📖 この記事で分かること
・米国防総省がイーロン・マスク氏のxAI製Grokを正式採用
・今月後半から機密・非機密の全ネットワークで利用可能に
・AI加速戦略の一環として7つの重点プロジェクトを発表
・軍事分野でのAI活用が新たな段階へ
💡 知っておきたい用語
・Grok【グロック】:イーロン・マスク氏が創業したxAI社が開発する生成AI。ChatGPTのようにテキストでの対話ができる人工知能システムで、今回米軍が正式採用を決定しました。
最終更新日:2026年1月15日
米国防総省に大きな動きがありました。Pete Hegseth国防長官が2026年1月12日、テキサス州のSpaceX本社で、イーロン・マスク氏のxAIが開発するAIチャットボット「Grok」を国防総省のシステムに統合すると正式発表しました。
なお、米国防総省は2025年9月以降、Department of War(戦争省)という第二の正式名称も使用しており、公式サイトもwar.govで運営されています。本記事では「国防総省」と表記します。
何が発表されたのか?
Hegseth長官は、Grokが次のフロンティアAIモデル企業としてGenAI.milに参加することを発表しました。GenAI.milは、国防総省が運用する生成AI統合プラットフォームです。
発表の重要ポイントは以下の通りです:
- 今月後半から稼働開始:Grokが国防総省内で利用可能になります
- 機密・非機密の全ネットワークに配備:Hegseth長官は「近いうちに、世界をリードするAIモデルを、当省のすべての非機密および機密ネットワークに配備する」と述べています
- GenAI.milへの統合:Google Geminiに続く形で、新たなAIモデルとして追加されます
- AI加速戦略の発表:国防総省全体でAI技術の採用を加速する包括的な戦略が同時に発表されました
実に興味深いのは、この発表が国防総省の「AI加速戦略」という大きな方針の一環として行われた点です。これは、軍事分野におけるAI活用が新たな段階に入ったことを示しています。
機密ネットワークへの配備が意味すること
注目すべき点は、Grokが機密ネットワークにも配備されることです。これは、国家の機密情報を扱うシステムにAIが組み込まれることを意味します。
Hegseth長官の公式発言によれば、「世界をリードするAIモデル」が、情報レベル5(IL-5)以上の機密レベルを含むすべてのネットワークで利用可能になります。
正直なところ、機密レベルでのAI活用がどこまで進むかは未知数ですが、国防総省がここまで踏み込んだ決定を下したことは、想像以上に大胆な戦略転換と言えます。
GenAI.milプラットフォームとは?
GenAI.milは、米国防総省が複数の生成AIモデルを統合管理するためのプラットフォームです。公式発表によれば、このプラットフォームはGoogle GeminiとxAIのGrokという「フロンティア生成AIモデル」へのアクセスを、国防総省の全職員に提供します。
今回のGrok追加により、国防総省の担当者は複数のAIツールを使い分けることができるようになります。このプラットフォームを通じて、実際の軍事業務や分析作業にAI技術を活用していく計画です。
AI加速戦略の7つの重点プロジェクト
Hegseth長官が同時に発表した「AI加速戦略」には、7つの重点プロジェクト(Pace-Setting Projects)が含まれています:
戦闘関連プロジェクト:
- Swarm Forge:AI支援による作戦立案
- Agent Network:戦闘システムへのAI統合
- Ender’s Foundry:AIを活用したシミュレーション能力
情報関連プロジェクト:
- Open Arsenal:情報を迅速に兵器開発に活用
- Project Grant:動的な態勢計画
企業運営関連プロジェクト:
- GenAI.mil:フロンティアAIモデルへの部門全体アクセス
- Enterprise Agents:AIエージェントの迅速な開発・展開
これらのプロジェクトは、実験の促進、官僚的障壁の排除、投資の集中を目指しています。Hegseth長官は「我々が軍事AIでリードするために必要な実行アプローチを示す」と述べました。
複数AI企業との連携戦略
注目すべき点は、国防総省が特定の技術に依存せず、複数のAI企業と連携する姿勢です。GenAI.milにはGoogleとxAIの両方が参加しており、柔軟な戦略が見て取れます。
個人的には、この「複数モデル併用」のアプローチは理にかなっていると感じます。それぞれのAIには得意分野があり、用途に応じて最適なツールを選択できる環境を整えることが重要だからです。
今後の展開
今月後半にGrokが稼働を開始することで、米軍のAI活用がどのように進化するか注目されます。公式発表では具体的な活用方法までは明らかにされていませんが、7つの重点プロジェクトが示す通り、作戦立案から情報分析、企業運営まで幅広い分野での活用が予定されています。
この動きが世界各国の防衛AI戦略にどう影響するか、注目しています。日本を含む同盟国も、AI技術の軍事活用について本格的に検討を進める必要が出てくるでしょう。
まとめ
米国防総省によるGrokの正式採用は、AI技術が国防分野で本格的に活用される重要な一歩です。2026年1月12日に発表されたこの決定により、今月後半から機密・非機密の全ネットワークでGrokが利用可能になります。
この発表は、国防総省のAI加速戦略の一環として行われており、7つの重点プロジェクトを通じて、作戦立案から情報分析、企業運営まで幅広い分野でAIが活用される計画です。複数のAI企業と連携する柔軟な戦略も特徴的です。
世界的なAI競争の新たな局面として、今後の展開から目が離せません。
よくある質問
Q: Grokとはどのようなものですか?
A: Grokは、イーロン・マスク氏が創業したxAI社が開発する生成AIチャットボットです。ChatGPTやGeminiと同様に、テキストでの対話や情報提供ができます。今回、米国防総省のGenAI.milプラットフォームに統合されることが発表されました。
Q: GenAI.milとは何ですか?
A: GenAI.milは、米国防総省が運用する生成AI統合プラットフォームです。複数のAIモデル(Google GeminiとxAIのGrok)を一元管理し、国防業務に活用するためのシステムです。情報レベル5(IL-5)以上の機密レベルにも対応しています。
Q: いつから使えるようになりますか?
A: Pete Hegseth国防長官の公式発表によると、今月後半(1月後半)から国防総省内で利用可能になる予定です。機密・非機密の両方のネットワークに配備されます。
Q: AI加速戦略とは何ですか?
A: 国防総省が2026年1月12日に発表した、AI技術の導入を加速するための包括的な戦略です。7つの重点プロジェクトを通じて、実験の促進、官僚的障壁の排除、投資の集中を目指しています。作戦立案、情報分析、企業運営など幅広い分野でAIを活用する計画です。
【用語解説】
- Grok【グロック】:xAI社が開発する生成AIチャットボット。ユーザーとの自然な対話を通じて情報提供や質問応答を行う
- GenAI.mil【ジェンエーアイ・ミル】:米国防総省が運用する生成AI統合プラットフォーム。複数のAIモデルを一元管理し、軍事・防衛業務に活用する
- xAI【エックスエーアイ】:イーロン・マスク氏が2023年に創業した人工知能スタートアップ企業。Grokの開発元
- AI加速戦略:米国防総省が推進する、AI技術の迅速な導入と軍事システムへの統合を目指す戦略。7つの重点プロジェクトを含む
- 情報レベル5(IL-5):米国防総省の機密情報分類レベル。機密情報を扱うシステムのセキュリティ基準
免責事項:本記事の情報は執筆時点(2026年1月15日)のものです。必ず最新情報をご確認ください。AI技術は急速に進歩しているため、機能や政策は予告なく変更される場合があります。
Citations:
[1] https://www.war.gov/News/Transcripts/Transcript/Article/4377190/remarks-by-secretary-of-war-pete-hegseth-at-spacex/
[2] https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4376420/war-department-launches-ai-acceleration-strategy-to-secure-american-military-ai/
