Anthropicの著作権訴訟 - ソニーとワーナーの音楽出版社がAnthropicを提訴。学習データの開示を要求 anchor left anchor right

Aug 30 2026 AIニュース

ソニーとワーナーの音楽出版社がAnthropicを提訴。学習データの開示を要求

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Anthropicの著作権訴訟が新たに1件起きました。ソニーとワーナー系の音楽出版社33社超が2026年8月28日、Anthropicと創業者2人を著作権侵害で提訴し、賠償に加えて学習データと学習手法の開示を求めています。

📖 この記事で分かること

  • 音楽出版社33社超がAnthropicを著作権侵害で提訴した
  • 創業者のAmodei氏とMann氏も個人として被告に指定された
  • 訴状は賠償に加え学習データと学習手法の開示を求めている
  • 記載はすべて原告側の主張で、裁判所の認定ではない

💡 知っておきたい用語

  • 法定損害賠償: 実際の損害額を細かく立証しなくても、法律が定めた範囲内で賠償額を決められる仕組み。米著作権法では故意の侵害と認められると1作品あたりの上限が引き上げられる

最終更新日: 2026年8月30日

▶ 公式ページ

Anthropicの著作権訴訟 - ソニーとワーナーの音楽出版社がAnthropicを提訴。学習データの開示を要求

音楽出版社33社超がAnthropicと創業者2人を提訴

この記事のポイント

  • ソニーとワーナー系の音楽出版社33社超が2026年8月28日、Anthropicをカリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴しました(2026年8月時点)。
  • 被告にはAnthropic PBCに加え、創業者のDario Amodei氏とBenjamin Mann氏が個人として並びます。
  • 訴状は金銭賠償だけでなく、学習データと学習手法の開示を請求しています。

ソニー・ミュージックパブリッシング系22社とワーナーチャペル・ミュージック系11社を中心とする音楽出版社が2026年8月28日、Anthropicを著作権侵害で訴えました。提訴先はカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所サンノゼ支部、事件番号は5:26-cv-09217で、訴状は48ページ、陪審審理を求めています。原告にはEMI系のカタログ各社、Hipgnosis、モータウンのJobeteなどが名を連ね、訴状では総称して「Music Publishers」と呼ばれています。

本件の特異な点は被告の立て方にあります。法人であるAnthropic PBCだけでなく、創業者のDario Amodei氏とBenjamin Mann氏を個人として被告に指定しました。訴状は、Mann氏が自らBitTorrentを操作して違法複製物をダウンロードおよびアップロードし、他の従業員にも同様の作業を指示した、Amodei氏がそれを承認・指示した、と主張しています。なお以下はいずれも原告側の主張であり、裁判所が認定した事実ではありません。

訴状が挙げる4つの侵害経路

訴状は、取得・学習・出力・権利情報の除去という4つの段階に分けて侵害を主張しています。

取得: 2021年6月にLibGenから500万冊以上、2022年7月にPiLiMiから200万冊以上をBitTorrentで違法に取得したとされます。訴状は、BitTorrentが受信と同時に送信も行う仕組みである点を挙げ、複製権に加えて頒布権も侵害したと主張しています。取得経路はこれだけではなく、MusixMatchやLyricFindといった歌詞表示サイトからのクロールとスクレイピング、中古書籍数百万冊の「破壊的スキャン」、Common Crawl・The Pile・Books3などの既存データセットの利用も挙げられています。

学習: 学習入力としての複製に加え、歌詞をClaudeの内部表現に「エンコード」する過程、および複製を促す方向のファインチューニングでも複製が生じていると主張しています。対象は訴状Exhibit Bに列挙された数万曲です。

出力: Claudeが利用者の問い合わせに応じて歌詞を逐語ないし準逐語で出力すること、さらにAIが生成する「新しい」歌詞が正規曲の市場代替物として機能することを問題としています。

権利情報の除去: Anthropicが学習の前処理で「ゴミ」として取り除く部分に著作権管理情報(CMI【シーエムアイ】)が含まれており、17 U.S.C. §1202に違反するとしています。訴状に例示された楽曲には「Ain’t No Mountain High Enough」「All I Want for Christmas is You」「Eye of the Tiger」「Livin’ On a Prayer」「September」「Hallelujah」「Paper Rings」が含まれます。

請求は賠償だけでなく学習パイプラインの開示に及ぶ

金銭面では、故意侵害として1著作物あたり最大15万ドルの法定損害賠償(17 U.S.C. §504(c))、CMI侵害1件あたり最大2万5,000ドル(§1203(c)(3)(B))を求めています(2026年8月時点)。

技術面で重いのは金銭以外の請求です。訴状は恒久的差止命令に加えて、学習データ・学習手法・モデルの既知の能力の開示(accounting)と、データ収集を担った第三者の特定、さらに侵害複製物を裁判所の監督下で廃棄することを求めています。学習データの構成と収集経路の開示が認められれば、通常は営業秘密として扱われる領域が訴訟記録に残ります。

背景には先行判決があります。同じ地区のBartz v. Anthropic PBC, 791 F. Supp. 3d 1038 (N.D. Cal. 2025)は、Anthropicの行為を大規模ながら率直な海賊行為と評しました。Anthropicはこの集団訴訟を15億ドルで和解しています。今回の訴状はこの和解額を引き合いに出し、抑止力として不十分だったと主張しています。訴状は脚注でForbesの報道を引用してAnthropicの企業評価額とIPO【アイピーオー】計画にも触れていますが、これは訴状が引用する報道であって確定した情報ではありません。

Anthropic側の反論やコメントは、本稿執筆時点(2026年8月30日)では確認できていません。

編集部の見方

編集部は、本件で実務上いちばん効くのは賠償額ではなく、学習データと学習手法の開示請求だと見ています。

  • 根拠1: 訴状は金銭請求と並べて、学習データ・学習手法・モデルの既知の能力の開示と、データ収集を担った第三者の特定を明示的に求めています。認められれば、各社が営業秘密として扱ってきた学習パイプラインの中身が手続きの中で記録される可能性があります。
  • 根拠2: 先行するBartz訴訟でAnthropicは15億ドルで和解しており、金銭による決着には前例があります。一方で開示は金銭で代替できない請求です。
  • 根拠3: 取得段階を担った創業者2人を個人として被告に据えた構成は、法人の組織的判断として処理する防御を取りにくくする方向に働きます。
  • この見方が変わる条件: 早期に和解が成立して開示が実現しない場合、本件の影響は賠償額の相場形成にとどまります。

よくある質問

Q: これは以前のAnthropicに対する著作権訴訟と同じものですか

A: 別の事件です。先行するBartz訴訟は書籍を対象とした集団訴訟で、Anthropicが15億ドルで和解しています。今回は音楽出版社が原告となり、楽曲の歌詞と楽譜を対象に2026年8月28日に新たに提訴しました。

Q: 訴状の内容はすでに事実として確定しているのですか

A: 確定していません。訴状に書かれているのは原告側の主張であり、裁判所の認定ではありません。ただし訴状はBartz訴訟での裁判所の認定を引用する形で一部の事実関係を組み立てています。

Q: Claudeの利用者に直接の影響はありますか

A: 本稿執筆時点(2026年8月30日)で、利用条件の変更は発表されていません。訴状は恒久的差止命令を求めていますが、認められるかどうかは今後の手続き次第です。


まとめ

音楽出版社33社超が2026年8月28日、Anthropicと創業者2人を著作権侵害で提訴しました。訴状は取得・学習・出力・権利情報の除去の4段階で侵害を主張し、1著作物あたり最大15万ドルの法定損害賠償に加えて、学習データと学習手法の開示、侵害複製物の廃棄を求めています。記載はいずれも原告側の主張であり、Anthropic側の反論は確認できていません。


【用語解説】

  • CMI【シーエムアイ】: 著作権管理情報。作品に付随する著作者名や権利者の表示など、権利の所在を示す情報を指す。米著作権法17 U.S.C. §1202はこれを故意に除去・改変する行為を禁じている
  • LibGen / PiLiMi: 書籍を無断で大量に配布しているとされるオンライン上の資料庫。訴状はこの2つを違法な取得元として名指ししている
  • accounting: ここでは損害額の算定に加え、学習データや学習手法など内部情報の開示を裁判所に求める請求を指す

引用元:


この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。

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KOJI TANEMURA

15 年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア / テクノロジーライター。AI エージェントの実務活用を研究し、現場や経営者向けセミナーでその知見を発信。本メディア tech-noisy.com では、一次情報に基づく最新ニュース・解説記事を執筆。また、音楽生成 AI による DJ パフォーマンスを企業イベントで行うなど、テクノロジーと表現の融合も探求している。