📖 この記事で分かること
- ストリーミング文字起こしの新モデルの速度と料金
- 音声合成MAI-Voice-2.1とFlash版の料金
- 音声エージェント開発で変わること
- 導入価格の期限など見積もりの注意点
💡 知っておきたい用語
- partials(暫定結果):話し終わる前に出る「途中までの書き起こし」。電話の相手が言い終える前に、要件の見当をつけ始めるようなもの
最終更新日: 2026年10月3日
▶ 公式ページ
- Our first streaming transcription model(Microsoft AI)
- Use MAI-Transcribe-2-Streaming with the Realtime API(Microsoft Learn)

Microsoft AI が音声モデル 3 種を発表
この記事のポイント
- Microsoft AI が 2026 年 10 月 1 日、MAI-Transcribe-2-Streaming(2026年10月時点)を発表しました。
- 音声受信から 100 ミリ秒強で暫定結果を出し、年末まで音声 1 時間 0.54 ドル(2026年10月時点)。
- 音声合成 MAI-Voice-2.1 と Flash 版も同時発表、23 言語・26 ロケールに対応。
音声エージェントを作っている開発者は、利用者が話し終わるのを待たずに、推論やツール呼び出しを始められる文字起こしを使えるようになります。Microsoft AI が 2026 年 10 月 1 日に発表した、同社初のストリーミング文字起こしモデル MAI-Transcribe-2-Streaming です。あわせて音声合成モデル MAI-Voice-2.1 と MAI-Voice-2.1-Flash(2026年10月時点)も発表され、Microsoft Foundry で提供され、現時点ではパブリックプレビューです。Microsoft Learn はサービスレベル契約(SLA)がなく、本番ワークロードには推奨しないと案内しています。
聞き取り側と読み上げ側が同じ発表でそろったため、音声の入口から出口までを同じ提供元のモデルで組む選択肢ができた、というのが今回の中身です。
3 つのモデルの数値と料金
発表の数値は、速度と単価の両方に寄せた内容です。公式発表の記載をモデルごとに整理します。
MAI-Transcribe-2-Streaming
- 速度: 音声を受け取ってから 100 ミリ秒強で、最初の暫定結果(partials)を出すとしています。
- 料金: 年末まで、音声 1 時間あたり 0.54 ドルの導入価格です(2026年10月時点)。
MAI-Voice-2.1 / MAI-Voice-2.1-Flash
- 料金: MAI-Voice-2.1 は 100 万文字あたり 22 ドル、Flash 版は 100 万文字あたり 15 ドルです(2026年10月時点)。Microsoft は Flash 版の価格を「best-in-class」と表現しています。
- Flash 版の速度: 45 秒の音声を生成でき、エンドツーエンドの遅延は 150 ミリ秒としています。
- 対応言語: MAI-Voice-2.1 は 23 言語・26 ロケールに対応を広げました。
音声エージェントの組み方が変わる
効くのは「話し終わり待ち」の時間を削れる点です。従来の文字起こしをバッチ的に使う構成では、発話が終わってから全文を受け取り、そこから LLM に渡していました。
Microsoft は用途として、利用者が話している最中の依頼をリアルタイムで文字起こしするカスタマーサービスエージェントを挙げています。また、音声エージェントが発話の途中から推論やツール呼び出しを始められると説明しています。たとえば問い合わせ窓口のボットなら、利用者が「先月の請求について」と言い始めた段階で、請求データの検索を先回りして走らせる設計が考えられます。返答側を Flash 版の音声合成でつなげば、聞き取りと読み上げの両端で待ち時間を詰められます。
一方で、暫定結果は話し終わる前の途中経過です。途中の書き起こしをもとにツールを呼ぶ場合、確定結果で内容が変わったときに取り消せる処理(読み取り系の呼び出しに限る、確定後に実行するなど)を設計側で用意しておく必要があります。
次にできること
- 見積もり: 文字起こしは音声時間、合成は文字数で課金されます。通話 1 件あたりの平均時間と返答の文字数から、月額の概算を出せます。
- 注意点: 0.54 ドルは年末までの期限付きの導入価格です。年明け以降も同じ単価が続く前提で長期の見積もりを組まないでください。
- 確認: 23 言語・26 ロケールの内訳に日本語が含まれるかは、本記事で扱った発表の数値からは判断できません。日本語の窓口で使う予定なら、Microsoft Foundry 上の対応ロケールを確かめてから評価に入るのが確実です。
- 提供段階: 現時点ではパブリックプレビューで、SLA はなく、本番ワークロードには推奨されていません。評価環境で試す段階として扱ってください。
編集部の見方
編集部は、今回の発表で開発者にとって最も効くのは単価より 「100 ミリ秒強で暫定結果が出る」速度 だと見ています。
- 根拠 1: 音声対話では、返答が始まるまでの間が体験を左右します。Microsoft 自身が「発話の途中から推論やツール呼び出しを始められる」と説明しており、待ち時間を構成の段階から削る前提のモデルです。
- 根拠 2: 合成側の Flash 版もエンドツーエンド 150 ミリ秒とされ、聞き取りと読み上げの両端で低遅延がそろいました。片側だけ速くても全体は詰まらないため、両方が同時に出た意味は大きいと考えます。
- 根拠 3: 一方で文字起こしの 0.54 ドルは年末までの導入価格なので、価格を採用理由の中心に置くと来年の見積もりが崩れます。評価の軸は速度に置くほうが安全です。
この見方が変わる条件: 年末以降の正式価格が導入価格から大きく上がった場合は、速度の利点を差し引いても、既存の文字起こし構成から乗り換える判断は通話量の多い用途に絞られます。
よくある質問
Q: MAI-Transcribe-2-Streaming の料金はいくらですか?
A: 年末までの導入価格として、音声 1 時間あたり 0.54 ドルです(2026年10月時点)。期限付きの価格である点に注意が必要です。
Q: MAI-Voice-2.1 と Flash 版の違いは何ですか?
A: 料金は MAI-Voice-2.1 が 100 万文字あたり 22 ドル、Flash 版が 15 ドルです。Flash 版は 45 秒の音声を生成でき、エンドツーエンドの遅延は 150 ミリ秒とされています。
Q: どこで使えますか?
A: Microsoft Foundry の対応リージョンへモデルをデプロイして利用できます。現時点ではパブリックプレビューで、SLA はなく、本番ワークロードには推奨されていません。
まとめ
Microsoft AI は、音声受信から 100 ミリ秒強で暫定結果を出す MAI-Transcribe-2-Streaming と、音声合成の MAI-Voice-2.1 / Flash 版を発表しました。音声エージェントでは、発話の途中から推論やツール呼び出しを始める設計が取りやすくなります。文字起こしの 0.54 ドルは年末までの導入価格のため、長期の費用見積もりはこの期限を前提に組む必要があります。
【用語解説】
- ストリーミング文字起こし: 音声を少しずつ受け取りながら、その場で書き起こしを返し続ける方式。録音が終わってからまとめて処理する方式と対になる
- エンドツーエンドの遅延: 入力を受け取ってから最初の出力が返るまでの、処理全体にかかる時間
- ロケール: 言語に地域の違いを加えた単位。同じ英語でも米国向けと英国向けを別に数える
引用元:
- [1] Our first streaming transcription model(Microsoft AI)
- [2] Use MAI-Transcribe-2-Streaming with the Realtime API(Microsoft Learn)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
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15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。