📖 この記事で分かること
- North 2 で何が加わったか(記憶・接続先・費用管理)
- すでに使える接続先と「予定」の接続先の区別
- デプロイ形態とモデル選択の自由度
- 評価前に確かめておくべき点
💡 知っておきたい用語
- オーケストレーション: 複数のエージェントや処理段を、順番や分岐を決めて取りまとめる仕組み。現場監督が作業員の段取りを組むイメージです。
最終更新日: 2026年10月6日
▶ 公式ページ
- Introducing North 2(Cohere 公式ブログ)
- Cohere and PwC partner to accelerate secure enterprise AI adoption(Cohere 公式ブログ)

Cohere が North 2 を発表
この記事のポイント
- Cohere が 2026年10月5日、企業向けエージェント基盤 North 2(2026年10月時点)を発表しました。
- セッションをまたぐ記憶、Slack・Jira・GitHub などの接続先、トークン支出の監視を追加しています。
- PitchBook・FactSet などの金融データ連携は、公式が「planned(予定)」としています。
North でエージェントを組む開発・運用チームにとって一番の変化は、エージェントを毎回ゼロから始めさせず、前回のセッションの文脈を引き継ぐ前提で設計できるようになったことです。あわせて Slack・Jira・GitHub などが企業向けコネクタとして接続先に加わり、管理者はトークン支出と上限をリアルタイムで監視・管理できます。Cohere が 2026年10月5日、自社ブログで North の大型更新として公開した North 2 です。
North は従来から特定のモデルに縛られない設計で、Cohere のモデルのほか利用者が選んだモデルも使えます。デプロイ先も self-hosted・VPC【ブイピーシー】・ハイブリッド・オンプレミスから選べます。今回の更新は、この土台の上に統括の仕組みと運用機能を積み増した形です。
North 2 で加わったもの
中心にあるのは、複数段の処理を自律的に管理するエージェントのオーケストレーションの仕組みです。Cohere は North 2 の核を「複雑で多段のプロセスを独立して管理する高度なエージェントオーケストレーションの仕組み」と説明しています。
この土台に、運用面の機能が加わりました。
- Memory: エージェントがセッションをまたいで文脈を保てるようになりました。Cohere は「毎回ゼロから始めるのではなく」文脈を保つと説明しています。
- 管理者向けの監視: トークン支出や上限を含む AI の利用状況を、詳細な分析とともにリアルタイムで監視・管理できます。個別の明細とシステム全体の概観の両方を見られるとされています。
- 接続先の追加: Slack、SharePoint、OneDrive、Microsoft Outlook、Microsoft Exchange、Jira、Linear、Notion、GitHub への企業向けコネクタが新たに加わりました。
接続先の拡充で、開発チームの作業場所の多くが一つの基盤から届く範囲に入ります。たとえば Jira の課題、GitHub のリポジトリ、Slack のやり取りを同じエージェントの接続先にし、前回のセッションの文脈を引き継いだまま調査を続けさせる構成が検討対象になります。
評価・導入判断への影響
評価の起点は「自社の主要データ源が、いま使える接続先に入っているか」です。発表では、すでに提供される接続先と、予定段階の接続先がはっきり分かれています。
PitchBook、Crunchbase、Daloopa、FiscalAI、S&P Global、FactSet などの金融データ提供元について、Cohere は「planned(予定)」としています。金融データを前提にしたエージェントを考えているチームは、現時点ではこれらを評価の前提に置けません。
導入支援の体制も示されました。Cohere は PwC との提携で、PwC が価値の高い用途の特定、信頼できる企業データやシステムへの安全な接続、責任ある大規模展開に必要なガバナンスと統制の整備を支援すると説明しています。自社だけで用途選定や統制設計を進めにくい組織にとっては、選択肢の一つになります。
評価に入る前に確かめておきたい点は次のとおりです。
- 利用中のデータ源が、提供済みの接続先か「予定」の接続先か
- self-hosted・VPC・ハイブリッド・オンプレミスのどれが自社のセキュリティ要件に合うか
- Memory で保持される文脈の保存場所と保持期間(本記事で参照した発表文の範囲では確認できませんでした)
- 料金と提供条件(本記事で参照した発表文の範囲では確認できなかったため、Cohere への確認が必要です)
編集部の見方
編集部は、North 2 の評価を今すぐ始める価値が高いのは、Slack・Jira・GitHub などを業務の中心に置き、データを社外に出せない開発・運用チームだと見ています。
- 根拠1: これらは「予定」ではなく、新たに加わった接続先として発表されています。手元のデータ源で評価を組めます。
- 根拠2: デプロイ先を self-hosted・VPC・ハイブリッド・オンプレミスから選べ、モデルも持ち込めます。セキュリティ審査や既存のモデル選定を崩さずに検証できます。
- 根拠3: トークン支出と上限をリアルタイムで監視・管理できるため、セッションをまたぐ記憶で処理が長くなっても、費用の膨らみを管理者が把握できます。
逆に、金融データ連携を主目的とするチームは、現時点では待つ判断が妥当です。肝心の提供元が「予定」の段階だからです。
この見方が変わる条件: PitchBook や FactSet などの金融データ連携が提供段階に移れば、評価の優先順位は金融分析の用途へ大きく広がります。
よくある質問
Q: North 2 では Cohere 以外のモデルも使えますか?
A: 使えます。Cohere は North を特定のモデルに依存しない設計とし、自社の生成モデルのほか利用者が選んだモデルも使えると説明しています。
Q: FactSet や S&P Global のデータには、もうつなげられますか?
A: 発表では、PitchBook、Crunchbase、Daloopa、FiscalAI、S&P Global、FactSet などの金融データ提供元は「planned(予定)」とされています。提供時期は Cohere の今後の案内を確認する必要があります。
Q: Memory はどんな機能ですか?
A: エージェントがセッションをまたいで文脈を保つ機能です。毎回ゼロから始めず、前回までの文脈を引き継いで作業できます。
まとめ
Cohere は 2026年10月5日、企業向けエージェント基盤の大型更新 North 2 を発表しました。オーケストレーションの刷新に加え、セッションをまたぐ記憶、Slack・Jira・GitHub などの接続先、トークン支出の監視が加わっています。金融データ連携は予定段階のため、評価は手元のデータ源が提供済みの接続先に入っているかの確認から始まります。
【用語解説】
- コネクタ: 外部のサービスやデータ源と基盤をつなぐ接続部品。North 2 では Slack や GitHub などへの企業向けコネクタが追加されました。
- self-hosted: 提供元のクラウドではなく、利用者自身が管理する環境でソフトウェアを動かす形態です。
- ガバナンス: AI の利用範囲や権限、監査などを組織として統制する仕組みです。
引用元:
- [1] Introducing North 2(Cohere)
- [2] Cohere and PwC partner to accelerate secure enterprise AI adoption(Cohere)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。