📖 この記事で分かること
- Clover-35B-A3B-Preview の構成(MoE 350 億 / 活性 30 億)とライセンス
- SWE-bench Verified 73.6 など DiffuSpace が公称するスコア
- H200 1 枚で 515 tokens/s、INT4 で RTX 5070 Ti 動作という公称の推論条件
- ハーネスやデスクトップクライアントが「開発中」である点
💡 知っておきたい用語
- 拡散言語モデル:左から右へ 1 トークンずつ出す自己回帰方式ではなく、複数トークンをまとめて段階的に確定していく生成方式。画像生成の拡散モデルの考え方を文章生成に持ち込んだもの
- SWE-bench Verified:実在の GitHub Issue を修正できるかを測るコーディング評価。人手で検証済みの問題だけを集めた版
最終更新日: 2026年11月1日
▶ 公式ページ
- Clover-35B-A3B-Preview 公開ブログ(Hugging Face)
- DiffuSpace 公式ブログ(ベンチマーク・推論条件)(DiffuSpace)

Clover-35B-A3B-Preview の公開とは
この記事のポイント
- DiffuSpace が 2026 年 10 月 30 日、拡散言語モデル Clover-35B-A3B-Preview を Apache ライセンスで公開(2026年11月時点)。
- MoE 構成で総パラメータ 350 億・活性 30 億。SWE-bench Verified 73.6 を公称。
- SGLang と llama.cpp で推論可能。H200 1 枚で 515 tokens/s、INT4 で VRAM 16GB の GPU でも動作させたと説明。
自己回帰ではない拡散方式の言語モデルが、Apache ライセンスのオープンウェイトとして取得できるようになりました。コーディングエージェントの基盤モデルを自前のサーバで動かしているチームは、SGLang か llama.cpp の既存環境に重みを載せ替えるだけで、拡散方式の生成速度を自分のタスクで測れます。
公開したのは DiffuSpace です。同社は 10 月 30 日、Clover-35B-A3B-Preview を「DiffuSpace Clover(三叶)の最初の版」として正式公開したと述べています。モデルの重みとコードは Hugging Face と GitHub から取得できるとしています。
仕様と公称スコア
Clover-35B-A3B-Preview は Mixture-of-Experts 型の拡散言語モデルで、総パラメータは 350 億、推論時に活性化するのは 30 億です。活性パラメータが小さいため、推論コストは 3B 級に寄ります。
DiffuSpace が公称するスコアは次のとおりです(2026年11月時点)。
| 評価 | 公称スコア |
|---|---|
| SWE-bench Verified | 73.6 |
| Terminal-Bench 2.1 | 51.7 |
| τ³ Overall | 65.3 |
生成速度についても同社は数値を出しています。内部のエージェント処理では全体で 680 tokens/s、NVIDIA H200 1 枚ではエージェントタスクで 515 tokens/s に到達するとしています。いずれも DiffuSpace 自身の公称値で、計測条件はエージェント処理という前提です。
ライセンスは Apache で、同社は「オープンソースとして公開」と明記しています。商用利用やモデルの改変を自社の法務に通す場面で、ライセンス条件の確認は Apache の一般条項を見れば足ります。
推論環境と動作条件
推論は SGLang と llama.cpp に対応しています。vLLM など他のサーバについては、今回の 2 本のブログの記載からは分かりません。
DiffuSpace は、INT4 量子化を施した Clover を VRAM 16GB の NVIDIA RTX 5070 Ti に載せて動作させたと説明しています。活性 30 億の MoE を INT4 に落とせば、総パラメータ 350 億でも 16GB に収まるという実例です。ただし H200 の 515 tokens/s とは別の構成で、この量子化版での生成速度は同社の説明に含まれていません。
一方で、同社がモデルと一緒に出すとしている周辺ツールはまだ揃っていません。エージェント用のハーネスとデスクトップクライアントは「現在開発中で、近く順次提供」とされ、意思決定モデルは「後日公開」とされています。現時点で動かせるのはモデル本体と、SGLang / llama.cpp 側の推論だけです。
開発・運用への影響
コーディングエージェントの運用で効くのは、応答の速さと GPU 台数です。拡散方式は複数トークンを並列に確定するため、自己回帰モデルより高いスループットが見込める方式として研究が進んできました。Clover-35B-A3B-Preview はその方式を、SWE-bench Verified 73.6 というコーディング評価の水準で、しかも Apache ライセンスで出した点に意味があります。
たとえば、CI でテスト失敗の原因を特定して修正パッチを提案させるエージェントを社内 GPU で回しているチームは、現在使っている自己回帰モデルと同じハーネスのまま、推論サーバのモデルだけを差し替えて速度と修正成功率を比べられます。SGLang を既に使っていれば、サーバの入れ替えは要りません。
気をつける点は 3 つあります。第一に、これは Preview 版で、同社も「最初の版」と位置づけています。第二に、スコアと速度はすべて DiffuSpace の公称値で、自分のリポジトリとプロンプト長で測り直す必要があります。第三に、拡散方式のサンプリング設定は自己回帰モデルと異なるため、既存の temperature や stop 条件の調整は持ち越せない前提で評価したほうが安全です。
編集部の見方
編集部は、Clover-35B-A3B-Preview で評価する価値があるのは、ベンチマークのスコアより エージェントタスクでの生成速度と、小さい GPU で動く点 だと見ています。
- 根拠1: DiffuSpace は H200 1 枚で 515 tokens/s、内部処理で 680 tokens/s を公称しています。エージェントは 1 回の作業で何十回も生成を繰り返すため、1 回あたりの速さが作業全体の待ち時間を決めます。
- 根拠2: SGLang と llama.cpp に対応し、INT4 で 16GB の GPU に載せたと説明しています。Apache ライセンスと合わせると、本番と同じ環境で試す障壁が低く、公称値をそのまま信じる必要がありません。
- 根拠3: SWE-bench Verified 73.6 は、自己回帰の上位モデルと直接比較できる土俵に拡散方式が乗ったことを示す数値です。ただし Preview 版の公称値なので、採用の決め手ではなく評価に乗せる理由として見るのが妥当です。
この見方が変わる条件は、自分の環境で速度が公称値から大きく落ちた場合です。拡散方式の利点は並列デコードの速さにあるため、llama.cpp の INT4 構成などで自己回帰モデルと差が出なければ、残る判断材料はスコアとライセンスだけになります。
よくある質問
Q: Clover-35B-A3B-Preview はどこから入手できますか。
A: DiffuSpace は、モデルの重みと関連コードを Hugging Face と GitHub で公開しているとしています。公開ブログは Hugging Face 上にあります。
Q: どの推論エンジンで動きますか。
A: DiffuSpace は SGLang と llama.cpp での推論に対応すると説明しています。INT4 量子化で VRAM 16GB の RTX 5070 Ti に載せて動作させた例も示しています。
Q: 公称の 680 tokens/s はどの条件の数値ですか。
A: DiffuSpace の内部のエージェント処理における全体の値です。H200 1 枚でのエージェントタスクは 515 tokens/s と別に示されています。いずれも同社の公称値です。
まとめ
DiffuSpace は 2026 年 10 月 30 日、MoE 型の拡散言語モデル Clover-35B-A3B-Preview を Apache ライセンスで公開しました。総パラメータ 350 億・活性 30 億で、SWE-bench Verified 73.6 と H200 1 枚で 515 tokens/s を公称し、SGLang と llama.cpp で推論できます。ハーネスとデスクトップクライアントは開発中とされているため、現時点ではモデル本体を既存の推論環境に載せて速度と修正精度を測る段階です。
【用語解説】
- Terminal-Bench 2.1: ターミナル上で作業を完了させる能力を測るエージェント評価。コマンド実行を伴うタスクの達成率を見る。
- τ³ Overall: ツール呼び出しを伴う対話エージェントの評価系列の総合スコア。
- INT4 量子化: モデルの重みを 4 ビット整数で表現してメモリ消費を減らす手法。精度を一部犠牲にして小さい GPU に載せる。
引用元:
- [1] Clover-35B-A3B-Preview 公開ブログ(DiffuSpace / Hugging Face)
- [2] DiffuSpace 公式ブログ: Clover-35B(DiffuSpace)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
Previous Post
Claude Max 20xがUltraに改称。認証済みなら5時間ごとの利用上限がなくなる
Next Post
生成AIニュース 昨日【2026年11月2日(月)】のAI公式発表を3分でチェック
15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。