Google DeepMind Accelerator: AI for the Planet のアジア太平洋版第1期として、Googleは2026年9月7日に8か国16団体を選出したと発表しました。
📖 この記事で分かること
- Googleが環境分野のAI支援プログラム第1期を発表
- 選ばれた16団体の顔ぶれと3つの支援分野
- 日本から唯一選ばれたArchedaが取り組む領域
- 支援期間は3か月、シンガポールで始動
💡 知っておきたい用語
- カーボンクレジット:森林保全などで減らした温室効果ガスの量を、売買できる「証書」にしたもの
最終更新日: 2026年9月8日
▶ 公式ページ
- Backing 16 green AI projects in Asia-Pacific(Google 公式ブログ)

Googleが環境分野のAI支援でアジア太平洋の16団体を選んだ
この記事のポイント
- Googleは2026年9月7日、「Google DeepMind Accelerator: AI for the Planet(APAC)」の第1期としてアジア太平洋の16団体を選出したと発表しました(2026年9月時点)。
- 支援は3か月間で、最新のAIモデル群への利用権と専門家によるメンターシップが提供されます。
- 日本からの選出はカーボンクレジットの検証に取り組むArcheda 1社のみです。
Googleは2026年9月7日、環境分野でAIを使う組織を集中支援する「Google DeepMind Accelerator: AI for the Planet」について、アジア太平洋地域(APAC)版の第1期として16団体を選んだと公式ブログで発表しました。対象はスタートアップ、非営利団体、研究チームです。プログラムはシンガポールでの実地ブートキャンプを起点に今週始動します。
発表を執筆したのは、同社APAC地域のサステナビリティ責任者であるSpencer Low氏と、開発者エコシステム責任者のSami Kizilbash氏です。
支援の中身は「モデルへのアクセス」と「3か月の伴走」
提供されるのは資金ではなく、開発環境と人の支援です。
選ばれた16団体には、3か月間にわたってGoogleの最新AIスタック(専用のフロンティアモデルを含む)へのアクセス、個別の技術支援、そしてGoogleの専門家によるメンターシップが提供されます。公式に名前が挙がっているモデルは、AnthroKrishi、ForestCast、AlphaEarth Foundations、SpeciesNet、Perchの5つです(2026年9月時点)。農業、森林、地表観測、生物種の識別、音声解析と、いずれも環境観測に寄った専用モデルが並びます。
なお、助成金額や応募総数、選考基準についてGoogleは公表していません。
16団体は「監視」「農業」「炭素」の3分野に分かれる
選出された組織は、取り組む課題によって3つのグループに整理されています。
自然保護と気候レジリエンス(6団体)
- 800 Trust(ニュージーランド):AIと生物音響で生物多様性を継続監視し、環境上の脅威を検知
- Kumi Analytics(シンガポール):リモートセンシングと深層学習で、保全事業の環境ベースラインを設定
- Listening Lab(ニュージーランド):少ないデータで動く生物音響ツールを開発し、音で生物多様性を監視
- TelePIX(韓国):衛星データを、マングローブ監視に使える情報へ変換
- Wildlife.ai(ニュージーランド):野生生物保全向けのオープンソースAIカメラを開発
- Yayasan Ekosistem Lestari(インドネシア):環境劣化と災害リスクを結びつける予測AI基盤
持続可能な農業(5団体)
- Edufarmers(インドネシア):日常のメッセージアプリ経由で、小規模農家に病害虫と天候の情報をほぼリアルタイムで提供
- Living Roots(タイ):データとAIで、作物ごとの生物由来肥料を設計
- SIGMA(シンガポール):衛星ベースのAIモデルで収量を推定
- Terrastack(インド):衛星データと農学データを組み合わせ、区画単位の土地情報を提供
- X-Centric(オーストラリア):従来の土壌検査ラボを、可搬型のAI搭載X線機器で置き換え、即時に地球化学的な分析を行う
気候・炭素ソリューション(5団体)
- Archeda(日本):衛星データで、自然由来のカーボンクレジットを測定可能で信頼性の高い資産にする
- City Syntax Lab(シンガポール):都市区画のエネルギーと炭素を最適化するエージェント型AI基盤
- Climitra Carbon(インド):Geo-AIで侵略的外来種の除去を検証し、バイオ炭に変換
- Farmers for Forests(インド):AI搭載ドローンで、小規模農家のアグロフォレストリーを計測可能な炭素・生物多様性の成果に変える
- Varaha Climate(インド):リモートセンシングとAIで環境再生型農業と炭素除去を検証し、小規模農家がカーボンクレジットを得られるようにする
国別の内訳はインド4、ニュージーランド3、シンガポール3、インドネシア2、韓国1、タイ1、オーストラリア1、日本1の計8か国です。日本からの選出はArcheda 1社にとどまりました。
編集部の見方
編集部は、今回の16団体で最も注目すべきは生物多様性の監視ではなく、カーボンクレジットの検証にAIを使う4団体だと見ています。
- 根拠1:16団体のうち Archeda、Climitra Carbon、Farmers for Forests、Varaha Climate の4団体が、いずれも「削減量を測って証明する」ことを事業の中心に据えています。特定分野にこれだけ集中したのは他にありません。
- 根拠2:公式に挙がった支援モデル5つのうち、AlphaEarth Foundations と ForestCast は地表と森林の観測に直結します。検証というタスクに必要な道具が揃っている構成です。
- 根拠3:日本から選ばれたArchedaも同じ検証の領域です。カーボンクレジットは「本当に減ったのか」を第三者が確かめにくいことが長年の弱点で、そこを衛星データで埋める方向に支援が寄っています。
この見方が変わる条件は、3か月後の成果発表で、検証系よりも農家向けの営農支援(Edufarmers、Terrastack など)のほうが実利用者数を伸ばした場合です。その場合、AIの環境応用の主戦場は「証明」ではなく「日々の意思決定」に移ります。
よくある質問
Q: このプログラムに参加すると資金がもらえるのですか?
A: Googleの発表に助成金額の記載はありません。公表されている支援内容は、最新AIモデルへのアクセス、個別の技術支援、専門家によるメンターシップの3つです。
Q: 日本からはArchedaだけですか?
A: 公式ブログに掲載された16団体のうち、日本の組織はArchedaの1社のみです。
Q: 第2期の募集はありますか?
A: 今回の発表は第1期(inaugural cohort)の選出結果のみで、次期募集の予定は公表されていません。
まとめ
Googleは2026年9月7日、環境分野のAI活用を支援する「Google DeepMind Accelerator: AI for the Planet」のアジア太平洋版第1期として、8か国16団体を選出しました。支援は3か月間で、AnthroKrishi や AlphaEarth Foundations など環境観測向けの専用モデルへのアクセスとメンターシップが提供されます。選出団体は生物多様性の監視、小規模農家向けの営農支援、カーボンクレジットの検証という3分野に分かれ、日本からは衛星データでクレジットの品質を担保するArchedaが唯一選ばれました。
Googleは環境分野で他にもAI活用を進めており、飛行機雲の削減を目指す取り組みも別途発表しています:
【用語解説】
- カーボンクレジット: 森林保全や再生農業などで削減・吸収した温室効果ガスの量を数値化し、売買できるようにした仕組み。「本当に削減されたか」の検証精度が価値を左右します。
- リモートセンシング: 衛星や航空機から地表を観測し、現地に立ち入らずに状態を把握する技術。
- 生物音響: 動物の鳴き声や環境音を録音・解析して、その場所にどんな生き物がいるかを調べる手法。
引用元:
- [1] Backing 16 green AI projects in Asia-Pacific(Google 公式ブログ)
- [2] Our new contrail avoidance trial in Asia-Pacific(Google 公式ブログ)
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
Previous Post
AIゲートウェイのLiteLLM、認証情報の漏れを2件修正。v1.100.0は破壊的変更も2件
Next Post
OpenAIがウクライナの独立報道を支援。10社に伴走とAPIクレジット提供
15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。