境や技術的な安全性確保の観点から慎重な姿勢を維持しています。新たなリリース時期は未定であり、今後の公式発表が注目されます。


【用語解説】

  • アダルトモード: ChatGPTにおいて、年齢確認を済ませた成人ユーザーのみがエロティカを含む成人向けコンテンツにアクセスできるようにするオプトイン機能。
  • エイジプレディクション: ユーザーのアカウント利用パターンや行動シグナルから18歳未満かどうかを推定するAIモデル。OpenAIが2026年1月に展開を開始した。
  • Persona(ペルソナ): OpenAIが年齢確認に採用している第三者の身元確認サービス。政府発行IDとセルフィーを組み合わせて年齢を検証し、確認後はデータを削除する。

免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものです。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。


引用元:

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KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。