📖 この記事で分かること
- 選択肢から答えを返す「判断専用API」2つの違い
- 速度・料金・入力形式・提供状況の比較
- 編集部が計測した Jev の実際の応答時間
- いま本番に入れるならどちらか
💡 知っておきたい用語
- System One モデル:じっくり考える前の「反射的な判断」だけを受け持つ AI。信号を見て止まるか進むかを一瞬で決めるイメージです
最終更新日: 2026年10月1日
▶ 公式ページ
- Jev のコンソール(アーリーアクセス登録)(TypeSafe AI)
- Introducing System One Models & Jev(TypeSafe AI Blog)
- DevDay 2026 Recap(OpenAI)
判断専用APIという新しい枠
文章を生成せず、あらかじめ決めた選択肢から答えだけを返す API が 9 月に相次いで登場しました。TypeSafe AI の Jev と、OpenAI の Decisions API です。
この記事のポイント
- TypeSafe AI が 2026年9月15日に Jev を、OpenAI が 9月29日の DevDay で Decisions API を発表しました(2026年10月時点)。
- Jev は入力 100 万トークンあたり $0.042・出力無料(2026年10月時点)、Decisions API は料金未公表です。
- 本番導入なら現時点では Jev、OpenAI で完結させたいなら料金と精度の公表を待つのが妥当です。
どちらも「分類する」「振り分ける」「エージェントの次の行動を選ぶ」といった、大規模言語モデルに毎回長文を書かせるほどではない判断を、速く安く処理するための API です。TypeSafe AI はこの種のモデルを「System One モデル」と呼んでいます。OpenAI の Decisions API は、Jev への対抗策として位置付ける報道もあります。
比べる観点
比較は、導入を判断するときに実際に効く 5 つの観点で行います。
- 提供状況: 今日から申し込めるか、本番で使える段階か
- 出力の形: 何を返すか、1 回の呼び出しで何ができるか
- 入力の形: テキストだけか、画像も渡せるか
- 速度: 公称値と、第三者の計測があるか
- 料金: 公表されているか、試算できるか
主要な違い
大きな差は「料金が分かるか」と「画像を渡せるか」の 2 点です。
| OpenAI Decisions API | TypeSafe Jev | |
|---|---|---|
| 公開 | 2026年9月29日 DevDay・限定プレビュー | 2026年9月15日・アーリーアクセス(順番待ちリスト) |
| ベースモデル | GPT-6 Luna の一版(2026年10月時点) | Jev(独自の System One モデル) |
| 出力 | 選択肢から 1 つ+確率スコア | Choice / Score / Noul の 3 種類。1 回で複数の質問に答える |
| 画像入力 | あり | なし(テキスト中心) |
| 速度(公称) | 約 150 ミリ秒 | 70〜500 ミリ秒 |
| 料金 | 未公表 | 入力 $0.042/100 万トークン、出力無料 |
提供状況と料金
Jev は 9月15日に公開され、順番待ちリストから順次利用できる状態です。料金は入力 100 万トークンあたり $0.042、出力は「計測するほどのコストがない」として無料と公表されています。
Decisions API は限定プレビューで、数日以内に広く提供する予定とされています。料金は発表時点で公表されていません。コストを試算できないため、稟議や見積もりに載せる段階にはまだありません。
出力と入力の形
Jev は 1 回の呼び出しに複数の質問をまとめて渡し、並列に答えさせる設計です。答えは定義した型の中からしか返らないため、想定外の文字列が返ってきてパース処理が壊れる心配がありません。
Decisions API は、有限の選択肢を持つ質問を定義し、テキストか画像で文脈を渡すと答えが返る仕組みです。画像を渡せる点は Jev にない強みで、スクリーンショットや商品画像の振り分けにはこちらが向きます。
速度
公称値は Decisions API が約 150 ミリ秒で、通常の GPT-6 Luna 呼び出しより約 10 倍速いとされています。ただし第三者による計測はまだ出ていません。Jev の公称値は 70〜500 ミリ秒です。
編集部の見方
いま本番に入れるなら Jev、OpenAI の中で完結させたいなら公表待ちというのが編集部の判断です。
実測できるかどうか: 編集部は 2026年9月17日に Jev を試し、応答時間は 0.5〜0.6 秒でした。公称の上限寄りで、ネットワーク込みの実測値としては妥当な水準です。Decisions API はプレビュー枠を得られていないため未計測です。数字を自分で確かめられるかは、本番導入の前提になります。
コストの読みやすさ: Jev は入力単価だけで月額を試算できます。判断系の処理は呼び出し回数が多くなりがちなので、単価が分からない API を本番に置くのは避けたいところです。
既存環境との相性: すでに OpenAI の API キー・請求・監査ログで運用を固めているチームにとって、ベンダーを 1 社増やすコストは小さくありません。その場合は Decisions API の料金と精度の数字が出るまで待ち、そこで並べて比べるのが合理的です。
画像を扱うかどうか: 判断の材料に画像が入る業務なら、現時点の選択肢は Decisions API だけです。
どんな読者に向くか
用途と既存環境で選び方が分かれます。
- Jev が向く: テキストの分類・振り分けを今すぐ本番で速く安く回したい、1 回の呼び出しで複数の判断をまとめたいチーム
- Decisions API を待つのが向く: OpenAI で基盤を統一している、画像を判断材料に使う、ベンダーを増やしたくないチーム
- どちらもまだ不要: 判断の呼び出し回数が少なく、既存の LLM 呼び出しで速度もコストも困っていない場合
よくある質問
Q: Decisions API はいつから誰でも使えますか?
A: 限定プレビューで始まり、数日以内に広く提供する予定とされています(2026年10月時点)。具体的な日付と料金は公表されていません。
Q: Jev は画像を扱えますか?
A: 現時点ではテキストが中心で、画像入力には対応していません。
Q: 既存の LLM 呼び出しを置き換える必要はありますか?
A: 置き換えではなく併用が前提です。文章生成や複雑な推論は従来の LLM に残し、分類や振り分けのような短い判断だけを判断専用 API に回す使い方が想定されています。
まとめ
Jev は料金が公表され、実際に試せる段階にあります。Decisions API は画像入力と OpenAI 基盤への統合が強みですが、料金と第三者の計測がまだありません。いま本番に入れるなら Jev、OpenAI で完結させたいなら数字が揃うのを待ってから比べるのが確実です。
【用語解説】
- 限定プレビュー: 一部の開発者だけに先行提供される段階。仕様や料金が変わる可能性があります
- アーリーアクセス: 順番待ちリストから順に利用を開放する提供形態
- ミリ秒: 1,000 分の 1 秒。150 ミリ秒は 0.15 秒です
引用元:
- [1] Introducing System One Models & Jev(TypeSafe AI Blog)
- [2] TypeSafe Docs(TypeSafe AI)
- [3] OpenAI expands Codex and its API at DevDay with security scans, a Decisions API, and Ultrafast(The Decoder)
- [4] OpenAI unveils $500 ChatGPT Pro plan, Decisions API, and major Codex upgrades at DevDay 2026(Neowin)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。