📖 この記事で分かること
- 店への連絡や予約を AI に任せられる新アプリ
- AI ごとに電話番号・メール・財布を持つ仕組み
- 招待制なら無料で試せる今の提供状況
- 任せる前に決めておきたい承認の範囲
💡 知っておきたい用語
- エージェント:目的を伝えると、進め方を自分で考えて作業する AI。頼まれた用事を片づけて結果を報告する秘書のような役回りです。
- ウォレット:エージェントが支払いに使う財布の機能。利用者が決めた予算の中でだけ使われます。
最終更新日: 2026年10月9日
▶ 公式ページ
- Cue を試す(Web 版)(Manus)
- Manus 2.0 と Cue の発表ブログ(日本語)(Manus 公式ブログ)
- Cue by Manus(Android 版)(Google Play)

Cue by Manus で何が変わるか
この記事のポイント
- AI エージェントを開発する Manus が 2026年9月28日、個人向けのアプリ「Cue」を Manus 2.0(2026年10月時点)と同時に公開しました。
- エージェントごとに専用のメールアドレス・電話番号・ウォレット・コンピューターを持ち、予算内の支払いや電話の応対も担います。
- 現在は招待制で、招待コードがあれば無料(2026年10月時点)。iOS 版は App Store の審査後に提供予定です。
店への問い合わせや予約、旅程づくりを自分でこなしている人は、その用事を AI に渡し、自分は結果を確かめて決めるだけにできるようになります。Manus が 9 月 28 日に公開した Cue by Manus です。エージェントは利用者のアカウントを借りずに、専用の電話番号やメールアドレス、予算内で払えるウォレットを持って、店や相手とやり取りします。いまは招待制で、招待コードがあれば無料で試せます。
Manus は Cue を、Manus と同じ基盤の上に作ったパーソナルエージェント向けの独立アプリと位置づけています。Web、デスクトップ、モバイルで使え、公式ブログは合図(キュー)を出せばすぐに作業を始めるアプリだと紹介しています。
Cue は同日に発表された Manus 2.0 の一部です。Manus 2.0 では、エージェントを動かす土台を新しい仕組み「Cascade」に入れ替えました。必要な機能だけをその都度読み込む作りです。Manus は、ある 1 つの構成で試したところ、従来より AI の処理量(トークン)が 23.2%、作業時間が 28.2%、実行コストが 32% 減ったとしています。ヘルプセンターは、この数字が全体の平均ではないと断っています。ほかに、デスクトップアプリの Manus Studio、PC を閉じても動き続ける Manus の Cloud Computer を使った常時稼働、メールや Slack の着信をきっかけに作業を自動で始める「Automations」なども加わりました。
Manus をめぐっては、Meta が 2025 年 12 月に買収計画を発表したものの、中国の国家発展改革委員会が 4 月にこれを阻止し、Manus は 8 月までに独立企業として運営を再開したと報じられています(中国による Meta の Manus 買収禁止)。Meta も個人向け AI アシスタント「Muse」を発表しており、Cue はその Muse と同じ領域に投入された製品です。
エージェントが自分の連絡先とウォレットを持つ仕組み
Cue の特徴は、エージェント 1 体ずつに「身元」を持たせる設計にあります。
公式ブログによると、各エージェントは独自のメールアドレス、電話番号、ウォレット、コンピューターを持ちます。メッセージの送信、利用者が決めた予算の範囲での支払い、自分のコンピューター上での作業ができ、かかってきた電話に代わりに出て、要約を Cue に残すこともできます。Google Play の説明では、これらは「利用可能な場合(Depending on availability)」に持たせられるものとされています。
エージェントには役割と必要な文脈を与えて使います。会話と記憶はエージェントごとに分かれており、好みや過去の判断、長期の目標を覚えておく「Memory」と「Dream」という機能によって、次に開いたときに続きから再開できると説明されています。
複数のエージェントをグループチャットに入れると、共通の目標に向けて作業を引き継ぎ合います。ヘルプセンターはマーケティングの例として、1 体が会場を調べ、1 体が候補を絞り、1 体が推薦資料を下書きする 3 体の構成を挙げています。利用者は方向を示し、最後の判断を下す立場です。
外部サービスとの連携は、利用者の許可を前提に、メール・カレンダー・メッセージ・旅行・健康・仕事の各サービスに対応します。Google Play の説明が挙げるのは Gmail、Slack、Notion、Trip、Oura、MyFitnessPal などです。決まった時刻、または特定の出来事をきっかけに動く自動化も作れます。
任せられる用事と、承認を挟む範囲
公式が挙げる用途は仕事よりも暮らしの雑務が中心で、どの行動に承認を挟むかは利用者が決めます。
Google Play の説明が挙げる主な用途は次のとおりです。
- 電話の発信と応対、メッセージの送信、会話の要約
- メールの送受信とフォローアップ、確定した予定のカレンダー登録
- 航空券・ホテル・飲食店の比較、旅程づくり、値下がりや空き枠の監視
- 予約、そして利用者の承認を得たうえでの注文や購入
たとえば出張の前なら、ホテルへのアーリーチェックインの問い合わせ、航空券の値下がりの監視、確定した便のカレンダー登録までを 1 体のエージェントに渡し、自分は結果と判断だけを受け取る、という任せ方が、公式の説明に挙がった用途から組み立てられます。
対応するカフェや飲食店では、店の QR コードを読み取るとその店用のエージェントが作られ、メニューの相談、席の予約、注文ができます。この場合も、支払いを確定するのは利用者です。
権限の範囲について、Google Play の説明では、エージェントごとに使えるアプリやツール、見られる情報、承認が必要な行動を利用者が選ぶとしています。自動化でも、何をきっかけに動くか、エージェントが何をしてよいか、どの行動に承認が要るかを利用者が決める作りです。
提供状況と、まだ分からないこと
Cue は現在、招待制のアーリーアクセス(正式公開前の先行提供)です。日本でどこまで使えるかは、確認した資料からは判断できません。
- Web、デスクトップ、Android で利用でき、iOS 版は App Store の審査後に提供予定とされています。
- アーリーアクセス中は、招待コードがあれば無料で使えます。公式ブログは始めるための招待コード「MEETCUE」を、数量限定・先着順として案内しています。利用を始めた人には、共有用の招待コードも配られます。
- Manus の利用者は、サイドバーの「Agents (Cue!)」タブにある QR コードからアプリを入手し、サインイン時にコードを入力します。招待コードがメールで届く場合もあるとヘルプセンターは説明しています。
一方、9 月 28 日の公式ブログと Google Play の説明には、アーリーアクセス後の料金や、提供される国・地域の記載がありません。電話番号やウォレットは「利用可能な場合」に持たせられるとされており、日本の電話番号が割り当てられるか、ウォレットへの入金をどう行うかは、これらの資料からは分かりません。エージェントが実際に送ったメールや支払いの履歴を、どこで確認し、書き出せるかも書かれていません。
この点について、米 InfoWorld の記事では Gartner と IDC のアナリストが、自律的に動くエージェントを「信頼しきれない自動化」として扱い、承認の関門、詳しい記録、狭く絞った権限を備えるよう助言しています。影響の大きい用途では、短い期間で使えなくなる限られたログイン情報を渡すことと、操作の記録をサービスの外にも残すことを勧めています。
編集部の見方
編集部は、Cue を今試すなら、取り消しの効く用事から始め、支払いと外部への連絡は承認必須にしておくのが妥当だと見ます。
- 根拠 1: 承認の範囲を利用者が決められる作りになっています。Google Play の説明では、エージェントごとに使えるアプリ、見られる情報、承認が必要な行動を選べるとされ、支払いは利用者が決めた予算内、QR コードからの注文でも支払いの確定は利用者です。
- 根拠 2: エージェントは自分名義の電話番号やメールで外部とやり取りするため、相手から見れば利用者の代理です。確認した資料には行動履歴の確認方法が書かれておらず、誤った予約や送信に後から気づく手段が分からない以上、取り消しにくい行動は承認を挟むのが安全です。
- 根拠 3: 試す費用はかかりません。アーリーアクセス中は招待コードがあれば無料で、Web・デスクトップ・Android から始められます。
旅行や出張の手配、店への問い合わせを自分でこなしている人にとっては、手間の大きい「比べる・問い合わせる・待つ」を渡せる点で、試す価値があると見ています。仕事用の Gmail や Slack をつなぐのは、勤務先のルールで外部の AI サービスへの接続が認められているかを確かめてからにしてください。
この見方が変わる条件は、エージェントの行動履歴の確認や取り消しの手段が公式に示されることです。あわせて日本の電話番号の扱いとアーリーアクセス後の料金が分かれば、仕事の連絡まで任せる範囲を広げる判断材料がそろいます。
よくある質問
Q: Cue by Manus は日本で使えますか?
A: 9 月 28 日の公式ブログと Google Play の説明には、提供される国・地域の記載がありません。電話番号やウォレットは「利用可能な場合」に持たせられるとされており、日本でどこまで使えるかは現時点の資料からは分かりません。
Q: 料金はかかりますか?
A: アーリーアクセス中は、招待コードがあれば無料で使えます。アーリーアクセス後の料金は、公式ブログに記載がありません。
Q: Manus 本体とは何が違いますか?
A: Manus 2.0 本体は、デスクトップアプリの Manus Studio で文書・スライド・動画・ゲームなどを作る作業場の性格が強い製品です。Cue は同じ基盤の上に作られた独立アプリで、専用の連絡先とウォレットを持つ複数のエージェントに、日々の用事を任せることに特化しています。
まとめ
Manus が 9 月 28 日に公開した Cue by Manus は、エージェントに専用の電話番号・メール・ウォレット・コンピューターを持たせ、通話、予約、予算内の支払いまでを代行させるアプリです。承認が必要な行動を利用者が選べる一方、行動履歴の確認方法や日本での提供範囲、アーリーアクセス後の料金は確認した資料に記載がありません。試すなら、取り消しの効く用事から始めるのが現実的です。
【用語解説】
- アーリーアクセス: 正式提供の前に、限られた利用者へ先行して公開する段階。機能や利用条件は今後変わる場合があります。
- Cascade: Manus 2.0 で導入された、Manus 社内開発のエージェント基盤。必要な機能だけをその都度読み込み、処理を軽く保つ仕組みと説明されています。
- Automations: 決まった時刻や、メール受信・Slack のメッセージなどの出来事をきっかけに作業を始める Manus の自動実行機能。
引用元:
- [1] Manus 2.0 と Cue の発表(日本語)(Manus 公式ブログ)
- [2] What is new in Manus 2.0?(Manus ヘルプセンター)
- [3] Cue by Manus(Google Play)
- [4] Meta’s ex launches agent rival to Meta’s Muse(InfoWorld)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。